ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

「楽天×ドコモ」はオークション市場にどう挑むのか

2005年10月12日 | ビジネス
対Yahoo!対策ということで、楽天とドコモが手を結んだ。とはいえ、記事を読む限りあまり具体的な姿は見えてこない。単純に考えれば、ドコモの公式メニューとして「楽天オークション」が登録され、しかもドコモの課金決済を利用して売買ができるという風に考えがちであるが、どうやらそうは簡単にいかないようである。何が、この提携の歯切れを悪くしているのだろうか。

 ヤフー追撃へ、楽天とドコモがオークション事業で資本提携

まぁ、循環型社会の到来といえば聞こえはいいが、少なくとも最近の「オークション」の普及というのは、国際語となった「MOTTAINAI」の精神でもなければ循環型社会の精神が反映されたわけでもない。どちらかといえば「使い捨て文化」の発達と「拝金主義」が結びついたところにあると言ってもいいだろう。金はないけど新しいものが欲しいというもの同士がどんどん物を販売し、あるいは一攫千金を狙う者がいろんな物を売り払う。しかしそこには悪意は薄く、その「軽さ」からかケータイ世代が飛び乗った。そんな感じなのだろうか。

マスをターゲットにしたオークション事業なんて人と物が集まってなんぼ、というわけでPCでは圧倒的にYahoo!オークションが勝ち組になっているし、ケータイを使ったものに特化すればbiddersが健闘している。もっともbiddersはKDDIと提携しているけれど。

そんなこんなもあって、PC上で差をつけられた楽天と、ケータイ・オークションで差をつけられたドコモが手を結んだというところなのだけれど、これがどうも歯切れが悪い。今回の発表では、両者で新会社を作り、「個人または個人事業主が出品するオークションサービス「楽天フリマ」の事業」と楽天本体と共同で「楽天市場の出店者が開催する楽天スーパーオークション」を提供するという。但し課金決済は利用者の利便性を考え、他の携帯電話事業者にも提供していく見たいだし、「新会社はモバイル向けの新サービスを今後提供する」ようだが、課金決済をドコモが提供するかは未定とのこと。うーん、ドコモは結局何がしたいのか。

おそらく当然、携帯を使って課金決済をやりたいことはやまやまなのだろうが、このある意味個人間取引の決済手段にドコモの課金決済を提供するかというのは非常に微妙な問題だ。

まず課金手数料の問題がある。携帯事業者の課金手数料というのは決して安くはない。通常でも10%前後、場合によっては20%などといったこともある。これでは個人のオークションでは利用してもらえないだろう。

また現行のドコモの課金決済の場合、「未回収」という問題もある。例えばある事業者がドコモの課金決済を利用した場合、未回収が発生したとしても全体の数%というところだ。まぁ、商売をしている以上、そうしたリスクは仕方がない。しかし個人が利用するとなるとどうか。1人数件の取引の場合、未回収リスクは数%です、なんていい方は存在しない。大きなクレームが予想される。そう考えると個人への開放というのはなかなか進まない。

当然ながら、NTTブランドという信用を武器にしているドコモとしては、オークションの詐欺行為といった犯罪に関わりたくないという思いも強いだろう。今回の場合、楽天が60%の資本ということだし、おそらくブランドも楽天ブランドだろうから、まぁ、陰に隠れたというところだろう。

Yahoo!やKDDIを見ていれば、何かしたいでも何もできそうもない、そんなジレンマの結果としての提携というところなのだろうか。

まぁ、もちろん夏目さんも絡んでいるようなので、これから何かを仕掛けてくれるのかもしれない。ただ楽天スーパーオークションのような事業者と個人といったようなオークションや、高級品・セレクト品のオークションのようなものでない限り、ドコモが積極的に課金決済までも含んだ協力というのは難しいのではないだろうか。

以前、「バイマ」のコンセプトについて書いたときにも述べたけれど、今後、全体的にはオークションへの規制は強くなるし、ある程度信頼性・安全性を求めるバイヤーなどもいるはずである。オークションに限らず、「代引き」といった発想をもったサイトが出てきてもいいのではないだろうか。

 「バイマ」は「ヤフオク」を越えられるか




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