お国柄の違いと言ってしまえばそれまでであろう。19日、仏国で年金制度改革案に反対するデモに112万人が参加したそうである。給付開始年齢を62歳から64歳に繰り下げるだけでもこの騒ぎである。65歳までの繰り下げがなし崩しに施行されたにも関わらず、愚痴るだけの我が国とは大きな違いである。民主主義の成熟度の差と解釈しても構わないし、労働は刑罰と見做す欧州的思想が影響していると分析しても良さそうだし、暴れる理由が有るんだったら取り敢えず暴れる人がいっぱい居ると云った社会構造に起因すると講釈垂れるのも悪くない。それら複合的要因によって生じる差異を単純化して捉えるのが、一番危ういのかも知れない。ただ国民のやる気が沈滞し諦めムードが漂う現状は何とかしたい所である。切羽詰まった挙句「ええじゃないかええじゃないか」と踊り出す前に、お題目は何でもいいからデモで大声を出して鬱憤を晴らすと云うのも一つの知恵だと思うのである。
タイパ世代よりも「いらち」かも知れない。ニュース動画は余程の興味が無ければまず見ない。ざっと斜め読みすれば数十秒で分かる情報に対し、数分の視聴を強いられるからである。文字起こしも手間が掛かるとか言い訳せず、AIによる自動化を是非とも検討して欲しい。ただ記事を読んで「ふむふむなるほど」と感想を抱いて数時間後に忘れる、と云う湯水の如き情報の浪費を繰り返すニーズに応えるのも、建設的とは言い難いので多くは期待していない。タイパ世代の倍速視聴も結局の所、溢れ返る情報に対処する自己防衛の現れとも言える。中身よりも「観た」と云う事実に重きが置かれているのと同時に、反芻し内面化するに足りる情報をより効率的に探そうとすれば、どうしてもそう云う形になる。一時期あらすじサイトや速読術が持て囃されたりしたのも、根っこは同じだろう。拙稿同様に読んだら即座に忘れて良い情報の氾濫に真っ向勝負を挑まないのは賢明なのである。