頂は、また次なる機会に
いただくといたしましょうか
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【只見線沿線トボトボ「越後広瀬駅」~「魚沼田中駅」~
「越後須原駅」/新潟県】
掃除用具の高圧洗浄機で
取り除かれる各種汚れは
きっとこんな気分なんだろうな。
しのつく雨に、前進も後退もできず、
その場でフリーズ、立ち往生しながら
ぼんやりとそんなことを思っていた。
今、ものすごい勢いで雨が降っている。
予定は、只見線の大白川駅から
守門岳の頂をピストンだった。
しかし天気予報をチェックすると、
今日は悪天、終日大雨。
乗り換え駅である小出駅でも
かなりの雨模様だ。
さてどうするか、無理は禁物である。
若い時分は、技術に知識なしを
体力で補っていたが、じいさんとなれば、
頼みの体力もなしである。
ましてや単独行、俺は大丈夫と、
高をくくっての行動は、
百害あって一利もなし。
よし、ここは雨天順延だ。
急きょ山の予定は平地に変更、
この機会に周辺を散策してみることにする。
スタートは、こんなこともなければ
多分降りることもなしの駅からとしますかな。
そして散々迷った挙句に決めたのが
始まりは只見線「越後須原駅」。
まずは秋になったら再訪してみようか、
そんな花の園・コスモス園をお邪魔する。
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この時点で天気は曇。
あれ、これなら予定通りに
登山すればよかったか。
しかし登らずに正解、とりあえずは
長年山やアウトドアと付き合ったせいで
身についた“山カン”は、現在も一応正常に
作動中のようで、途中から雨、
これでもかと降ってきた。
大変な事態ではあるが、
本人は案外冷静というのか、
阿呆なのか、しばらくは先にも書いた
高圧洗浄機で洗い流される
汚れ気分にひたっていた。
しかし、それも限界、そろそろ何とかせねば
足元すくわれ、川にでも流されて、土左衛門である。
すると前方に「ものずき村」なる施設の看板を発見した。
それでは、急いで逃げ込め、ものずき村へ。
屋根があり、雨がしのげる場所へと足を動かすが、
雨脚はそれ以上。
微速にして牛歩だが、とにかく動けだ。
ものずき村は、地元・新潟魚沼の絶品なる
山や里の幸を販売する施設だった。
また併設された飲食店「そば処 げんたん」は、
その名の通りそば、そして天ぷらのお店らしい。
タブレットで調べてみると、飲食店は評判の店らしく
普通なら、かなりの待ち時間あり、
行列のできるグルメスポットのようだが、
本日は雨で人もまばら。
そこでランチはそば&天ぷら、食事をしながら
しばらく天気の状態を様子見することにする。
雨はますます勢い良く、おまけに食べる施設は
ビニールハウス風なので、雨が屋根にぶつかると、
まさに爆音。とにかくけたたましい。
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これからは、さてさてどうしようか。
おとなしく東京へ帰るか、いやもう少し待ってみるかと、
お店の方のご好意もあり、食後も店内に長居をしていると
ようやく雨のパワーもダウン、弱くなってきた。
時間も午後とはいえ、平地ならまだ普通の活動時間である。
では、もう少し先へ歩こうかだ。
出発の用意をしていたら、お店の方が、只見線以外にも
バスもあるからと手書きのバスの時刻表を渡してくれた。
ありがとうございます、多謝に感謝、最敬礼して、
次の駅「越後須原駅」をめざしてみることにする。
目的はお住まい拝見、駅前他に
かつての地元で指導者的な
農家の建物が二軒あり、こちらの見学だ。
一軒目は庄屋様級のお方お住まい。近いのかと思いきや、
これが随分と上へ上へで、急勾配の道を大汗かいて、
息を切らして、ようやく着。ちょいと休ませていただく。
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お次は駅前の庄屋様でもある豪農の館。
道も今度は駅まで下りオンリー、
よって歩きも快調、おっ雨も上がったようだ。
豪農の館、ついでに創業は豪農の館の主という酒蔵も見て、
タイムオーバー、そろそろ帰京の時間。
只見線の列車が駅にやって来る時間だ。
それでは本日の行動はこれにてと、駅へ向かう。
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列車を待つ間、暇なので駅のホームでしばし、
ぼんやりシンキングタイムとなる。
雨のせいで、偶然、いきなり、予定外で歩いた
只見線3駅間。美味しい味に出会ったり、
お店の方にお世話になったり、見事な建築物を拝めたりと、
これはこれで得難い極上の時間を過ごすことができた。
山へ出かける計画も、人生で起こる
あれやらこれやらの出来事と一緒で、
やっぱりご縁ですかな。
ご縁があれば、予定通りの行動ができたり、
今回のような中止、断念があっても、また今度と
あらためて計画をしてアプローチの機会が訪れるもの。
一方、ご縁なしの場合となれば、はいそれまで。
また別の山を選ぶだけ。では予定だった守門岳の頂は。
さてご縁は、どうですかなぁ。
とまあ頭に浮かぶ雑感と遊んではいたが
それにしても遅い。いつまでたっても列車が来ない。
時刻表ではとっくに到着時の時刻、いやかなり過ぎている。
きっと雨のせいだなと、引き続きホームにて
ひとり物思いにふけつつ、
まだかな、いつかな、そろそろ来るかなと列車を待つ。
●ここで、ご教訓のひと言。
山の計画・行動は、無事帰宅となるまで
最後まで気を抜かずに。
その後、只見線は雨の影響で
終日運休という情報を知る。
さあ困ったぞ、そしてその時に思い出したのが、
ものずき村での会話でも登場したバスの存在。
バスの時刻は、いやバス停はいずこ、
じぃさん、大慌てで駅を飛び出したとさ。
●そして、肝に銘じたい四文字熟語
「慎始敬終(しんしけいしゅう)」
~意味:物ごとは始めと終わりが肝心である~
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~2022(令和4)年8月
期せずして、今秋11年ぶりに
全線が再開通する「只見線」沿線を
雨にビビりながらもブラブラ歩く~
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