前回は「震電」のジェット版である「震電改」をご紹介しましたが、震電の製造にあたっては、ライバルとなる機体がありました。それが「閃電」でした。双ブーム式でやはり胴体の後ろにエンジンを積んだ独特の姿だったのですが、こちらが「もし」採用され、さらに「もし」ジェット化されたらという機体がキット化されました。それが「閃電改」です。
メーカーはウクライナのミクロミル、箱の右上の文字がすべてを物語っています。私なりの「ウクライナ支援」です。「栄」サーモジェットエンジンとありますが、サーモジェットというと本来V-1ロケットなんかを示すのでは・・・ということで、どんなコンセプトの機体なのかも謎です。キットについては多くを語ることはできない出来です。こういうキットをリリースしてくれたことに感謝するしかありません。
胴体左右の段差も相当で、いつもなら瞬間接着剤で済むところが、今回ばかりは「パテとやすりの贈り物」です。
コクピット直後の空気取り入れ口?に見える格子状の部分はエッチングパーツとなっています。胴体の太さがそれなりにあるので、エンジンもそれなりのものを入れられたのではと思います。単発レシプロ機としては大きなプロペラをつけることになっていましたので、脚関係がいずれも長いのが特徴です。たくさんおもりを入れないと私のようにしりもちをついて、撮影のために弾性接着剤を使うことになってしまいます。脚が細いのでおもりに耐えられずに・・・というのも怖かったのです。マーキングはハセガワの「震電改」のものを一部使っています。
コクピット直後、空気取り入れ口前後の仕上げがうまくいっていません。箱絵ではツライチになっているのですが・・・。
こちらのキット、オリジナル(と言っていいのか)の閃電、閃電改ともストックがありますので「改」の方はリベンジしたいな・・・。それからウクライナに平和が戻ることを祈っています。
もう一つ、海軍が出てきたから陸軍も、ということで「火龍」です。
こちらはチェコのRSモデルズ製。火龍については芝浦タービン(後のIHI)ネ-130、日立製作所のネ-230を搭載する予定があったとも伝えられています。以前、海軍の橘花に関係して当時陸軍に在籍した中村良夫氏(戦後はホンダの第一期F1監督)のエッセイを紹介しましたが、火龍はコクピットのモックアップくらいはあったようで、そういった意味では「震電改」や「閃電改」のような架空の機体ではなく、実現がおぼろげではありますが、見えていたということになります。
キットはそれなりの出来ではありますが、それでも閃電改よりは形にしやすかったと思います。エンジンノズルなど、一部のパーツの位置決めが難しく、接着後らずれたり外れたりしないようプラ材やランナー、エポキシパテ等で補強、固定しました。
塗装ですが、箱絵では尾翼周りが青になっていますが、模型では赤にしました。
青帯のデカールが版ずれを起こしていました。ここは塗装でも良かったですね。
上下の塗り分けは筆でぼかしを入れました。
左から橘花、火龍、Me262のそろい踏みです。
こうしてみるとMe262よりも大きいところがあります。いわゆる「襲撃機」としての役割を期待されていたそうですね。