おおぎやなぎちか 作
くまおり純 絵
新日本出版社 2020 913オ
5年生の唯志(ただし)は、親の離婚で、母のふるさと、青森へやってきた。住むのはすきま風が入ってくる古い家。あぜんとしたのは、ぼっとん便所。
外で雪だるまを作っていたら、塾帰りのクラスのやつらが声をかけていた。自分といっしょに遊びたいのか、ゲームができるから家の人の目のない唯志の家が都合がよかったのか‥。トイレを見られるが気になったが、何も言われなかった。その中の一人、順平は、父親と一緒に雪下ろしに来てくれた。順平の父親と唯志の母親は同級生だった。
学校で順平のお父さんと唯志の母親がココット(レストラン)にいたという噂が広まっていた。母親が、生活の中で困っていることを相談しているらしかった。順平の態度もそっけなく、唯志は、二人の間に距離ができているように感じていた。
自分の境遇に対して不満を抱いていた唯志だが、ときおりやってくる母親の友達との関わりから、料理を覚えたり、自分でできることをやるようになっていった。時にはバキュームかーの対応も。
友達も本当の友達なのか自信がなかったが、友達にも悩みがあることを知ったり、必要とされるという経験もする。
苦しい生活の中から、ぐんと成長していく唯志の姿に力強さを感じました。