おはようございます。
昨日に続いて 松尾芭蕉 の俳句を少し 紹介しましょう。
しぶ柿や ひと口喰らふ 猿のつら
最近の若い人には しぶ柿が分からないようです。柿自体もよほど好きでなければ 滅多に
卓上に出ることも無くなってきました。 柿、栗、イチジク、スモモ、イチゴなどは
自家栽培もあわせてそこらの空き地や雑木林などに成っていて 学校の帰りや遊びの途中の燃料補給
としてよく食べたものです。
むかしは身近にあったものが、欲しかったらスーパーで買うのが当たり前になっています。
ですから しぶ柿というものを知らない世代の人が この句を見ても よくわからないかも知れませんね。
細かいところですが しぶ柿や ですが今なら しぶ柿を としませんか。渋柿を ひと口喰らふ 猿のつら
そして現代では 喰らう でしょうが江戸時代は 文語文でしたから 食らふ ですね。
最後の猿はそのままで つらは面‥顔ですね。
猿について今はかえって見かけるようになりました。ゴルフは山の中がほとんどですから駐車場に猿の群れが
たむろしているのを見かけます。
ゴルフ場の中でも 樹木をよく見ると リスが登って遊んでいたり鹿がこっちのプレーを見学している姿も見ます。
自然はなくなりつつある と何かで読んだり聞いたりした時代がありました。
多分高度経済成長期の真っ只中の頃、昭和四十年から五十年代だったでしょうか。公害があちらこちらで発生したり、丘陵地帯を
ブルドーザーが轟音を立てて山野を破壊している傍を小動物が逃げ回るのを映像で観るにつけ やるせない気持ちになりました。
今は自然を壊すような工事は減ったように思いますが、それでも集中豪雨などで起る住宅の災害は自然の摂理に反した工事の後が多いようです。
松尾芭蕉の句は もっと趣(おもむき)のある 例えば ふる池や かわず飛び込む 水の音 のように解釈が哲学的な作品があります。
私は単に お寺のそばにあった半分埋もれかけた小さな池に カエルがドボンとハマった、 ただそれだけを描写した、それのどこがいいのかな?
と今でも思っていますが、ネットでは奥の深い解説が並んでいます。
中には 英訳したものもありました。しかも英訳には40を超える英訳作品があります。
俳句は 5・7・5 のリズムで合計17文字の中に季節を入れながら仕上げるのがルールですよね。
俳句はこの季節感を表わす 季語 を入れることで四季折々の俳句が出来ますが、 この季語が足かせになって難しくとらえると
季語のないなんでもオッケーの川柳が取っ掛かり易いというので 大層な人気の様です。
冒頭の しぶ柿や ひと口喰らふ 猿のつら などは ほほえましい風景が浮かんできますが、これなどは俳句というよりも
庶民的な 川柳かな と思います。松尾芭蕉自体も 気さくな旅行好きな人のようでしたので、
枠にはまった堅苦しさよりも肩凝りがほぐれるような 面白いのが好きだったんじゃないでしょうか。