斉藤洋
講談社
クラス会で、小学生のときの不思議なできごとの体験談大会になった。その六人の話が本になったらいいなって、北森のところへ依頼の電話がかかってきたのだった。
第二話 亀
福山聡(さとし)は学校を休むようになっていた。父は休むことを気にしていなかった。進学教室にかよっていて、成績も上がってきていたので、母ももんくを言わなくなってきた。
梅雨に入ってまもないころ、一人の少年がやってきた。学校からプリントを持ってきた。しかし、その少年のことを聡は知らなかった。おととい転校してきたのだという。二度、三度と彼はやってきた。三度目に訪ねてきた時「長ぐつをはいてきなよ」と言われた。少年は聡を小川まで連れていった。川に入って少年が取ったのは‥
第四話 黒薔薇病院の怪
夏、胃腸炎みたいな病気で、入院した沢井豊(ゆたか)。四人部屋に入院してたのは自分と、高校生の女の子、二人だけだった。
夜の十時ごろ、きゅうに看護婦さんが入ってきて、「いたずらしちゃ、だめでしょ!」と言った。豊は、ナースコールを押してはいなかった。
次の日、豊と明子さんが、売店に行こうとエレベーターに乗るとガクンとゆれて、エレベーターが止まった。暗闇の中、明子さんは豊におおいかぶさるように抱きしめてくれた。豊の背中には明子さんの両手があった。それなのに、だれかが豊かの顔をさわった。さわったっていうより、なめたって感じだった。
このような不思議な話が6つと、もう一つのお話が入っています。不思議な話に惹きつけられて、どんどん読んでいける一冊です。