寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

夢よ!再び…18

2011年05月12日 08時01分19秒 | 日記
一時は店を壊すくらいの勢いで酔っ払っていた佐川本部長ですが、赤井さんと長原部長を見て治まりました。う~ん…自制したのでしょうね(笑)
こじんまりしたお店の中はたまに他の酔客の歓声が聞こえて来るくらいで、気怠そうなジャズが流れています。

水割りを傾けた赤井さん…グラスの氷をもてあそびはじめています。
閑静な時間が流れ出して誰か何かを話そうとしていますが、なにを喋ったらよいのか途方に暮れていました。
やばい雰囲気に長原ちゃんはどうしたでしょうか(笑) 彼のくだけた話題作りも最初だけでした。
大勢いるならそんな話芸も通じたかも知れませんが、 この狭い空間でしかも三人でしょ(笑)
膝を揺すり小忙しくグラスを傾けるのが関の山でした。 そこへ…
『店のおごりよ』
ママさんがダシ巻きを置きました。ふんわり仕上がったダシ巻きからはいい香りが漂いました。
『お~うまそう♪』何かきっかけが欲しかった長原ちゃんは思わず声を上げました。
『本当美味しそうだわ』顔を突出して赤井さんも笑顔です。
二人はダシ巻きを見ながら佐川本部長の様子を窺います。
『ダシ巻きか…』俺はこれが好物でね!
佐川本部長も顔を崩していました。 『ママさん!お箸~』『はいはい!』ママさんが箸を持って来るや三人は争うようにダシ巻きを食べ始めました(笑)
『あっふっふふ』 出来たてのダシ巻きは熱かったのでしょうね(笑)
『ママさんお冷や下さいな』
長原ちゃんが叫びます 『そこの水割り飲んだら…』
『こんなの飲んだら酔いますよ』
『酔いに来てるんだろ…』
『そりゃあそうですが、ダシ巻きにはお水ですよ(笑)』
いつもの賑やかさになりました。
たったダシ巻きひとつでこうも場が変わるなんておかしな話ですね(笑) 三人がダシ巻きを食べ終わった頃佐川本部長がポツリと話し出しました。
『俺の姉貴はさぁ…』
『えっ本部長にお姉さんいたんだ』突っ込む長原ちゃんに赤井さんが肘で合図しました。 『うん?』それに気がついた長原ちゃんは口にチャックをする素振りをして首をすくめました。佐川本部長がそれを見て穏やかに笑って話を続けます。
『学校の勉強が物凄くできたんだよ』
『へぇ~』
『いつも一番でさ俺なんか足許にも及ばないんだよ』
確か佐川本部長はW大でした。
ここだって相当勉強ができないと行けませんよね。
『でもね、うちは田舎だったから女には余計な学問はいらない、なんて風潮だったんだよ』『今から40年くらい前だからさ…』
そう言って佐川本部長は遠くを眺めるような視線で水割りを含みました。
なるほど40年前…昭和の40年代ですね。あの時代まだまだ地方では 男尊女卑の傾向が残っていましたね。
『だから姉貴は学校を卒業して働いたんだよね…』
『で…姉貴が崇史は男だから上の学校に行きなさいよ…て励まされてね、俺は大体が出来ん坊だったんだけどさ…』
静かに笑いながら佐川本部長は首をすくめました。
『本部長はWでしょ?』
あの、都の西北… ですね♪
『そうだよ。』
『じゃあ勉強できたんじゃあないですか(笑)』
長原ちゃんが聞き返しますように確かにW大なら胸を張っていいくらいですね。
『そうだね』
佐川本部長はあっさりと認めました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夢よ!再び…17

2011年05月11日 08時59分39秒 | 日記
佐川本部長から声を掛けられた長原ちゃんは今気がついた振りをしながら『誰かと思ったら悪酔いおやじだ♪』ニコニコして近付いていきます。
『何が悪酔いだよ…』苦笑しながらグラスを傾けます。
『ここいいですか』
『いいよ!別に俺の家じゃあないしさ』あられをつまみ食いしている佐川本部長はすっかりいつもの顔に戻っていました。恐らく後輩に醜態を晒したくなかったのでしょうね。。『それじゃもう一人くらい座れますね』
『もう一人…』
怪訝そうに見る佐川本部長を制して長原ちゃんは入口に戻りドアを開けるなり一人の女性を招き入れました。
小さく会釈して入ってきたのは赤井さんでした。
『えっ』驚く佐川本部長を尻目に長原ちゃんはズンズンと赤井さんを中へと押し込んで行きました。
『あぁ…赤井さんか』
『お疲れ様です』ペコリと頭を下げて赤井さんは佐川本部長の席まできました。
『いやぁ俺が帰ろうとしたらさぁ…』『えっ!違いますよ』慌てて長原ちゃんの言葉を遮り赤井さんは真っ赤なりました。
そうか…佐川本部長は赤井さんを見ながらすべてを知りました。
たぶん歓迎会で腐っている自分を慰めに赤井さんを連れて来たんだろうと…
『いらっしゃいませ』そこへママさんがおしぼりを持ってきました。彼女はチラッと赤井さんの顔に潤みのある美しい眼指しを向けました。
『いらっしゃいませ』
整然と席を作ります。
この一瞬…火花が散ったのを長原ちゃんや佐川本部長には分からなかったでしょうか(笑) 兎に角長原ちゃんはドカリと腰を据えます。
『さあ飲みましょう』
佐川本部長は笑いました。
『飲もうって俺はすっかり酔っ払っちゃったよ』
確かにバーボンを水割りで10杯以上飲んでいたのです。
『俺は気にしなくていいから長原ちゃん赤井さん飲んだら…』
『はぁ…』あの歓迎会からして今頃はベロンベロンになっているかもと心配して来て見たら以外と冷静だったので長原ちゃんや赤井さんは拍子抜けしました。
『ハハ~ン俺が悪酔いしてくだをまいていると思ってきたら普通なんでがっかりしたんだろう(笑)』
勘の鋭い佐川本部長は笑いながら指摘しました。
長原ちゃんは赤井さんと顔を見合わせながら肩をすくめました。
『ははは♪俺なら大丈夫だって』
余裕を漂わせる姿に先ほどまでの醜態の微塵もありません。
カウンターの向こうからママさんがニッコリ笑っている姿はどこか安堵感がありました。
『な~んだ本部長がグダグダ言ってたらぶん殴ろうと来たのに…』
茶化す長原ちゃん!
黙って佐川本部長の顔を見つめる赤井さん…
佐川本部長は素晴らしい部下を持って本当に幸せな方ですね(微笑)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夢よ!再び…16

2011年05月10日 08時20分54秒 | 日記
カラン♪カラン♪
ドアの呼び鈴が鳴りました!
『いらっしいませ』『いらっしいませ』
入口のドアが開けば反射的に店の女の子が声を出します。これは水商売の鉄則でしょうか。寿司屋、居酒屋 クラブ、スナック小料理屋… どこも同じであります。 昔話ですが私なんかせっかくいいところまで来たのに…今までの苦労が水の泡だよ、新たなお客の来店を恨んだものです(笑)
そりゃあ貸し切りじゃあありませんから仕方ないでしょうけど…
兎に角店の女の子とそれはもう親密なお話までこぎ着けて、あともう一息てところで先ほどの『いらっしいませ~』でしょ(笑)二人の話が盛り上がってフツフツ煮えたぎって来た頃に水を差されたようですね。
しかしよく考えてると女の子からして、お客様だし何だか話が迫ってくるわ、で困っていたかもしれませんね。そこへお客様の来店…ここぞとばかりに『いらっしいませ~』 一旦熱が冷めたらそう簡単に戻りません。
夢…そう夢から目が覚めた様に覚醒した自分を現実に戻してくれます。 ここで又続きだ!と言ってもお店の雰囲気も甘ったるい空気に風が通り過ぎて行ったみたいに一変ていますし。
おまけに女の子が一旦席を外したらもういけません(笑)
戻って来るなり『えーどこまででしたっけ』なんて誤魔化されてジ.エンドであります(笑)
横道に入りっ放しですね(笑)
話を戻しましょうか(笑)
ドアを開くなり『ヤッホ~♪』
山登りの掛け声よろしく入ってきたのは…
そう!長原ちゃんでした。
『みなさん!こんばんわ~』
まるでエンターテイメント気取りです(笑)
『あら…いらっしゃいませ♪』
落ち着いた高級感を売りにしたクラブなら眉を顰(ひそ)めるでしょう(笑)けど祇園とは言いながらもここはスナックです。威勢のよいお客は大歓迎♪ まして相手は素性の知れた大企業の管理職ですめもの…
誰だって酔っ払いの愚痴なんか聞きたくないでしょ(笑)
『あら長原ちゃんお久し振りです』
『おう!ママさん相変わらずキュートだね』
こんな冗談が言えるほど長原ちゃんは常連さんでありました。
『…で来てる?』長原ちゃんは親指を立てます(笑)
『ええ』目顔でうなずきながら指した先には佐川本部長がどっしりととぐろを巻いていました(笑)
『やっぱり…』
たぶんここじゃあないかと長原ちゃんは思っていました。実は二次会のカラオケから佐川本部長を見失ってしまいあちこち探した挙げ句ここにたどり着いたのでした。
『ママさんちょっと』長原ちゃんはママを呼び寄せると小声でささやきました。
『ゴチョゴチョゴチョ…』
『もうちょっと大きな声じゃあないと聞こえないわ』ママさんが訴えると長原ちゃんは舌なめずりをしながら『ママさんっていい香りがするねぇ(笑)』
『う~ん変態!馬鹿!』
長原ちゃんは内緒話をする風にしながらママさんの匂いを嗅いだだけでした(笑)
『ゴメン♪ゴメン一遍したかったのよ』ちっとも悪びらずに長原ちゃん。助平もここまでしたら大したものですね(笑)
このやり取りを眺めていた佐川本部長、クスリ♪と笑うと『おう助平の長原ちゃんか♪誰か探してるの~』
いつもの笑顔に変わっていました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夢よ!再び…15

2011年05月09日 10時13分40秒 | 日記
世間は広いようで狭いですよ。
臼井事業部長達が祝杯を上げていたスナックからわずか数軒隣りに佐川本部長がいらっしゃいました。
お供はなし…一人寂しくと言いますか怪気炎を上げていました。
『馬鹿野郎!』
グラスを飲み干しながら吠えている様はさながら傷ついた手負いの野獣です。
『どうしたのよ』 店のママさんが心配して声を掛けますが佐川本部長は知らん振りです(笑)
『こんなに荒れたたかしちゃん見るの初めてよ…』どこか色街の雰囲気が漂うママさんは心配顔でした。
『いやぁ~うちはさぁだいたいがスパナを持たなきゃあだめなんだよな』どうすることもできない学部閥をこの時ほど痛切に感じたことはなかったでしょう。
常日頃『学部なんて枠は取っ払っちゃえばいいんだよ !いや俺が必ず取っ払っちゃうぜ!』
酔えば必ずこだわっていました。
『そんなの本当にあるんですか』
長原ちゃんがいつも首をかしげていましたが、今回こんな人事異動をみるとやっぱりなぁ~と誰もが思うにちがいありません。
佐川本部長は普段は冷静に考える性格(たち)でしたが、さすがに今宵は無理でしたね。つい先ほどまでの歓迎会を思い浮かべては苦い酒を飲み干しました。あいつはああ言った、こいつはこう言った…捻くれて考えたらきりがありませんが、自他共に認められていた事業部長をあっさりと取られてはもらや冷静ではいられないでしょうか。カウンタ―越しにママさんがかいがいしく世話をしているのが唯一の慰めになっていたのでしょうか。ママさんは小雪さんに似た美人でしたから…女は三十路(みそじ)… ここのママさんはそんな女盛りです。髪を上げた和服の似合う美人です。
゛渾名(あだな)女はマブがある″
その通りママさんにはいい人がいました。ただこんな商売ですからオクビにも出さず健気に振る舞っていました。
そんな事は百も承知の佐川本部長。 危うく逃れた長原部長とは違いましたが、果たして… こんな夜は用心…用心です。
ママさんにはいい人がいると言いましたが祇園のママさんに堅気の人が付いているとも思えません。
酔っ払ったら佐川本部長とて男です。こんな感じで…つまり自棄っぱちになって身を持ち崩した人を祇園の街は数え切れないくらい見てきました。
『ママさん…今夜ヒマかい…』
バーボンをすでに十杯以上飲み干していた佐川本部長はすっかり自分を見失っていました。
『何ですか。たかしちゃんらしくもない…』笑ってはぐらかす常套手段です。
『ち違うんだよ…』
何が違うものですか(笑) ママさんは肝で笑っていました…
『俺決めたんだよ』
『何を決められたんですか』小首をかしげながら訊くのですが、
横から『ママさんお愛想頼む!』
別のお客が割りこみです。
『陽子さんお願い…』
『ちょっと待ってね』お客の帰りを見送ったり勘定をしたりとしばらく 店の用事にてんやわんやです。
これは仕方ないところでしょうか。 佐川本部長はポツリと独り残されました。
『くそう…』
ママさんの対応を罵ったのかわかりませんが佐川本部長はグビリと水割りを飲みました。 その時です。。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夢よ!再び…14

2011年05月07日 11時42分13秒 | 日記
臼井閥の祝賀会です。もちろん主役は臼井事業部長。軽口に皆が笑う場面が続いていました。
ここにいる三人もそれぞれに昇進を受けていましたから、そりゃあ笑いが止まらないでしょうね。
事業部長は配下の人事権も持っているのです…
松浦工場長は本部長へ…今川と本田は代理がとれて正式の部長さんになりました。
いわばご褒美ですね(笑)
『いいか…松浦、頼んだぞ』
『わかりました。』話しの中で何度も出てきました。 何を頼んだのでしょうか?
『お前たちも松浦を助けてやれよ』『はい』『はい』今川本田両部長も神妙にうなずきます。
現在組織の中枢は全て宮崎役員の色であります。それは何年も掛かって築き上げた宮崎閥でありました。
それを少しずつ臼井カラーに変えて行かなくてはなりません。
その第一歩がこの三人の昇格でした。
宮崎閥には中枢に佐川本部長がいました。彼を排除するにはまずその周りから固めて行こう…これが臼井事業部長の構想です。
このような派閥はどこともありまして、比較的温和な当社でも学閥などはあまり見掛けませんが以前説明しました通り学部閥がありました、
いわゆるペンよりドライバ―ですね(笑)
臼井事業部長以下三人は電子工学部ご出身でした。
販売よりも生産を重要している社風が成した構造です。
これに佐川本部長は苦しめられているのですが、果たして佐川本部長はどうなっていくのでしょうか
深夜まで続く歓声は学部閥の栄華を見ている様でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする