2/22 あれはいつだった? 第33話
日曜日、旭は部屋で昼食の後、ソファに横になってテレビを見ていた。
そして知らないうちにウトウトしていた。
旭の横を直子が通った。
直子はうたたねしている旭に毛布やブランケットをかけてくれた。
直子と言いながら旭は手を伸ばした。
旭の手がソファの前のテーブルにぶつかった。
目が覚めた。
ああ、直子はもういないんだ。
旭の目から涙があふれた。
旭は起き上がると、声をあげて泣いた。
両手で顔を覆い、なんで、なんでと言った。
殺す気なんかなかった。
なんであんなことをしたんだろう?
涙を側にあったタオルで拭くとあの日のことを思い出してみた。
直子とメイクラブをして、いつものように寝入った直子。
そこは旭が見つけたホテルの8階だった。
旭は電気を消すと、完全に開かないようになっている窓を
窓枠から外した。
そしてぐっすり眠っている直子を抱き上げると
窓に運び、直子を外に出すと腕を抜いた。
ドスンと鈍い音だけが聞こえた。
旭は窓を枠にはめた。
なんであんなことを。
直、直、また涙があふれた。
旭はどうしようもない悪夢に悩ませれていた。
それで直子に医者に言ったらと言われていた。
直子は旭のマンションに戻ってくるとそれまで以上に
旭に優しかった。
旭の望みに先回りして細かいことまでやってくれた。
だけど、あの時は直子が旭の先回りをするのが負担だった。
苦しかった。
そしてあの日、二人で風呂に入ったのだ。
ホテルの風呂は旭のマンションの風呂より大きかった。
旭、洗ってあげる と直子が言った。
私ね、弟たちのお風呂、よく母代わりに入れてやったのよ
と言いながら、器用に旭の体を洗った。
直子の手・タオルが旭の股間に差し掛かった。
旭はドキっとして、そこはいいよ
と直子の手をはらった。
旭は突然、姉3人に風呂に入れられたあの時を思い出した。
姉たちの6本の手が旭にまとわりついた。
そして、旭を引っ張ったり穴に指を入れたり
ひとつの手が旭の口に行き、旭は叫べなかった。
旭は真っ赤になっていた顔をうつぶせにして
歯を食いしばって直子に悟られないようにした。
その後、どうしたかあまりはっきりしない。
風呂からあがり、冷たいものを飲んで・・・・・
そして直子が誘うままにベッドに行った・・・・
その夜、直子の欲求が強かった。
旭にあの悪夢の影がなかったら、一緒に楽しんだかもしれない。
直子がリーダーシップを取ったときがあった。
旭を押し倒し、唇をはわした。
その唇が旭のまたの間に届いて、旭の体に沿って動いた。
そして旭を口の中に引きいれた。
旭のどこかにある抵抗に反して、旭は快感に任せた。
でもつよく吸われたとき、旭の心にあの時の憎悪がわいた。
わいた、湧いたのだった。
旭は直子をひっくり返すと、直子の中に入り
そして直子が悲鳴を上げるまで全力で直子を”愛した”。
それが旭の反撃、旭の真剣な仕返しだなんて
どうして直子にわかっただろう?
あの時にはできなかった仕返し、仕返し、仕返しなのだ。
直子が静かになって寝込むと、旭は直子を出た。
そしてトイレに行くと出した。
直子の中でする気にならなかった。
部屋に戻ると直子はシーツをかけられたままのカッコで眠っていた。
終わらせないとと旭は思った。
でもなんで直子と姉たちがゴッチャになったんだろう?
自首すべきなんだろうな?
でも死体もまだ見つかっていない。