先月十六日から始まったNHKの木曜時代劇『まんまこと』を楽しみに観ています。木曜時代劇は、ここ二作は第一話しか観ていませんでしたので、毎週続けて観るのは、『ぼんくら』以来ですね。若手俳優陣の熱演をベテラン勢がしっかりと支えています。吃驚する様な大根役者がいないので、安心して観ることが出来ますね。
奉行所の管轄外の町内の民事事件を裁定する町名主。そこに持ち込まれるのは、血なまぐさい刃傷沙汰ではなく、人情の縺れから来る些細な揉め事ばかりである。『まんまこと』はそんな日常を舞台とした事件の数々を町名主の跡取り息子・高橋麻之助(福士誠治)と、隣町の町名主の跡取りで色事師の八木清十郎(桐山漣)、同心見習いで腕自慢の相馬吉五郎(趙和)の幼馴染三人衆が力を合わせて解決していく人情ミステリーだ。
麻之助は十六までは真面目だったが、あることをきっかけに気楽な遊び人になってしまう。麻之助の心にはいつもお由有(市川由衣)がいた。お由有は父親のわからない子供を身ごもった状態で、清十郎の父・源兵衛(石橋蓮司)の後添えとなったのだ。大人たちが口を濁しているので、裏で何があったのかはわからない。月日が流れ、お由有の息子・幸太は六歳になった。
そんな麻之助に吉五郎が縁談を持ち込んできた。麻之助は断るが、縁談の相手・お寿ずが麻之助を尋ねてきて、ある旗本の次男坊に会って欲しいという。その男は水元又四郎(松田悟志)といい、十年に渡って病の床に臥せっていた。もう先は長くない。お寿ずから、又四郎を看取るまで許嫁のふりをして欲しいと頼まれ、麻之助は引き受けることにした。
…というのが、物語の縦糸で、そこに毎回麻之助のもとに持ち込まれる事件が絡んできます。
第一回「恋、一途」は、見ず知らずの清十郎をお腹の子の父親であると言い立てた町娘・おのぶの事情と、お腹の子の本当の父親探し。初回らしく、賑やかな内容であったが、好きな男を庇うためになら他人に迷惑をかけることを厭わないおのぶという女性には好感が持てなかった。本当の父親を探し当て、その男に制裁を加え、かつ、おのぶの嫁ぎ先と、お腹の子の貰われ先まで手配した麻之助の裁定は見事であった。おのぶと男を無理やりくっつけようとはせず、また、おのぶにお腹の子を育てる気概がないことも読んでいるあたり、並みの人情家ではないだろう。
第二回「万年、青いやつ」は、万年青の持ち主を巡る裁定。品評会に置き忘れられた珍種の万年青を巡って、大店の主と裏店住まいの職人の二人の男が「我こそが持ち主である」と主張して引き下がらない。麻之助は真の持ち主は別にいるとにらむ。真の持ち主は誰なのか?その人物は何故、品評会の会場に万年青を置き捨てて行ったのか?万年青愛好家の熱狂と、薀蓄を語らずにはいられないオタク心、自分の名は残せなくても万年青の品種改良に心血を注ぐ奉公人の切なさが印象的で、これまでの放送の中では一番面白い話だった。
第三回「こけ未練」は、お寿ずから又四郎が会いたがっているとの知らせを受けた麻之助が、土産を買いに立ち寄った高級菓子店で拾った迷子の狆と、道中で知り合った家出中の町娘・おしんを巡る騒動に巻き込まれる話。奉行所が探索していた「こりん様」という姫の正体とは…?「こけ未練」とは、詰まらぬことに執着する心を指す言葉なのだそうだ。おしんのマリッジ・ブルーも麻之助のお由有への想いも、人生の大半を病床で過ごし、好きな女の幸せを他の男に遺言せねばならない又四郎の無念と比べれば、所詮は「こけ未練」なのだろう。
放送は毎週木曜午後八時。再放送は通常翌週木曜午後二時五分ですが、甲子園中継の都合で変更することもあるので要注意。
次回は「静心なく」。又四郎がついに亡くなってしまいます。麻之助は又四郎からお寿ずの事を頼まれていますが、お寿ずは約束通り麻之助との縁談を無かったことにすると言います。そんな折、お由有の息子・幸太が誘拐され、ショックを受けた源兵衛が卒中で倒れてしまいます。身代金五十両を要求する手紙が届き、お寿ずが、お由有の身代わりに身代金を届けることになりますが…。
奉行所の管轄外の町内の民事事件を裁定する町名主。そこに持ち込まれるのは、血なまぐさい刃傷沙汰ではなく、人情の縺れから来る些細な揉め事ばかりである。『まんまこと』はそんな日常を舞台とした事件の数々を町名主の跡取り息子・高橋麻之助(福士誠治)と、隣町の町名主の跡取りで色事師の八木清十郎(桐山漣)、同心見習いで腕自慢の相馬吉五郎(趙和)の幼馴染三人衆が力を合わせて解決していく人情ミステリーだ。
麻之助は十六までは真面目だったが、あることをきっかけに気楽な遊び人になってしまう。麻之助の心にはいつもお由有(市川由衣)がいた。お由有は父親のわからない子供を身ごもった状態で、清十郎の父・源兵衛(石橋蓮司)の後添えとなったのだ。大人たちが口を濁しているので、裏で何があったのかはわからない。月日が流れ、お由有の息子・幸太は六歳になった。
そんな麻之助に吉五郎が縁談を持ち込んできた。麻之助は断るが、縁談の相手・お寿ずが麻之助を尋ねてきて、ある旗本の次男坊に会って欲しいという。その男は水元又四郎(松田悟志)といい、十年に渡って病の床に臥せっていた。もう先は長くない。お寿ずから、又四郎を看取るまで許嫁のふりをして欲しいと頼まれ、麻之助は引き受けることにした。
…というのが、物語の縦糸で、そこに毎回麻之助のもとに持ち込まれる事件が絡んできます。
第一回「恋、一途」は、見ず知らずの清十郎をお腹の子の父親であると言い立てた町娘・おのぶの事情と、お腹の子の本当の父親探し。初回らしく、賑やかな内容であったが、好きな男を庇うためになら他人に迷惑をかけることを厭わないおのぶという女性には好感が持てなかった。本当の父親を探し当て、その男に制裁を加え、かつ、おのぶの嫁ぎ先と、お腹の子の貰われ先まで手配した麻之助の裁定は見事であった。おのぶと男を無理やりくっつけようとはせず、また、おのぶにお腹の子を育てる気概がないことも読んでいるあたり、並みの人情家ではないだろう。
第二回「万年、青いやつ」は、万年青の持ち主を巡る裁定。品評会に置き忘れられた珍種の万年青を巡って、大店の主と裏店住まいの職人の二人の男が「我こそが持ち主である」と主張して引き下がらない。麻之助は真の持ち主は別にいるとにらむ。真の持ち主は誰なのか?その人物は何故、品評会の会場に万年青を置き捨てて行ったのか?万年青愛好家の熱狂と、薀蓄を語らずにはいられないオタク心、自分の名は残せなくても万年青の品種改良に心血を注ぐ奉公人の切なさが印象的で、これまでの放送の中では一番面白い話だった。
第三回「こけ未練」は、お寿ずから又四郎が会いたがっているとの知らせを受けた麻之助が、土産を買いに立ち寄った高級菓子店で拾った迷子の狆と、道中で知り合った家出中の町娘・おしんを巡る騒動に巻き込まれる話。奉行所が探索していた「こりん様」という姫の正体とは…?「こけ未練」とは、詰まらぬことに執着する心を指す言葉なのだそうだ。おしんのマリッジ・ブルーも麻之助のお由有への想いも、人生の大半を病床で過ごし、好きな女の幸せを他の男に遺言せねばならない又四郎の無念と比べれば、所詮は「こけ未練」なのだろう。
放送は毎週木曜午後八時。再放送は通常翌週木曜午後二時五分ですが、甲子園中継の都合で変更することもあるので要注意。
次回は「静心なく」。又四郎がついに亡くなってしまいます。麻之助は又四郎からお寿ずの事を頼まれていますが、お寿ずは約束通り麻之助との縁談を無かったことにすると言います。そんな折、お由有の息子・幸太が誘拐され、ショックを受けた源兵衛が卒中で倒れてしまいます。身代金五十両を要求する手紙が届き、お寿ずが、お由有の身代わりに身代金を届けることになりますが…。