iPodの普及を見てか、ここに来て携帯電話とMP3プレイヤーとの距離が近づいている。日本では何度も失敗している「携帯ウォークマン電話」だが、着うたフルのダウンロード数がわずか2.5ヶ月で200万ダウンロードを突破したり、あるいはドコモもそれへの対抗策として「Music PORTER」や「F901iC」の投入を進めたりしている。果たして今回は飛躍ができるのだろうか。
まずニュースから。世界最大級の携帯電話メーカーNokiaがMSと手を組んで音楽サービスに手をつけるという。具体的には、「Nokiaの携帯端末でMicrosoftのWindows Media Audio/Windows Media Digital Rights Management(DRM)10/Media Transfer Protocol(MTP)をサポート」し、Nokiaの携帯端末とWindows XP搭載PCとの間で接続やコンテンツの転送がしやすくなる」とのこと。
そしてもう1つ、SONYエリクソンがまさしく「携帯"ウォークマン"電話」を開発するとのこと。SONYの意向を受けて「携帯電話向けに音楽ダウンロードサービスを提供する予定」であるが、社長のフリント氏は、「当初ユーザーが手持ちのCDをリッピングしてこの携帯電話にコピーすることを想定」していたとのこと。
またMotorolaは今年中にiTunes携帯を出荷する予定というニュースも。
ノキアとマイクロソフト、携帯電話向けの音楽配信サービスで提携
ITmediaモバイル:MSとNokia、携帯向け音楽配信で提携
ITmediaモバイル:Sony Ericsson、マス向け3G端末を発表~将来はウォークマン携帯も
これらのニュースは、まさに日本の携帯電話向け音楽配信ビジネスと海外のそれとの違いを明らかにしているものだと思う。
日本の場合、通信キャリアが各メーカーに対して研究開発費などの支援を行い、携帯端末を開発するというスタイルが続いてきた。これはキャリアが端末までを含めた様々なサービスを提供するということでもある。FOMAなどの通信規格はもとより、imodeのようなサービスの仕様を定め、それに応じたアプリケーションやデバイスを共同に開発する。メーカーにとっては巨額な開発投資のリスクを減らし、キャリアにとっては己のサービスを拡充することで他キャリアより多くの顧客を囲い込む。
しかしこと海外に目を移すと、キャリアはただの通信屋でしかない。端末はあくまでメーカーが開発するものだ。だからこそ2G携帯市場では、世界的に使われていた通信規格GSMなどに基づいて、規模の経済を活かした競争を繰り広げてきた。
そうした違いもあって、海外のメーカーでは携帯の音楽サービスというと、まずはPCでCDからMP3などにリッピングしたり、iTMSからPCにダウンロードした音楽ファイルを携帯電話に「転送」するという発想になってしまう。PCユーザーが携帯電話でも音楽を聞くことができることこそ「音楽ケータイ」なのだ。
ITmediaモバイル:「自慢の音楽ケータイを見せてください」と海外メーカーに聞いてみると
これに対して日本のキャリアであるKDDIが行ったことはまさにキャリアのサービスだ。あくまで携帯向けにフォーマットされた音楽を携帯に対して配信する。この違いは意識しておく必要がある。
ではこれから「携帯ウォークマン電話」はどうなるのか。
海外ではもちろんPCとどう連動するかということが大きいのだろう。しかし日本では携帯を使って様々なサービスを利用する層、所謂ARPU(加入者一人あたりの月間売上高)を高めているのはPCユーザ層ではなく携帯派だ。彼らはPCを必要とはせず、メールにしろWebにしろカメラにしろスケジュールにしろ全て携帯電話が果たしている。彼らをターゲットとするのならば、PCでリッピングした音楽ファイルをSDカードやUSBケーブルを使って携帯に転送するといったやり方は通用しない。むしろ「着うたフル」のように携帯電話で完結できるサービスが求められるだろう。
そしてPCユーザーをターゲットとする場合、iPodやHDDプレイヤー、メモリープレイヤーとの競争の中で携帯電話を選択する積極的な理由は特にない。単純に海外での事情を真似て日本に持ち込んだとしてもそれでは難しいだろう。
ただ個人的にはこれまでも何度か書いているように、メディアにとらわれない「コンテンツ」流通が求められる時代になり、それを支えるものがネットワークだと考えているので、キャリアやコンテンツサービスプロバイダー(CDP)には、ネットワークを通じて携帯でもPCでも使える環境を作って欲しいと思う。それは携帯電話ユーザーだけではなくPCユーザーもネットワーク上で楽曲を購入しかつ保管しておく。時には携帯電話で、時にはPCにダウンロードして利用できるというサービスだ。その時のメインプレイヤーはキャリアなのか、ポータルサイトなのか、CDPなのかはまさにこれからの競争だろう。
また別な機会に書きたいと思うが、「ユビキタス社会」というのはこれまでのようなネットワークに接続できる端末ではなく、ネットワークの終端として端末が存在している社会だ。そこにはFDやMO、MD、SDなどの別メディアに情報を移すなどといった行為は不要となるのだろう。
まずニュースから。世界最大級の携帯電話メーカーNokiaがMSと手を組んで音楽サービスに手をつけるという。具体的には、「Nokiaの携帯端末でMicrosoftのWindows Media Audio/Windows Media Digital Rights Management(DRM)10/Media Transfer Protocol(MTP)をサポート」し、Nokiaの携帯端末とWindows XP搭載PCとの間で接続やコンテンツの転送がしやすくなる」とのこと。
そしてもう1つ、SONYエリクソンがまさしく「携帯"ウォークマン"電話」を開発するとのこと。SONYの意向を受けて「携帯電話向けに音楽ダウンロードサービスを提供する予定」であるが、社長のフリント氏は、「当初ユーザーが手持ちのCDをリッピングしてこの携帯電話にコピーすることを想定」していたとのこと。
またMotorolaは今年中にiTunes携帯を出荷する予定というニュースも。
ノキアとマイクロソフト、携帯電話向けの音楽配信サービスで提携
ITmediaモバイル:MSとNokia、携帯向け音楽配信で提携
ITmediaモバイル:Sony Ericsson、マス向け3G端末を発表~将来はウォークマン携帯も
これらのニュースは、まさに日本の携帯電話向け音楽配信ビジネスと海外のそれとの違いを明らかにしているものだと思う。
日本の場合、通信キャリアが各メーカーに対して研究開発費などの支援を行い、携帯端末を開発するというスタイルが続いてきた。これはキャリアが端末までを含めた様々なサービスを提供するということでもある。FOMAなどの通信規格はもとより、imodeのようなサービスの仕様を定め、それに応じたアプリケーションやデバイスを共同に開発する。メーカーにとっては巨額な開発投資のリスクを減らし、キャリアにとっては己のサービスを拡充することで他キャリアより多くの顧客を囲い込む。
しかしこと海外に目を移すと、キャリアはただの通信屋でしかない。端末はあくまでメーカーが開発するものだ。だからこそ2G携帯市場では、世界的に使われていた通信規格GSMなどに基づいて、規模の経済を活かした競争を繰り広げてきた。
そうした違いもあって、海外のメーカーでは携帯の音楽サービスというと、まずはPCでCDからMP3などにリッピングしたり、iTMSからPCにダウンロードした音楽ファイルを携帯電話に「転送」するという発想になってしまう。PCユーザーが携帯電話でも音楽を聞くことができることこそ「音楽ケータイ」なのだ。
ITmediaモバイル:「自慢の音楽ケータイを見せてください」と海外メーカーに聞いてみると
これに対して日本のキャリアであるKDDIが行ったことはまさにキャリアのサービスだ。あくまで携帯向けにフォーマットされた音楽を携帯に対して配信する。この違いは意識しておく必要がある。
ではこれから「携帯ウォークマン電話」はどうなるのか。
海外ではもちろんPCとどう連動するかということが大きいのだろう。しかし日本では携帯を使って様々なサービスを利用する層、所謂ARPU(加入者一人あたりの月間売上高)を高めているのはPCユーザ層ではなく携帯派だ。彼らはPCを必要とはせず、メールにしろWebにしろカメラにしろスケジュールにしろ全て携帯電話が果たしている。彼らをターゲットとするのならば、PCでリッピングした音楽ファイルをSDカードやUSBケーブルを使って携帯に転送するといったやり方は通用しない。むしろ「着うたフル」のように携帯電話で完結できるサービスが求められるだろう。
そしてPCユーザーをターゲットとする場合、iPodやHDDプレイヤー、メモリープレイヤーとの競争の中で携帯電話を選択する積極的な理由は特にない。単純に海外での事情を真似て日本に持ち込んだとしてもそれでは難しいだろう。
ただ個人的にはこれまでも何度か書いているように、メディアにとらわれない「コンテンツ」流通が求められる時代になり、それを支えるものがネットワークだと考えているので、キャリアやコンテンツサービスプロバイダー(CDP)には、ネットワークを通じて携帯でもPCでも使える環境を作って欲しいと思う。それは携帯電話ユーザーだけではなくPCユーザーもネットワーク上で楽曲を購入しかつ保管しておく。時には携帯電話で、時にはPCにダウンロードして利用できるというサービスだ。その時のメインプレイヤーはキャリアなのか、ポータルサイトなのか、CDPなのかはまさにこれからの競争だろう。
また別な機会に書きたいと思うが、「ユビキタス社会」というのはこれまでのようなネットワークに接続できる端末ではなく、ネットワークの終端として端末が存在している社会だ。そこにはFDやMO、MD、SDなどの別メディアに情報を移すなどといった行為は不要となるのだろう。
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