著者 晴居彗星
福音館書店
月曜日の朝、お父さんが牛になっていた。
残業が多いお父さんは、夕べはたまの休みで家族と一緒に夕飯を食べることができ、テレビを見ながら爆笑していた。しかし僕やお姉ちゃんはろくにお父さんと口も聞かなかった。お父さんがダジャレを言っていたが、ぼくもお母さんもノーリアクションだった。やがてお父さんは、畳でそのままゴロンとなり寝息を立てていた。そして夜が開けてみたらお父さんは牛になっていた。
家の中での牛の世話は大変だった。排泄物は一日30キロくらいあり、トイレに少しずつ流さなくては処理できない。
昔はもっとお父さんと遊んでいた。お姉ちゃんもそうだ。なぜお父さんのことをうっとうしく思うようになったのか。
そんなお父さんも会社ではとても頼りにされていたことがわかった。特に社員で集まってやっていた野球のチームでは活躍していたようだし、飲み会でも宴会部長と呼ばれていたようだ。
嫌々ながらも、家族は牛の世話をし続けます。色々な経験をしているうちに、お父さんへの本当の気持ちが見えてきます。