一時は店を壊すくらいの勢いで酔っ払っていた佐川本部長ですが、赤井さんと長原部長を見て治まりました。う~ん…自制したのでしょうね(笑)
こじんまりしたお店の中はたまに他の酔客の歓声が聞こえて来るくらいで、気怠そうなジャズが流れています。
♪
水割りを傾けた赤井さん…グラスの氷をもてあそびはじめています。
閑静な時間が流れ出して誰か何かを話そうとしていますが、なにを喋ったらよいのか途方に暮れていました。
やばい雰囲気に長原ちゃんはどうしたでしょうか(笑) 彼のくだけた話題作りも最初だけでした。
大勢いるならそんな話芸も通じたかも知れませんが、 この狭い空間でしかも三人でしょ(笑)
膝を揺すり小忙しくグラスを傾けるのが関の山でした。 そこへ…
『店のおごりよ』
ママさんがダシ巻きを置きました。ふんわり仕上がったダシ巻きからはいい香りが漂いました。
『お~うまそう♪』何かきっかけが欲しかった長原ちゃんは思わず声を上げました。
『本当美味しそうだわ』顔を突出して赤井さんも笑顔です。
二人はダシ巻きを見ながら佐川本部長の様子を窺います。
『ダシ巻きか…』俺はこれが好物でね!
佐川本部長も顔を崩していました。 『ママさん!お箸~』『はいはい!』ママさんが箸を持って来るや三人は争うようにダシ巻きを食べ始めました(笑)
『あっふっふふ』 出来たてのダシ巻きは熱かったのでしょうね(笑)
『ママさんお冷や下さいな』
長原ちゃんが叫びます 『そこの水割り飲んだら…』
『こんなの飲んだら酔いますよ』
『酔いに来てるんだろ…』
『そりゃあそうですが、ダシ巻きにはお水ですよ(笑)』
いつもの賑やかさになりました。
たったダシ巻きひとつでこうも場が変わるなんておかしな話ですね(笑) 三人がダシ巻きを食べ終わった頃佐川本部長がポツリと話し出しました。
『俺の姉貴はさぁ…』
『えっ本部長にお姉さんいたんだ』突っ込む長原ちゃんに赤井さんが肘で合図しました。 『うん?』それに気がついた長原ちゃんは口にチャックをする素振りをして首をすくめました。佐川本部長がそれを見て穏やかに笑って話を続けます。
『学校の勉強が物凄くできたんだよ』
『へぇ~』
『いつも一番でさ俺なんか足許にも及ばないんだよ』
確か佐川本部長はW大でした。
ここだって相当勉強ができないと行けませんよね。
『でもね、うちは田舎だったから女には余計な学問はいらない、なんて風潮だったんだよ』『今から40年くらい前だからさ…』
そう言って佐川本部長は遠くを眺めるような視線で水割りを含みました。
なるほど40年前…昭和の40年代ですね。あの時代まだまだ地方では 男尊女卑の傾向が残っていましたね。
『だから姉貴は学校を卒業して働いたんだよね…』
『で…姉貴が崇史は男だから上の学校に行きなさいよ…て励まされてね、俺は大体が出来ん坊だったんだけどさ…』
静かに笑いながら佐川本部長は首をすくめました。
『本部長はWでしょ?』
あの、都の西北… ですね♪
『そうだよ。』
『じゃあ勉強できたんじゃあないですか(笑)』
長原ちゃんが聞き返しますように確かにW大なら胸を張っていいくらいですね。
『そうだね』
佐川本部長はあっさりと認めました。
こじんまりしたお店の中はたまに他の酔客の歓声が聞こえて来るくらいで、気怠そうなジャズが流れています。
♪
水割りを傾けた赤井さん…グラスの氷をもてあそびはじめています。
閑静な時間が流れ出して誰か何かを話そうとしていますが、なにを喋ったらよいのか途方に暮れていました。
やばい雰囲気に長原ちゃんはどうしたでしょうか(笑) 彼のくだけた話題作りも最初だけでした。
大勢いるならそんな話芸も通じたかも知れませんが、 この狭い空間でしかも三人でしょ(笑)
膝を揺すり小忙しくグラスを傾けるのが関の山でした。 そこへ…
『店のおごりよ』
ママさんがダシ巻きを置きました。ふんわり仕上がったダシ巻きからはいい香りが漂いました。
『お~うまそう♪』何かきっかけが欲しかった長原ちゃんは思わず声を上げました。
『本当美味しそうだわ』顔を突出して赤井さんも笑顔です。
二人はダシ巻きを見ながら佐川本部長の様子を窺います。
『ダシ巻きか…』俺はこれが好物でね!
佐川本部長も顔を崩していました。 『ママさん!お箸~』『はいはい!』ママさんが箸を持って来るや三人は争うようにダシ巻きを食べ始めました(笑)
『あっふっふふ』 出来たてのダシ巻きは熱かったのでしょうね(笑)
『ママさんお冷や下さいな』
長原ちゃんが叫びます 『そこの水割り飲んだら…』
『こんなの飲んだら酔いますよ』
『酔いに来てるんだろ…』
『そりゃあそうですが、ダシ巻きにはお水ですよ(笑)』
いつもの賑やかさになりました。
たったダシ巻きひとつでこうも場が変わるなんておかしな話ですね(笑) 三人がダシ巻きを食べ終わった頃佐川本部長がポツリと話し出しました。
『俺の姉貴はさぁ…』
『えっ本部長にお姉さんいたんだ』突っ込む長原ちゃんに赤井さんが肘で合図しました。 『うん?』それに気がついた長原ちゃんは口にチャックをする素振りをして首をすくめました。佐川本部長がそれを見て穏やかに笑って話を続けます。
『学校の勉強が物凄くできたんだよ』
『へぇ~』
『いつも一番でさ俺なんか足許にも及ばないんだよ』
確か佐川本部長はW大でした。
ここだって相当勉強ができないと行けませんよね。
『でもね、うちは田舎だったから女には余計な学問はいらない、なんて風潮だったんだよ』『今から40年くらい前だからさ…』
そう言って佐川本部長は遠くを眺めるような視線で水割りを含みました。
なるほど40年前…昭和の40年代ですね。あの時代まだまだ地方では 男尊女卑の傾向が残っていましたね。
『だから姉貴は学校を卒業して働いたんだよね…』
『で…姉貴が崇史は男だから上の学校に行きなさいよ…て励まされてね、俺は大体が出来ん坊だったんだけどさ…』
静かに笑いながら佐川本部長は首をすくめました。
『本部長はWでしょ?』
あの、都の西北… ですね♪
『そうだよ。』
『じゃあ勉強できたんじゃあないですか(笑)』
長原ちゃんが聞き返しますように確かにW大なら胸を張っていいくらいですね。
『そうだね』
佐川本部長はあっさりと認めました。