日向 理恵子 作 吉田 尚令 絵 童心社
ルウ子とサラが〈雨ふる本屋〉に行くと、舞々子さんは、難しいお菓子のレシピの本に夢中になっていました。本の原稿を書いている幽霊のヒラメキへのおやつも出してくれません。ルウ子は、みんなのために、お菓子を買いに外の世界へ戻ります。するとお菓子屋から出てくるウキシマ氏に出会います。ウキシマ氏は、お菓子を買って、〈雨ふる本屋〉に行くところでした。ルウ子とサラは一緒に〈雨ふる本屋〉に戻ります。一緒にお菓子を食べようとブンリルーを呼びに人形の家の世界へ入っていきます。そこで出会った白っぽい影が、のちに、ルウ子たちを不思議な世界へと導いていきます。
本を開くことで、別の世界へ行ったり、想像することで別の世界へ行ってしまう不思議なお話。しかし、戻ることは難しくて、ルウ子は、長く歩いたり、泥の中を這ったり魚の姿になってしまったり、とても苦しい思いをします。物語を作るために起きたことをメモしようとしますが、それも叶わない苦境に立たされます。
お話を書くことの難しさを感じましたが、苦しさを乗り越えた後、どんどん書きたいことが溢れてくると言う楽しさも描かれています。最後は、夢のようなすてきな空間を描いています。その世界を巧みに表現した沢山の言葉のシャワーを存分に味わってほしいと思います。