
職場を転勤して、一週間たちました。今度の職場は、前にも申しましたが遠いのです。約53㎞ほどあります。といっても、朝6時半までには家を出ているのと、みなさんの通勤の逆方向に行く、ということもあって、車はほとんど混みません。信号にもそれほどかからないので、それは快適に運転できます。65分くらいかかりますかねえ。車内では当たり前のようにCDを聴いておりますが、前回のブルックナーの3番なんかはちょうど聴き終わります。マーラーの復活なんかは、最後まで聴けません。というように、音楽を往復2時間と少し聴きながら通勤しております。
そんな中で、今回はベートーヴェンの交響曲第6番ト長調作品68『田園』です。演奏はクラウディオ・アバド指揮のVPO。1986年9月、ムジークフェラインでの録音です。アバドはベートーヴェンの交響曲を三度録音しておりますが、これは最初のもの。BPOの音楽監督になる前にVPOと行った録音。このブログでも以前に二度ほど他の曲を取り上げましたが、私はこのアバドとVPOとのベートーヴェン、かなり好きです。ぼつぼつ中古やさんなどで見つけては買って、この田園だけになっていたのですが、先日ワルティでこれを見つけまして、やっと全曲揃いました。アバドとVPO、今から四十年前の来日公演を聴きましたが、なかなかいい組合せであります。
田園という曲、もう何十もの演奏があり、名演と言われるLPやCDもあります。ワルター、ベームなどは、世評も高いものでしすし、スウィートナーやヴァント、朝比奈さんなどもいい演奏を残しております。私がベートーヴェンの交響曲の演奏でいいなあ、って思うのはいくつかあるのですが、それはオケがVPOのものが多いのです。このアバドの演奏も、VPOとの組合せが、この演奏も魅力であることは間違いありませんね。この田園でのVPO、極めて美しい演奏を展開しているのです。しなやかで、しっとりとした美しさにあふれた弦。澄んだ、透明感あふれる美しさに満ちた木管。しとやかで、落ち着いた音色の金管。そして、アバドがこれらの美音の素材を最大限に発揮できるような指揮で、VPOを引っぱっています。アバドは、実に落ち着いた、そしてゆったりとした展開で、曲を表現しています。田園の描写としては、極めて美しい田園風景が広がっています。その風景は、細部に至るまで非常に細かく、そして美しい表情を見せてくれています。その表情は、写実的で様々な田園に風景が音楽で語られているのです。
第1楽章「田舎に到着したときの晴れやかな気分」。インテンポで規則正しいリズムによる弦による旋律が、この気分をよく表している。VPOの演奏は完璧な美しさに終始しています。激しさや強調されたところはまったくなく、それは物足りなさを感じることもあるかもしれないが、それ以上に曲の高揚した気持ちがよく現れている。第2楽章「小川のほとりの情景」。この楽章ではVPOの諸楽器による写実的な演奏が、実に素晴らしい。弦による小川のせせらぎ、鳥などを示す木管。これらはその美しさに陶酔するしてしまう。そして至極上品ですねえ。第3楽章「農民達の楽しい集い」。リズムの快活さがいい。低弦の響きも心地良い。第4楽章の「雷雨、嵐」が近づくにつれ、声高になっていく。その様子がなかなかうまい。そんな中、嵐と雷雨。一気に荒々しい情景に変わる。VPOの力量ではびくともしない展開。そして、第5楽章「牧人の歌-嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」。嵐のあとの感謝は、実に生き生きと展開される。旋律の歌わせ方というより、管弦楽での表現が生気に満ちた美しさ、そしてみずみずしい表情もほんとに気分は晴れやかで、感謝に満ちた気持ちとなっていくのでした。
アバドのベートーヴェン、BPOとの演奏も二種類あります。どうもVPOの演奏がほんとにいいので、あまり聴きません。一応、ふたつとも中古やさんで見つけたので、持っているのですが…。
(DG 419 779-2 1987年 輸入盤)
そんな中で、今回はベートーヴェンの交響曲第6番ト長調作品68『田園』です。演奏はクラウディオ・アバド指揮のVPO。1986年9月、ムジークフェラインでの録音です。アバドはベートーヴェンの交響曲を三度録音しておりますが、これは最初のもの。BPOの音楽監督になる前にVPOと行った録音。このブログでも以前に二度ほど他の曲を取り上げましたが、私はこのアバドとVPOとのベートーヴェン、かなり好きです。ぼつぼつ中古やさんなどで見つけては買って、この田園だけになっていたのですが、先日ワルティでこれを見つけまして、やっと全曲揃いました。アバドとVPO、今から四十年前の来日公演を聴きましたが、なかなかいい組合せであります。
田園という曲、もう何十もの演奏があり、名演と言われるLPやCDもあります。ワルター、ベームなどは、世評も高いものでしすし、スウィートナーやヴァント、朝比奈さんなどもいい演奏を残しております。私がベートーヴェンの交響曲の演奏でいいなあ、って思うのはいくつかあるのですが、それはオケがVPOのものが多いのです。このアバドの演奏も、VPOとの組合せが、この演奏も魅力であることは間違いありませんね。この田園でのVPO、極めて美しい演奏を展開しているのです。しなやかで、しっとりとした美しさにあふれた弦。澄んだ、透明感あふれる美しさに満ちた木管。しとやかで、落ち着いた音色の金管。そして、アバドがこれらの美音の素材を最大限に発揮できるような指揮で、VPOを引っぱっています。アバドは、実に落ち着いた、そしてゆったりとした展開で、曲を表現しています。田園の描写としては、極めて美しい田園風景が広がっています。その風景は、細部に至るまで非常に細かく、そして美しい表情を見せてくれています。その表情は、写実的で様々な田園に風景が音楽で語られているのです。
第1楽章「田舎に到着したときの晴れやかな気分」。インテンポで規則正しいリズムによる弦による旋律が、この気分をよく表している。VPOの演奏は完璧な美しさに終始しています。激しさや強調されたところはまったくなく、それは物足りなさを感じることもあるかもしれないが、それ以上に曲の高揚した気持ちがよく現れている。第2楽章「小川のほとりの情景」。この楽章ではVPOの諸楽器による写実的な演奏が、実に素晴らしい。弦による小川のせせらぎ、鳥などを示す木管。これらはその美しさに陶酔するしてしまう。そして至極上品ですねえ。第3楽章「農民達の楽しい集い」。リズムの快活さがいい。低弦の響きも心地良い。第4楽章の「雷雨、嵐」が近づくにつれ、声高になっていく。その様子がなかなかうまい。そんな中、嵐と雷雨。一気に荒々しい情景に変わる。VPOの力量ではびくともしない展開。そして、第5楽章「牧人の歌-嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」。嵐のあとの感謝は、実に生き生きと展開される。旋律の歌わせ方というより、管弦楽での表現が生気に満ちた美しさ、そしてみずみずしい表情もほんとに気分は晴れやかで、感謝に満ちた気持ちとなっていくのでした。
アバドのベートーヴェン、BPOとの演奏も二種類あります。どうもVPOの演奏がほんとにいいので、あまり聴きません。一応、ふたつとも中古やさんで見つけたので、持っているのですが…。
(DG 419 779-2 1987年 輸入盤)
それに、田園でウィーンPOとくれば最高ですしね。
ベートーヴェンのシンフォニーでは、私の愛聴盤は、セル、ヴァント、最近コリン・デイヴィスといったところです。