“お足”のお陰で、おみ足フル回転。
人工池から職人の妙技経由、ユニークな建築物まで【茅野市/長野県】
「買い物しようと町まで出かけたが…」。
そんな、サザエさんのオープニングに流れる曲の
歌詞の一節が聞こえたような気がした。
彼女が町なら、私めはのんびりと歩くかと
アウトドアへ出かけた際。
しまった、財布を自宅に忘れたである。
Suicaを入れていたカードケースは持ったものの
財布を持たずに家を出てきてしまったようだ。
気がついたのは、まもなく電車を降りる
駅の直前。コンビニで夜食でも
買うかと思った時だった。
大慌てで所持金のチェックである。
幸いにもザックの雨ぶたの奥から
前回出かけた時のお釣りが出てきた。
数えてみると金3,000円少々。
Suicaの残金が帰りの電車賃程度あれば
何とかなるかもしれない。
程なく電車は駅に滑り込む。
恐る恐る改札でタッチしてみると、
残額の表示は約4,000円。やれやれである。
今日は長野は茅野にて、
八ヶ岳など自然の美をバックに
名画のモチーフとなったため池を起点に、
ユニークな建築物のある場所まで、
あれこれ人工物を訪ねると、
自分でいうのもの何だが変な行動が予定だ。
早起きが苦手なので、
前夜に茅野駅まで出かけて、
得意のステーションビバーク。
夜明けとともに行動開始だなと考え、
バタバタと家を出たのが失敗だった。
普段から、ザックには収納を兼ねて
山で使う装備が、ほぼパッキング済状態なのだが、
さすがに財布はそうもいかず。毎度お決まりの
後悔先に立たずと反省しつつも、ひと安心で
睡魔も襲ってきた。腹は減ったが
夜に食べるは贅肉のもと。ここは我慢で、
駅前広場のベンチにシュラフを広げて、
おやすみなさいである。
目覚めると空は明るく、薄日も差している。
予報は雨だったが、天気の崩れは遅れているようだ。
それは出発いたしますか。
平日にスタートの地となる池まで、バスの便はない。
計画ではタクシーだったが、無い袖は振れず。
まあ、今トレンドのキャッシュレスと思って、
あるいはツキのない時のすごろく遊びよろしく
振り出しに戻るというのか、
とにかく、ここはポジティブシンキング。
市役所の前を通り、メルヘン街道、そして
コンビニのある交差点を右折して、湯みち街道に入り、
後はまっすぐ。タクシーなら30分くらいの道のりを
「財布を忘れて愉快なサザエさん」ではなく、
ほぼノーマネーのたわけ者のおっさんは、
スタート地点をめざして歩け歩けである。
歩くこと3時間と30分、
ようやくスタート地点に到着した。
ここは「御射鹿池」。日本画の大家、東山魁夷が
作品「緑響く」のモチーフとした人工のため池である。
早朝は特に幻想的だそうで、来る途中もきっと記念の1枚を
撮ったであろう人の車と相当数すれ違った。
しかしただ今、人影はなし。美しい風景を独り占めだ。
景色を堪能し、たっぷりと休んだら、
職人技のアートである「鏝絵(こてえ)」に
地元出身で世界的な建築家・藤森照信氏の
独創的な作品が点在する
「神長官守矢資料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)」へ。
それでは木曽路同様の山の中の茅野市で、
山には登らず、人のこさえたというか、
クリエィティブな作品の数々を巡る1日、
始まり、はじまり。
あえて今日たどる行程に名前をつけるなら
「芸術は極めるのも、訪ねるのも、道は遠いコース」
こんな感じだろうか。
そうそう山の中の茅野市といえば、海藻を原料とした
寒天の名産地でもある。寒天なら乏しい懐具合でも
口にすることができるかもしれない。
「ルルルルルル、今日はいい天気」。
サザエさんの歌の歌詞通りとはいい難いが
今のところ、空模様は曇。
雨はまだ大丈夫なようだ。
《ちなみにの蛇足。今回のルート概要》
●スタートは「御射鹿池(みしゃかいけ)」。
名画誕生のきっかけ、またコマーシャル撮影にも使わ
れた農業用につくられた人工ため池。池の脇には立派
な駐車場もあり。どうやら休日ともなれば、人がわん
さかのようである。標高は1500m超。
⬇︎
●くだる途中に「鏝絵(こてえ)」をウォッチング。
湯みち街道の途中、笹原・湖東地区の蔵に描かれてい
るのが「鏝絵」。左官屋さんが仕事の仕上げにと描い
たもので、恵比寿&大黒さんが笑顔で乾杯など、一見
の価値ある個性的な作品多数。
⬇︎
●足元にも注目。「マンホールのふた」。
近頃、日本各地に増加中のご当地マンホールのふた。
茅野市のふたには、八ヶ岳、国宝の出土した土偶他が
描かれている。なお茅野駅の観光案内所では「マンホ
ールカード」も無料配布中。旅の記念にぜひ1枚。
⬇︎
●ゴールは「神長官守矢資料館
(じんちょうかんもりやしりょうかん)」。
見学できるのは、資料館の建物&「高過・低過庵」と
「空飛ぶ泥舟」の都合4作品。作品のひとつ「高過庵
(たかすぎあん)」は、どこかマンガ「ゲゲゲの鬼太
郎」の自宅を思わせる。
〜オヤジの遠足 「ステージ5」2019(令和元)年6月のある日。
自宅に戻れば、財布が「お疲れ」と迎えてくれた。
今日は大変よく歩きました〜
人工池から職人の妙技経由、ユニークな建築物まで【茅野市/長野県】
「買い物しようと町まで出かけたが…」。
そんな、サザエさんのオープニングに流れる曲の
歌詞の一節が聞こえたような気がした。
彼女が町なら、私めはのんびりと歩くかと
アウトドアへ出かけた際。
しまった、財布を自宅に忘れたである。
Suicaを入れていたカードケースは持ったものの
財布を持たずに家を出てきてしまったようだ。
気がついたのは、まもなく電車を降りる
駅の直前。コンビニで夜食でも
買うかと思った時だった。
大慌てで所持金のチェックである。
幸いにもザックの雨ぶたの奥から
前回出かけた時のお釣りが出てきた。
数えてみると金3,000円少々。
Suicaの残金が帰りの電車賃程度あれば
何とかなるかもしれない。
程なく電車は駅に滑り込む。
恐る恐る改札でタッチしてみると、
残額の表示は約4,000円。やれやれである。
今日は長野は茅野にて、
八ヶ岳など自然の美をバックに
名画のモチーフとなったため池を起点に、
ユニークな建築物のある場所まで、
あれこれ人工物を訪ねると、
自分でいうのもの何だが変な行動が予定だ。
早起きが苦手なので、
前夜に茅野駅まで出かけて、
得意のステーションビバーク。
夜明けとともに行動開始だなと考え、
バタバタと家を出たのが失敗だった。
普段から、ザックには収納を兼ねて
山で使う装備が、ほぼパッキング済状態なのだが、
さすがに財布はそうもいかず。毎度お決まりの
後悔先に立たずと反省しつつも、ひと安心で
睡魔も襲ってきた。腹は減ったが
夜に食べるは贅肉のもと。ここは我慢で、
駅前広場のベンチにシュラフを広げて、
おやすみなさいである。
目覚めると空は明るく、薄日も差している。
予報は雨だったが、天気の崩れは遅れているようだ。
それは出発いたしますか。
平日にスタートの地となる池まで、バスの便はない。
計画ではタクシーだったが、無い袖は振れず。
まあ、今トレンドのキャッシュレスと思って、
あるいはツキのない時のすごろく遊びよろしく
振り出しに戻るというのか、
とにかく、ここはポジティブシンキング。
市役所の前を通り、メルヘン街道、そして
コンビニのある交差点を右折して、湯みち街道に入り、
後はまっすぐ。タクシーなら30分くらいの道のりを
「財布を忘れて愉快なサザエさん」ではなく、
ほぼノーマネーのたわけ者のおっさんは、
スタート地点をめざして歩け歩けである。
歩くこと3時間と30分、
ようやくスタート地点に到着した。
ここは「御射鹿池」。日本画の大家、東山魁夷が
作品「緑響く」のモチーフとした人工のため池である。
早朝は特に幻想的だそうで、来る途中もきっと記念の1枚を
撮ったであろう人の車と相当数すれ違った。
しかしただ今、人影はなし。美しい風景を独り占めだ。
景色を堪能し、たっぷりと休んだら、
職人技のアートである「鏝絵(こてえ)」に
地元出身で世界的な建築家・藤森照信氏の
独創的な作品が点在する
「神長官守矢資料館(じんちょうかんもりやしりょうかん)」へ。
それでは木曽路同様の山の中の茅野市で、
山には登らず、人のこさえたというか、
クリエィティブな作品の数々を巡る1日、
始まり、はじまり。
あえて今日たどる行程に名前をつけるなら
「芸術は極めるのも、訪ねるのも、道は遠いコース」
こんな感じだろうか。
そうそう山の中の茅野市といえば、海藻を原料とした
寒天の名産地でもある。寒天なら乏しい懐具合でも
口にすることができるかもしれない。
「ルルルルルル、今日はいい天気」。
サザエさんの歌の歌詞通りとはいい難いが
今のところ、空模様は曇。
雨はまだ大丈夫なようだ。
《ちなみにの蛇足。今回のルート概要》
●スタートは「御射鹿池(みしゃかいけ)」。
名画誕生のきっかけ、またコマーシャル撮影にも使わ
れた農業用につくられた人工ため池。池の脇には立派
な駐車場もあり。どうやら休日ともなれば、人がわん
さかのようである。標高は1500m超。
⬇︎
●くだる途中に「鏝絵(こてえ)」をウォッチング。
湯みち街道の途中、笹原・湖東地区の蔵に描かれてい
るのが「鏝絵」。左官屋さんが仕事の仕上げにと描い
たもので、恵比寿&大黒さんが笑顔で乾杯など、一見
の価値ある個性的な作品多数。
⬇︎
●足元にも注目。「マンホールのふた」。
近頃、日本各地に増加中のご当地マンホールのふた。
茅野市のふたには、八ヶ岳、国宝の出土した土偶他が
描かれている。なお茅野駅の観光案内所では「マンホ
ールカード」も無料配布中。旅の記念にぜひ1枚。
⬇︎
●ゴールは「神長官守矢資料館
(じんちょうかんもりやしりょうかん)」。
見学できるのは、資料館の建物&「高過・低過庵」と
「空飛ぶ泥舟」の都合4作品。作品のひとつ「高過庵
(たかすぎあん)」は、どこかマンガ「ゲゲゲの鬼太
郎」の自宅を思わせる。
〜オヤジの遠足 「ステージ5」2019(令和元)年6月のある日。
自宅に戻れば、財布が「お疲れ」と迎えてくれた。
今日は大変よく歩きました〜
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