ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

てんかさん(5)

2020年07月10日 16時47分26秒 | 田舎暮らし

てんかさんに歌碑があった。

 橘のにほふあたりのうたた寝は夢も昔の袖の香ぞする

橘は夏の季語、ちょうど今の時期に咲く日本固有の柑橘類の花。
御所の「右近の橘・左近の桜」と昔から親しまれてきた花。
でも・・・橘ってどんな花だったかなぁ~~~?
桜と違ってもう一つ存在感がないなぁ~~~?

まあそんなことどうでもいいや。
俊成女の歌、この歌のように何か満たされない、もやもやとした歌が多い。
家庭的には恵まれてなかったからだろうか・・・
すべて夢や煙の中に消えていく・・・

この歌の自己流訳

 橘の花の香りも夢の中昔の人の袖の中

他にも、

 下燃えに思ひ消えなむけぶりだに 跡なき雲のはてぞかなしき

この歌の自己流訳

 荼毘に付される私の思い誰にも知られず消えていく

さらにもっとも有名な俊成女の歌、

 風かよふ寝ざめの袖の花の香に かをるまくらの春の夜の夢

この歌の自己流訳
 
 春の夜明けの枕辺に夢か現か幻か花の香・花びら降ってくる 
 きっとこれは春の夜の夢

このような俊成女の歌とってもいとおしい。

かって万葉集を読み終えた時、
「こもよ みこもち ふくしもよ・・・」から始まり、
「あらたしき 年の初めの 初春の ・・・」で終わる万葉集を読み終えた時、
とっても感激した!
そこには新しい時代が始まった!という喜びが感じられた。
もちろん、裏では血なまぐさいどろどろとした世界ではあったけど、
素朴な命の喜びがあった。
でも去年から通して読んだ古今集にはそれが感じられなかった。
貴族のおごり、言葉遊び・・・
何とか読み終えたものの万葉集のような感激はまったく感じられなかった。
それから新古今集を読んでるけど、古今集よりはまし、滅びの芸術性を感じる。
でも今読むとやっぱり違和感を覚える。
「ベニスに死す」や「ルートヴィヒ」の映画を見たような違和感を。
万葉集・・・古今集・・・新古今集
曙・・・驕り・・・退廃
貴族の滅びの美・・・

てんかさんの史跡に立つと、ついついそう思ってしまう。

コメント
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