昨日、街かど古典カフェ春季講座へ参加しました。街かど古典カフェは、講師の方を囲み、京町家やカフェなどくつろいだ雰囲気の中で、古典に親しみ、学び、こころ豊かな時間を過ごすというものです。
私は、廬山寺で行われる京都学園大学教授山本淳子先生の講座に参加させていただきました。テーマは「源氏物語と紫式部」です。1回目は、紫式部が源氏物語を書くようになった背景について学びました。源氏物語は紫式部が仕えていた一条天皇の中宮彰子のために書いたとされる説があります。当時の物語は、誰かのために・・・例えば、何某の姫様のためにとか、奥方様のために書いてほしいという、発注があって書かれることがほとんどでした。しかし、今回の講義の内容は、最終的には中宮のために書かれたのかもしれませんが、書きはじめたきっかけは、紫式部が自らのために書いたのではないかという説です。
寛弘5年(1008)に書かれた紫式部日記に、夫に先立たれた喪失感、先々の暮らしへの不安感などを紛らすために「物語」というものを書きはじめたという記述があります。その「物語」こそが源氏物語の、男たちが勝手に女の品定する様子が書かれた「帚木」、年老いた受領の後妻にせまる「空蝉」、廃屋に暮らす幸薄そうな女に惹かれる「夕顔」の三帖ではないかというものです。これらは下層階級の暮らしを描いた話で、中宮に仕える前、御所の暮らしに通じてなくても書ける内容であり、喪失感、不安感に苛まれていた紫式部自身を投影したのではないかとのことでした。講師の山本先生のわかりやすい解説とやわらかな口調も加わり・・・この説には大いに納得した私です・・・。王子様や貴族との身分違いの恋、女性なら誰でも夢見るお話です。(^^;)ただ、源氏物語が書かれたのは1000年以上前の事、本当の事はわかりません。
古典カフェのもう一つの楽しみ・・・お茶とお菓子は・・・今回は「とらや」さんの落雁でした。形や色によって味もちがいます。ニッキや生姜が入っていて・・・上品な甘さとほどよいサイズ、おいしかったです。京都地区限定菓子「京の香」です。
会場の廬山寺のある場所は、紫式部が源氏物語を執筆した場所とされています。お寺の詳細については、次回ご報告します。