工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

マナーとルールと、自由のあいだ

2024年12月06日 | 日記

 先日の岐阜基地航空祭の折に、飛行機に近い場所で持ち込みが禁止された物品を持ち込んだお客さんに対し、自衛官が土下座をしているような画像が出ていた、ということで航空祭と関係のない、しかもあまり楽しくないことが話題となっていました。時間帯、場所とも分かりませんし、私がその場に居合わせたわけではありませんので、このことについて、どうこう言うつもりはありません。また、航空機を愛する大多数のファンと、多くの一般の来場者の方なら普通に守れるルールの話など、今さら書くのもどうかと思いますが、こういった出来事全般への私見として、書かせていただきます。

 まず、航空祭で開放される基地でありますが、公園でもないし、ましてやテーマパークでもありません。本来なら一般の立ち入りなどが容易にできない、軍事的な場所でございます。公園やテーマパークだって、その場所のルールがあるわけですが、基地においてもそれは同じで、来場者は当然守らなければいけないルールもありますし、ルール以外の部分でも、マナーは守ってくださいね、ということになるかと思います。

 椅子やレジャーシートといったものを飛行場地区に持ち込めない、あるいは持ち込めたとしても飛行機から離れた場所に限ったりしているのは、椅子を止めている部品や、レジャーシートを何かのはずみで飛行機が吸い込んだら、エンジンが止まってしまうどころか、即・修理となってしまい、多大な時間と多額のお金(税金)が使われてしまうということは、このブログの読者なら説明の要は無いでしょう。税金払っているのに何が悪い、と言ったところで、あなたが1年で収める税金なんぞ、飛行機の数時間の燃料代かもしれません。長時間コンクリの地面に座ったり、立ちっぱなしでしたらそれは疲れるでしょうし、楽に過ごしたいという気持ちも分かるのですが、最前列で椅子など広げてしまえば一人の専有面積が広くなってしまい、周りにも迷惑がかかります。特に混み合うところでは譲り合うということも大切ですので、その方が車いすでもない限り、腰が痛かろうが足がつらかろうが、そこはどうか我慢してください、ゆっくり見たければ他の場所で、他の方法でお願いします、ということになろうかと思います。最前列という「特等席」を得ることは、それと引き換えに何かを我慢しなければいけないことを理解してほしいです。私は以前ほどガチに飛行機を追わなくなっているので、朝早くから最前列に陣取る、ということはしなくなりましたが、かつてそのようなことをした折には、自分の面積は最小限に、基本は座るまたは中腰にして、後ろでカメラを構える方の邪魔にならないようにしていました。

 鉄道ファンよりも航空機、とりわけ軍用機のファンの数が少ないからか、それとも対象が対象だけに規制は織り込み済みという意識が働くからか、私は「撮り鉄の迷惑行為」みたいなものは航空機に関しては見た記憶はありません。しかし、かつては航空祭ともなりますと最前列は脚立や三脚が並び、後ろの人は地上展示機を見られない、といったような時代もありました。ときどき航空誌の投書などでこういった行為に苦言を呈する読者もいらっしゃったのですが、なかなか規制されませんでした。いつの頃からか脚立、三脚の類は持ち込み禁止となっていたり、持ち込める場所を限定するなどの対策がとられています。

(1986年入間基地航空祭にて。前方に脚立の方が何人か見られます。その前にはF-5Eが!そして上空にはバートルです)

 また、地上展示機についても人が滞留しないようにロープか何かでエリアを区切り、歩行しながら見たり、写真を撮ったりしてね、ということもあり、確かにその方が人の滞留も少なく、みんながまんべんなく見られるように感じます(一部の美術展でも目玉作品ですとこういった方法は見かけます)

 もっと徹底しているのはモータースポーツの世界でして、鈴鹿サーキットでは観客席に持ち込める望遠レンズの長さをあらかじめ制限していたかと思います。F1日本GPでも、長く、大きなレンズを装着したカメラを持つファンは、専用のビブスを着用し、カメラマンエリアと呼ばれるところからシャッターを切っています。こういう方がよほどすっきりしています。

 マナーやルールが守れなかったり、それが元で事故になるのはコアなファンよりも地元でたまたまカメラを持っていた人が原因、などという話を聞いたことがあります。航空祭も私が基地に通い始めた10代の頃に比べますとたくさんの方が来場されますし、自衛隊への理解が進んだことや、ときにはテレビドラマの題材になったことで、これまで飛行機など見向きもしなかった層も来場しています。私もどこかで迷惑をかけているかも知れませんし、偉そうなことを言う資格もないわけですが、せめて我々ファンは、節度ある行動で楽しく航空祭の一日を過ごしたいものだと改めて思いました。

 こちらの写真はかつて(1987年)の入間基地です。ロープが外されているので15:00以降に「イベントはすべて終了したからみんな帰りましょうね」となっている時間帯かと思います。地面をご覧ください。たくさんのごみが落ちています。近年はマナーやリサイクルの意識が高くなったのか、こういう光景は見かけませんし、基地によっては「ごみは持ち帰って」とアナウンスしているところもありました。

 それから、これは大切なことですが、基地でもサーキットでも、万が一のことは起こります。そして、そのリスクは公園やテーマパークといった場所よりも高いでしょう。もちろん、万が一が無いに越したことはないのですが、安全への配慮と、自分や同行者の身を守ることも、どうかお忘れなく。

あの頃はこういった機体をカメラに収めるのも一苦労でしたし、親から借りた一眼レフも35-105mmといったレンズでしたので、上空の飛行機の写真などは小さく写るのみでした。それ故に地上での飛行機と隊員の姿の方に目が行くようになりました。

 


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