「YouTubeに違法コンテンツの責任はない」という判決がスペインの裁判所でおりたとのこと。スペインのテレビ局Telecincoが違法コンテンツの削除などを求めていた訴訟なのだが、ここでのポイントはYouTubeは「メディア」ではなく「ホスティング」サービスであり、著作権侵害が発生した場合にも、デジタルミレニアム法の免責条項の対象になるという点だろう。
「YouTubeに違法コンテンツの責任はない」、スペインの裁判所が判断 - ニュース:ITpro
デジタルミレニアム法の免責条項とは、オンラインで著作権侵害行為が発生したときに当該コンテンツを削除すればプロバイダは免責されるという規定。Googleは著作権管理ツールを提供しており、仮にYouTube上に著作権違反のコンテンツがアップロードされたとしても、Googleが直接著作権侵害には当たらないとされる。そしてそのためには、Googleが自らコンテンツを生成する「メディア」ではなく、「ホスティング」企業であることが大事となる。
日本で「ホスティング」というと、WEBサーバはストリーミングサーバなどの機能貸しで、借り手側がドメインなどを用意するというイメージが強い。しかしここではもう少し広い意味合いで使われているようだ。YouTubeやあるいはブログ、SNSのようなソーシャルメディアについても、サイト自身がコンテンツを生成しているのではなく、あくまでユーザーの作成したコンテンツを「ホスティング」しているだけ、と捉えている。
以前の感覚であれば、コンテンツを掲載しているサイト運営者側にこうした管理責任はあったと思う。しかしYouTubeが普及し、敵対するよりも利用した方がメリットが大きくなり、ブログやSNSなどの登場によって、サイト側の管理責任を全て問うということが事実上不可能となり、またそうすることがITサービス・ネットサービスの普及を阻害するという状況に変化したために、著作権者や利用者の側の意識も変わり始めた。
著作権者側は、YouTubeやソーシャルメディアに関しては著作権侵害については出来る範囲で対応し、逆にプロモーションなどでうまく活用することを考え、コンテンツの違法ダウンロードサイトなど直接損害を与えるものについては強硬な対応をとるという風に、スタンスを使い分けている。
しかしソーシャルメディアと一口にいってもそのサービスは千差万別だ。
YouTubeは確かにユーザーが映像をアップロードしているだけだといえば「ホスティング」のイメージに近い。同じく動画のアップロードが前提だとしても「ニコ動」ではあるユーザーが「動画」をアップロードし、違うユーザー群がその上に「コメント」を掲載する。しかもシステム的に(つまり運営者側のポリシーとして)古いコメントが消え新しいものが目立つように工夫されている。
ここでは、1)動画コンテンツが著作権侵害をしている可能性、2)その上に異なるテキストを掲載し、著作者の了解なしにコンテンツの二次加工をしている可能性、3)二次加工されたコンテンツを運営者側がさらに改変している可能性がある。もちろん「クリエイティブ・コモンズ」を前提に、n次加工・改変が認められているものはこれには当たらないだろうが。
まぁ、ニコ動の場合、このコンテンツは誰のものか、あるいはどこまでを1つの「コンテンツ」と見なすかという問題もあるので簡単に整理はできないサービスだったりする。これを「ホスティング」と一括りにしてしまっていいのかどうか。
またブログやSNS、ツイッターなど歌詞や文章を掲載する場合でも、どこまでを引用として許容するかというのは難しい問題だ。ネット以前であれば、作家や記者、編集プロダクションなど書き手は限られていたこともあり、暗黙の了解が存在していたが、HP、ブログ、ツイッターの登場で国民総作家といった状況だ。著作権侵害という認識も低ければ、引用との線引なども難しい。多くのサイト運営者側で何かあれば「削除」可能な利用規約にはしているだろうが、現実的にその対応は難しい。
日本ではまだデジタルミレニアム法のような規定は無かったと思うけれど、実行上、またIT産業・ネット産業の育成という観点からはこうした処置は必要になってくるだろう。あくまでもリアルな世界とは違うルール作りが求められているのだ。
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以前の感覚であれば、コンテンツを掲載しているサイト運営者側にこうした管理責任はあったと思う。しかしYouTubeが普及し、敵対するよりも利用した方がメリットが大きくなり、ブログやSNSなどの登場によって、サイト側の管理責任を全て問うということが事実上不可能となり、またそうすることがITサービス・ネットサービスの普及を阻害するという状況に変化したために、著作権者や利用者の側の意識も変わり始めた。
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まぁ、ニコ動の場合、このコンテンツは誰のものか、あるいはどこまでを1つの「コンテンツ」と見なすかという問題もあるので簡単に整理はできないサービスだったりする。これを「ホスティング」と一括りにしてしまっていいのかどうか。
またブログやSNS、ツイッターなど歌詞や文章を掲載する場合でも、どこまでを引用として許容するかというのは難しい問題だ。ネット以前であれば、作家や記者、編集プロダクションなど書き手は限られていたこともあり、暗黙の了解が存在していたが、HP、ブログ、ツイッターの登場で国民総作家といった状況だ。著作権侵害という認識も低ければ、引用との線引なども難しい。多くのサイト運営者側で何かあれば「削除」可能な利用規約にはしているだろうが、現実的にその対応は難しい。
日本ではまだデジタルミレニアム法のような規定は無かったと思うけれど、実行上、またIT産業・ネット産業の育成という観点からはこうした処置は必要になってくるだろう。あくまでもリアルな世界とは違うルール作りが求められているのだ。
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