先週、お伊勢参りに行ってきました。なんやかんやで伊勢に来るのは、4度目なんですが、お参りをするのは、学生のとき以来かも知れません。神宮の社殿は、前回の遷宮から10年近く経っているので、少し劣化感がありました。次回遷宮は令和15年。その直後に行くと、真新しい社殿が見れるな、と思いました。他に、松阪や志摩の方面にも行きましたが、家形埴輪の出土した宝塚古墳や志摩国一宮の伊射波神社はよかったですね。後者は急な山道しんどかったです。
今回は、ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調作品55『英雄』であります。この曲、ベートーヴェンの交響曲では一番好きなんではないかな、と思うことがあるんです。でもこの曲を取り上げたこと、そんなにないのかなあ、と思いました。それで少し振り返ってみると、いやいやけっこう取り上げていました。朝比奈さん、トスカニーニ、ムラヴィンスキー、ヴァント、バーンスタイン、バルビローリ、ブリュヘン、ベーム、スクロヴァチェフスキ、フルトヴェングラー、アバド、フリッチャイ、アントニーニ、山田一雄、とまあたくさんありました。朝比奈さんは、3種類も取り上げています。この曲やはりよく聴くんですねえ。好きなんでしょうね。
そんな中、今回はエーリッヒ・クライバーがVPOを指揮した演奏。1955年4月11-14日、ウィーンムジークフェラインでの録音です。言わずとしれたカルロス・クライバーの父であります。この人、1956年1月に65才で急逝されましたので、最晩年の演奏になりますね。この人の録音、それほど聴いたことないな、って印象でした。まあ、それほど多くの録音が残っているわけではないんでしょうか。いまやクライバーと言えばカルロスの方となってしまった感がありますねえ。
エーリッヒの英雄ですが、二種類の演奏が残っています。もう一つは1950年のACOとの録音ですが、この時代に短期間のうちに二度も録音するのは、ACOとの録音に不満があったからですかねえ。今回のVPOとの演奏のCDは、GRANDSLAM盤であり、LPからの復刻です。もともとがデッカの録音で、音質はよかったんでしょうか。この板起こし盤は、非常にいい音になっています。モノラルですが、鮮明で音はたいそう勢いの感じられるものとなっております。
それでこの英雄ですが、月並みな言い方ですが、とてもいい演奏です。まず、VPOの演奏がとても見事。変な言い方かもしれませんが無駄な音がない。まとまりが非常によく、VPOらしい美音。このころのVPOの素晴らしさを体感できるのでありました。そんなVPOを駆使してクライバー、入魂の演奏。あくまで客観的に英雄を描く。余分な主観的な表情よりも、徹頭徹尾、絶対音楽的に曲が演奏される。そしてとても厳しく妥協なしに演奏は進んでいく。鮮烈な表現であり、壮絶な表情が心に突き刺さる。そんな演奏を支えてるのがVPOの力ですねえ。先述のようにとても表現力が豊かであり、クライバーの意図を適格に、またそれ以上に演奏し、とても充実したまた、そして芳醇な味わい深い、英雄に仕立てているのでありました。
第1楽章、冒頭から非常に厳しい演奏で、弦楽器の響きが心に突き刺さる勢いで曲が進む。次第に熱気も加わり壮絶感も増してくる。それをVPOの精緻な演奏が支える。聴き込んでいくとVPOの演奏力には感服します。第2楽章葬送行進曲。非常に表現の幅が広く、それに心が揺り動かされるよう。弦に加えて木管の深い表情がとてもいい。標題をあまり意識することなく、勇壮で壮絶な表情にまで高まっていくあたりはとても心地よいです。特にこの楽章の後半以降がとても感動的でもあります。第3楽章スケルツォ。第2楽章の勢いを継承し、テンポを上げて一気呵成の演奏、たいそうな豪快さがいいですねえ。そして、終楽章。弦楽器の音色などとても瑞々しく、そして歌い上げる終楽章。それに相応しい高揚も感じながら、変奏は進む。畳みかけるような勢の中、しばし立ち止まってしっとりとした雰囲気もはさみつつ、クライバーとVPOが完全燃焼するような盛り上がりを感じる。とても充実した演奏であります。
今年もあとわずかになりました。まだ年賀状をまったく書いていません。年賀状を書く人がどんどん減っているそうですね。私ももう終わりにしたいのですが、なかなか踏ん切りがつかない小心者でありました。
(GRANDSLAM GS2091 2013年)
今回は、ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調作品55『英雄』であります。この曲、ベートーヴェンの交響曲では一番好きなんではないかな、と思うことがあるんです。でもこの曲を取り上げたこと、そんなにないのかなあ、と思いました。それで少し振り返ってみると、いやいやけっこう取り上げていました。朝比奈さん、トスカニーニ、ムラヴィンスキー、ヴァント、バーンスタイン、バルビローリ、ブリュヘン、ベーム、スクロヴァチェフスキ、フルトヴェングラー、アバド、フリッチャイ、アントニーニ、山田一雄、とまあたくさんありました。朝比奈さんは、3種類も取り上げています。この曲やはりよく聴くんですねえ。好きなんでしょうね。
そんな中、今回はエーリッヒ・クライバーがVPOを指揮した演奏。1955年4月11-14日、ウィーンムジークフェラインでの録音です。言わずとしれたカルロス・クライバーの父であります。この人、1956年1月に65才で急逝されましたので、最晩年の演奏になりますね。この人の録音、それほど聴いたことないな、って印象でした。まあ、それほど多くの録音が残っているわけではないんでしょうか。いまやクライバーと言えばカルロスの方となってしまった感がありますねえ。
エーリッヒの英雄ですが、二種類の演奏が残っています。もう一つは1950年のACOとの録音ですが、この時代に短期間のうちに二度も録音するのは、ACOとの録音に不満があったからですかねえ。今回のVPOとの演奏のCDは、GRANDSLAM盤であり、LPからの復刻です。もともとがデッカの録音で、音質はよかったんでしょうか。この板起こし盤は、非常にいい音になっています。モノラルですが、鮮明で音はたいそう勢いの感じられるものとなっております。
それでこの英雄ですが、月並みな言い方ですが、とてもいい演奏です。まず、VPOの演奏がとても見事。変な言い方かもしれませんが無駄な音がない。まとまりが非常によく、VPOらしい美音。このころのVPOの素晴らしさを体感できるのでありました。そんなVPOを駆使してクライバー、入魂の演奏。あくまで客観的に英雄を描く。余分な主観的な表情よりも、徹頭徹尾、絶対音楽的に曲が演奏される。そしてとても厳しく妥協なしに演奏は進んでいく。鮮烈な表現であり、壮絶な表情が心に突き刺さる。そんな演奏を支えてるのがVPOの力ですねえ。先述のようにとても表現力が豊かであり、クライバーの意図を適格に、またそれ以上に演奏し、とても充実したまた、そして芳醇な味わい深い、英雄に仕立てているのでありました。
第1楽章、冒頭から非常に厳しい演奏で、弦楽器の響きが心に突き刺さる勢いで曲が進む。次第に熱気も加わり壮絶感も増してくる。それをVPOの精緻な演奏が支える。聴き込んでいくとVPOの演奏力には感服します。第2楽章葬送行進曲。非常に表現の幅が広く、それに心が揺り動かされるよう。弦に加えて木管の深い表情がとてもいい。標題をあまり意識することなく、勇壮で壮絶な表情にまで高まっていくあたりはとても心地よいです。特にこの楽章の後半以降がとても感動的でもあります。第3楽章スケルツォ。第2楽章の勢いを継承し、テンポを上げて一気呵成の演奏、たいそうな豪快さがいいですねえ。そして、終楽章。弦楽器の音色などとても瑞々しく、そして歌い上げる終楽章。それに相応しい高揚も感じながら、変奏は進む。畳みかけるような勢の中、しばし立ち止まってしっとりとした雰囲気もはさみつつ、クライバーとVPOが完全燃焼するような盛り上がりを感じる。とても充実した演奏であります。
今年もあとわずかになりました。まだ年賀状をまったく書いていません。年賀状を書く人がどんどん減っているそうですね。私ももう終わりにしたいのですが、なかなか踏ん切りがつかない小心者でありました。
(GRANDSLAM GS2091 2013年)
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