著者 松素めぐり
講談社
樹生の家族は母の心の病気のため、バラバラにくらし始めていた。島根に行った母と妹。自分は父と。家事をこなす樹生の耳には、近所に暮らす平林盆の賑やかな家族の声が聞こえていた。前は、転校生の盆の面倒見てあげていたのに、今は立場が逆転して、自分が可哀想と思われているような気がしていた。
そんな樹生が、不思議な世界に入り込んだ。現実の世界とは違う、温泉、かねやま本館だ。そこには自分を癒してくれる人たち、心にたまっているものを吐き出させるお湯があった。
かたくなな心を一度解いてみませんか‥と投げかけてくれる一冊です。