2012年の1年間で、タクシー内に忘れ物をしたという問い合わせが、東京都内だけで5万3,300件にのぼっています。うっかりやってしまう、タクシーでの忘れ物ですが、ある画期的なシステムで、その心配なくなる可能性があります。
「ついうっかり」、「急いでいたから」という理由でなくならないのが、忘れ物です。
特に忘れ物が多い場所といえば、タクシーです。街の人からは、「タクシーとかですね」、「よくタクシーの中に忘れちゃったりとか」といった声が聞かれました。しかし、そんな忘れ物を防止する世界初のシステムが、3日から試験運用されました。
忘れ物防止システムの搭載されたタクシーは、見た目は全く普通のタクシーです。しかし、スマートフォンを置き忘れると、タクシーから警報音が鳴ります。忘れ物を教えてくれる秘密は、車内の赤外線カメラにあります。後部座席周辺を監視しているこのカメラは、忘れ物がない車内の状態を記憶しています。そして、乗客が忘れ物をして、車から降りると瞬時に映像を解析。警報音で忘れ物を知らせてくれます。タクシー大手「kmグループ」の国際自動車が、システム会社と共同開発したこの忘れ物防止システムです。このシステムを開発した、イデアクロスの中嶋公栄社長は「プライバシーに配慮して、お客様の顔ですとか、お姿がくっきり映るといったものにはなっていない」と話していました。
このシステムは、1台およそ5万円だそうです。かなりコストがかかります。それでも導入する背景にあるのは、忘れ物の増加です。都内の忘れ物が集まる警視庁の遺失物センターでは、3カ月分の拾得物が保管されており、傘だけで7万本以上あるそうです。ほかにも、入れ歯や松葉杖なども忘れ物として届けられています。保管費用だけでも莫大な費用がかかります。
東京都内だけで、2008年には、およそ4万8,600件だったタクシーの忘れ物の照会件数は、2012年、5万3,300件にまで増加しているそうです。
「タクシーの中に、非常にスマートフォンをはじめとした忘れ物が多い」そうです。
爆発的に普及したスマートフォン。しかし、従来の携帯電話に比べて薄くなったうえに、ストラップもつけられない機種が多く、いつの間にやらポケットからするりと落ちていることもあります。いまや、タクシーでのスマートフォンの忘れ物は、都内で年間1万件近くにのぼるそうです。特に、タクシーの中では、座席や床が柔らかいため、スマホが床に落ちても、ほとんど音がせず、夜だと床に落ちれば、ほとんど見えないこともあります。酔っていたら、さらにわからなくなります。もちろん、今回の忘れ物防止システムは、そんな見えにくい場所でも大丈夫なようになっています。
忘れ物をとらえるカメラは、運転手の上だけでなく、運転席と助手席の下にも配置されています。たとえ、暗い床でも忘れ物をばっちり感知します。また、カメラはトランクの中にも設置されているので、ほとんどの忘れ物をカバーすることができるそうです。
この会社では、来春からグループのタクシーおよそ3,200台に搭載予定だそうです。ほかのタクシー会社への販売も検討しているそうです。