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スポーツ観戦&体験記、
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板垣、傳役の覚悟ー『風林火山』鑑賞記25

2007-07-03 23:17:27 | S.Chiba
            第25回 「非情の掟」

 今回の題名を聞いただけで、胸騒ぎ。 「非情の掟」この言葉を初めて聞いてから、○十年!否が応でも、反応してしまう。(爆)

 今回の、非情の『掟』とは・・・戦国の世の『掟』。国主の掟、父子の掟、家臣の掟、傳役としての掟・・・・情に流されず義を貫く、厳しく悲しい『掟』そんな、千葉ちゃんと切っても切れない題名!?の今回、千葉ちゃん・板垣の登場は2シーン。話す言葉からは、既に手を離れ遠く見守るだけとなってきた晴信(市川亀治郎)への、傳役としての熱い思い信念、覚悟が伝わってくる

 最初の登場は、勘助(内野聖陽)から、由布姫(柴本幸)の言葉を伝えられるシーン。虎王丸を諏訪家後取りとし、四郎様虎王丸を支えるようにと希望する由布姫。「四郎様、命!」の勘助は、それでは到底納得できない。叔父・諏訪満隣(みつちか)と千葉ちゃん・板垣も、そのことについて頭をいためていた。御屋方様と由布姫様の和子様・四郎様を跡取りとする為にも、虎王丸の憂いを取り除く術は?と腕組みする板垣。それがしにお任せくだされと、自信満々の表情の勘助を信頼し、任せることにした板垣だったが・・・。

 晴信が信頼を寄せる、軍師・山本勘助の筈が、何時しか、晴信は、勘助と距離を置き由布姫とも距離を置く。気がつけば、勘助は由布姫のおそばで、その心は四郎様で一杯の様子。

 そして、高遠城の再建を、馬場信春(教来石影政、改め、高橋和也)と勘助が話し合う場面。千葉ちゃん・板垣は、足からの登場。心憎い演出にニヤリ。四郎様が城主になったあかつきには自分も、お側に仕えたいと言う思いが詰まった、城の完成図を見て、勘助の暴走をたしなめる。御屋方様の言葉に従って四郎様の世話をしていると言う勘助に「傳役でもあるまい!」と遮り、「たとえ傳役であっても、杜役はいずれその役目を終えるのじゃ。その日の為に御使えするのが傳役じゃ。私利私欲の為に、御育てするような事があっては決してならんのじゃ。それをしかと忘れるな。」と、勘助に諭すように言った板垣の表情は、晴信の傳役として自ら選ぶであろう道への覚悟が、滲んでいた。もちろん勘助にはそんな板垣の胸のうちなど分かる筈も無い。

 今回の晴信演じる市川亀治郎さんの表情は、見応え充分ご満悦の公家との歌会の表情。一転して、三条夫人(池脇千鶴)が家督相続の話を口にだすと、初めて見せる信虎が乗り移ったような鬼のような表情母親・大井夫人(風吹ジュン)との会話も、以前のような心を開いた晴信の面影は無く、よそよそしげな含み笑いにぞっとする。一方で、今川義元(谷原章介)に見せられた、大海原への憧れを勘助に話す、夢見る瞳

 晴信の若さ・蒼さがあちこちから垣間見える。純粋な若さと情熱が、駒井(高橋一生)画期的な新しい国造りの法律、甲州法度を作らせる。法に反すれば晴信自身も罰するという斬新なものだが、晴信自身、自分が忌み嫌っていた筈の父と同様に戦に捕らわれつつある事には気づかない。まさに歴史は繰り返され、やはり、人は自らの体験からしか学べないのかもしれない。

 海原を夢見る晴信を見つつ、勘助は四郎様の将来に自分の夢を重ねはじめる。軍師として晴信に使える思いは、どこへ行ったか・・・。どんな状況においても、常に夢を見る力を持っている勘助。しかし、千葉ちゃん・板垣の様に、ただ一人の人間にじっと使えた事がまだなく、自分の居場所が、いつの間にか、見えなくなっている勘助。大井夫人と虎王丸の涙の別れなど、想像する余裕は無い。次回、気がつけば、状況はますます悪化の予感だ。
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板垣、切ない親心ー『風林火山』鑑賞記24

2007-06-23 18:24:37 | S.Chiba
            第24回 「越後の龍」

 今回、遂に、長尾影虎(上杉謙信)・GAKUTO登場。と言ってもまだ絡みは無く、真田幸隆(佐々木蔵之介)の話の中での登場だったが、久々に新しいキャラクターの爽やかな風が吹き込んできた。

 一方、千葉ちゃん板垣は、久しぶりに重臣の列にも並んで、登場シーンも多く嬉しい限り。但し、その胸のうちは、かなり複雑だ。

 勇ましい姿を現す前に、板垣の言葉だけが一足早く、登場。晴信(市川亀治郎)と共に四郎様を見つめる由布姫(柴本幸)。その口から、板垣の言葉が晴信に伝わる。心根の優しい晴信を思って言った言葉のはずだったが、由布姫と勘助(内野聖陽)と自分を複雑に見比べる晴信には、その言葉の意味が、ある感情を含んで聞こえしまう。「わしと勘助とどちらが好きか?」と親方・晴信。あまりに率直な尋ね方。由布姫の答えに素直に反応する晴信に、在りし日の信虎と晴信の会話を思い出す。父親譲りのナイーブな一面が、災いし、その表情と共に、心中穏やかならざらぬ状況へ変化してゆく晴信。その発端が、板垣の言葉とは、本当に悲しい。死ぬまで続くような、父と息子のわだかまりの始まりも、こんなふとした言葉、思いの行き違いから始まるのだろう。変わった、晴信の冷ややかな表情が胸に突き刺さる。

 久々に重臣の共に並んだ、千葉ちゃん・板垣の登場。父、信虎(仲代達矢)の亡霊に取り付かれたような冷ややかな晴信の情け容赦無い言葉>。「恐れながら・・・」と勘助の名を口に出す度に「勘助がいなければ、親方様は早くに負けていたかもしれぬ」と由布姫から聞いた板垣の言葉が頭をよぎり、晴信の表情が冷酷さをます。「残党を一人残らず切る」と力攻めを主張する。しかし、その変化の理由が分からない板垣は、何度も晴信に訴える。御屋方様が変わってしまったと嘆く重臣・甘利虎泰(竜雷太)飯富虎昌(金田明夫)。だが、板垣はまだ信じらず黙り込む。

 諏訪上原城での勘助との対面で「いささか自信を深められたように存じます」と晴信のことを話す勘助に目を閉じて頷き「慢心であらねばよいがのう」と心配そうに話す板垣千葉ちゃんは、若くして勝ち続け、書物の戒めも聞かなくなっていることを嘆き、どのようなご主君になるかは、村上と戦を構えるこれからにかかっていると、勘助に本心を明かす。考え込む勘助を見つめ「そちが生きておった事は幸いであった。充分気をつけて御屋方様を見守ってやってくれ。」と言った表情は思いのほか穏やか。その心中にはある決意が固まっている?!板垣討ち死にまで、あと、4話

 馬糞で助かった勘助のエピソードに、笑ってしまったオープニングだったが、晴信の心の変化が、悲惨な戦いを予感させる。由布姫との再会し、和子様・四郎様を嬉しそうに抱いた勘助の前に、必然的に起こる御世継ぎ争い。そのいさかいの渦が、晴信を、そして、多くの人々を巻き込み激しい戦へ追い立てていく気配。

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板垣、二喜一憂ー『風林火山』鑑賞記23

2007-06-16 14:14:25 | S.Chiba
            第23回 「河越夜戦」

 今回の千葉ちゃん・板垣は、1シーン。短くても、その豊かな表情に充分満足由布姫(柴本幸)と晴信(市川亀治郎)和子様・四郎様の誕生に大喜びの嬉しそうな表情、そして、北条氏(松井誠)関東管領・上杉憲政(市川左團次)の大群を破った見事な勝利に満面の笑みと、そこまでは晴信と共に晴れ晴れとした板垣だったのですが、勘助(内野聖陽)討ち死にか?の報せに、表情を曇らせ、「産後の由布にはふせておくが良かろう」と言う晴信の言葉に、固い表情で同意する二つの両極端の表情がどちらも場を盛り上げ、さすが板垣の貫禄充分。次回は、この晴信に、久々に、苦言を呈する事に。果たしてその結末は・・・。

 今回は、大河ドラマの主役山本勘助が、これまでの経験とコネを駆使し、たっぷり活躍する。上杉陣中へ潜入、北条氏康の伝言を顔見知りの間者に伝え、兵糧攻めにも耐え孤立し籠城する北条勢に、その伝言を送り届ける事に成功する。共に潜入した伝兵衛(有薗芳記)は、真田幸隆(佐々木蔵之介)の素葉(すっぱ)・葉月の捕らえられる。ここで、千葉ちゃんと野際陽子さんのお嬢さん真瀬樹里さん登場。さすが、”剱伎衆かむゐ”のメンバー、いきなり殺陣のシーン。軽い身のこなしは父親譲り、母似の切れ長の瞳がきりりっとして、まさに女忍者らしい表情。今後の活躍は、いかに?

 勘助の説得に、幸隆は、我ら皆、武田には恨みがある、武田に下る事は無いと言い切るが、なんとしても、御屋方様に会って欲しい、その為にあなた様を殺すわけにはいかぬ、御命お守り申すと勘助。その肩に”種子島”が火を噴き、肩を打ち抜かれ、ばったりと倒れる勘助は、。思いがけない衝撃に見開いた目がそのままの勘助の表情がなんとも怖い!倒れた瞬間、由布姫(柴本幸)の赤ん坊の声が響く、なんとも幸せそうな由布姫の表情は、きらきらと輝き本当に美しい

 美しいと言えば氏康演じる、松井誠さんの女形は、本当に艶っぽい。先日「スタジオパークからこんにちは」を拝見。パワフルな踊り、芸人一座の8番目として生まれ、家出し苦労して劇団を立ち上げ、恨んでいた親にもいまや感謝していると言う、ポジティブな生き方に、魅力的な氏康の表情を重ね合わせ納得した。自分なりの氏康を演じたいと言う、松井誠氏の気迫のこもった今回の氏康の表情は見応え充分。そこに、次回、GAKUTOが満を持して登場!美男子の共演もまた、今回の、目玉の一つ?!一方で、晴信は、髭を生やし怪しげな目つき!?、明日が楽しみです。

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板垣、勘助に熱い信頼ー『風林火山』鑑賞記22

2007-06-09 00:27:14 | S.Chiba
            第22回 「三国激突」

久しぶりの千葉ちゃん・板垣の熱ーい眼差しに、大満足の回。出演シーンも久々に多く、濃い内容・演技で、久々に千葉ちゃん・板垣を堪能しました。(笑)

 まず初めのシーンは、晴信(市川亀治郎)と共に陣中から登場ちょっと驚いた勘助(内野聖陽)をちらりと見て、戦況を報告する千葉ちゃん・板垣の渋くしまった表情!自然と、戦が迫る緊迫感が伝ってくる。御屋方様・晴信の意を受け、北条氏(松井誠)に今川氏との和睦を受け入れさせ、自分は北条への援軍として川越城へ差し向けて欲しいと願い出る勘助に、北条氏康が承知すればと、笑みを浮かべる晴信。「必ずや!」と自信たっぷりの勘助を見つめる板垣の視線は、思いのほか厳しい

 続く勘助と二人のシーン「勘助・・・」とよばれ、気配を察し「何か?」と、聞く勘助。珍しく戸惑うような板垣のソフトな「・・うん・・」が自分はとても好き。「ずっと気になっておった事・・・一つだけ聞いておきたい事がある」と戸惑いつつ切り出す。

 由布姫(柴本幸)が逃げ出した事、それを勘助が必死になって連れ戻した事が、本当かと問われ、余裕で言い返そうとした勘助の前に、伝兵衛(有薗芳記)が現れ、姫様を追って雪の中を行く勘助をつけたと証言する。昔なじみに馴染みの伝兵衛に、思いもよらぬ疑いをかけられ、ショックを隠せない勘助

 「ご両人様をいかにして説き伏せたのじゃ。」
勘助の目を見つめ問う板垣。「板垣様!」表情を変えた勘助に、「聞くが・・・」勘助の側に寄り、他人に聞かれるよう低く耳元で「そちは御良人様を慕とうておるのか」本心を見抜かれ唖然とする勘助。「今も度々訪ねておるようだが、二人して御屋方様を欺いてはおらぬであろうのう」と言われ、必死の形相で「違い申す!」と叫ぶ。

 がっくり膝をおとしうなだれるが「某にとって由布姫様は気高きお方でござりまする、某は姫様をお慕い申しておりまする。」と必死告白する勘助に、動揺する板垣。「なれど、それは国を思うがごとくにでござる」生国を終われ諸国を流浪し国というものを持てなかった自分にとって、国とは人だと、続けて訴える勘助に、表情が変わって行く板垣。御屋方様、板垣様、姫様、死んだミツこそが、国そのものであり、ようやくそこに国を見る事ができるようになったこと、己が生きる国を持つ事が出来、そして、自らの命をも落とす事ができるのだと訴える。伝兵衛も、黙ってその姿を見つめる。

 感情を押し殺し、冷静な表情に戻って「無用な詮索は、おやめ願い等存じまする」と言った勘助に、板垣は「解かった。勘助、よ~う解かっった!すまぬ事を聞いたのう。」と謝り、伝兵衛も、自分のせいだと頭を下げた。

 「人は国、国は人。今、勘助という男を、少しわかったような心持ちじゃ。そちは、このわしと同じ国に生きる、武士(もののふ)じゃ!」板垣の言葉に「板垣様」と嬉しそうに見上げる勘助。その側に跪き、じっとその目を見つめ、本心を打ち明けるように低く、そして、自らにも宣言するように力強く「これで心置きなく、そちと共に、北条に出に出向く事が、出来る!」と、二人見つめあう。遂に、勘助と共に、晴信を支える確信を得た、嬉しそうな表情が印象的。千葉ちゃん板垣の懇親の演技!熱~い思いが、びんびん伝わってくるシーン。勘助と二人の熱い男の演技のぶつかり合いに、こちらも胸が熱くなった。

 重た~いシーンの後は、二人馬を駆って北条へ向かう爽快シーンロングショットで映す乗馬シーンは、短いながらスピード感があって、さわやか。鞭をくわえなんとも勇ましく、勘助を従え、どうどうとして貫禄たっぷり千葉ちゃん・板垣が、馬を止め名乗りを上げる勇ましい音楽が流れる中、嬉しいロングショット。

 そして、勘助を隣にひかえ、北条氏康との対面シーン勘助に、今川義元からの書状を託す信頼しきった板垣の表情。見つめる北条氏康は、勘助の変わりように目を凝らす「我が主は、氏康様と今川家の、和睦を望んでおられます。」板垣の言葉にこの和議で武田は何を得ると問う。「氏康様との、”よ・し・み”、で、ござる。敵に回すは得策で無しと、この山本勘助の忠信を、我が主が、重く、受け止めたものにござりまする。」板垣の言葉に、目を大きく見開いた勘助は、熱い信頼への思いを込め、氏康を見つめる。

 穏やかに「勘助、昔、そちを召抱えなかったわしは、見る目が合ったであろう」と、語りかけ微笑んだ氏康に、頭を下げる勘助「合い分かった。この氏康、しかと承知した。」氏康の宣言に、板垣の会心の笑み、自信に満ちた勘助の表情に、氏康もまた心を開く。心温まるシーンのバックに流れる音楽も、しみじみ胸に沁み込んで来た。
  
 
今回、オープニングは、再度、勘助と由布姫雪の中での再会。諏訪に落ち着かれた由布姫の、なかなか見られなかった穏やかな笑顔と、始めて聞く侘びの言葉、それはなにを隠そう、御懐妊された幸福感の賜物。そのニュースに、嬉し泣きし、あわや、狂喜乱舞?!の勘助に噴出してしまう。
 
 懐かしい男性人が続々に登場。さまざまな思いが渦巻く戦国の世の鬩ぎ合い、謀の応酬が始まる。今川義元(谷原章介)の勇ましく猛々しく、増長した態度は目に余る。雪斎(伊武雅刀)は、ますます腹黒く、小山田(田辺誠一)を引き入れ、武田や勘助を操る。北条と結び、親方とも話を進め、勘助の軍師の座を、脅かそうとする、小山田の助言を聞きながらも、勘助の策を選ぶ、御屋方様晴信。雪斎の真意に気づきながら、勘助に事の始末を頼んだ晴信の勘助への信頼は、ますます熱くなる一方だ。以前にもまして、勘助を疎んじる義元。雪斎に図られていたと解かった小山田は、自分の器の小ささに苦虫を噛む。一方、北条氏康は、貫禄を増しつつ暖かい眼差しで勘助を見つめ、受け入れる。

 駿河の海を眺め「いずれ己が手で山をいでで、海へと抜けてご覧に入れます」と春信「駿河の海ではあるまいのう」と義元。横目で雪斎を見る駒井(高橋一生)。晴信、雪斎、義元らの腹黒い笑い声が、海に響き渡る

 ラスト、戦場へ向かう勘助。熱いまなざしは、板垣の思いが乗り移った?勘助に心置きなく晴信を任せる準備が出来た板垣、その最後の時が少しずつ近ついてきた。

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板垣、一人諏訪を思うー『風林火山』鑑賞記21

2007-06-02 01:20:40 | S.Chiba
             第21回 「消えた姫」

 二週間ぶりの千葉ちゃん・板垣登場。シーンは、2シーン。やっぱり物語が引き締まり緊迫感が出る気がするのは、自分の贔屓目?!
 まずは、駒井(高橋一生)の報告で、村上義清(永島敏行)の動きを聞き、諏訪で再び戦いが始まるのことに、心を痛める板垣。「諏訪全土が手に入る日は何時来るのか」と聞く駒井に、「何年かかろうとそれができれば良いのだが・・・」と思わず口にする。武田の重臣らが、由布姫(柴本幸)騒動で勘助相手に騒ぎ立てている間にも、諏訪郡代として、一人、諏訪にて武田の行く末を思う表情に注目。次のシーンは、由布姫を連れて諏訪へ戻った勘助(内野聖陽)を側に呼び、諏訪の息女として育ったこの場所で、もし少しでも武田に恨みがあるなら、その思いが強くなるだけと、御屋方様、晴信(市川亀治郎)も御同意した諏訪湖に近い観音院に姫を連れて行くよう話す。そして、去って行こうとする勘助に「こたびばかりはそちの見通しが甘かったのう」と一言。まだ、御屋方様ほど信頼を寄せられずにいる板垣。勘助を見る眼差しに、軍師としても、今だ、信用できかねる残念な思いを滲ませる。

 今回は、なんといっても、主役・勘助の迫真の演技が見どころ。重臣らに責め立てられ晴信から由布姫の諏訪行きを任され板垣からは策が及ばなかった事をちくり皮肉られる勘助の立場は、苦しい状況。そして、とどめを刺すように、由布姫が勘助の前から消える。雪の降る中、刀も捨て髪を振り乱し、あてどなく、必死に姫の名を呼びさまよう勘助は、亡霊のよう。海ノ口城で一度死んだ勘助が、又死んだ!?そして、再び、蘇る?!

 常に優しく気にかけてくれる三条夫人(池脇千鶴)に、甘酒を振舞う由布姫。戸惑う三条夫人に辛らつな言葉を浴びせ、その胸を痛めさせ、駆けつけた晴信の視線にうつむく。若くして(14歳?!)生き地獄を選び、側室として連れてこられた由布姫の思いを、微妙に感じとっていたのは、同じく晴信に直に触れ合った女性・三条夫人だけだった。そして、晴信自身も、笛の音に、由布姫の態度と裏腹の気持ちを感じ、由布姫と勘助との間の、ある感情にも気づいていた大井夫人(風吹ジュン)の温かい言葉にも、どうにも素直にうなずく事ができず、ただ頬を涙がつたう由布姫。ここからは、若き由布姫・柴本幸の迫真の演技も注目だ。

 諏訪に一人返される道すがら気づいた自分の思い、無表情で湖を見つめる心中は・・・。消えた由布姫と、由布姫との運命の再会を果たした勘助は、遂に、自分の側室にしようとした考えの甘さを侘び、思いを打ち明けるように、一緒にお逃げ下されと話すが、姫の心は既に御屋方様にあった。復讐の思いをこえた激しい恋慕、嫉妬の情を知った娘心己が、浅ましく恐ろしく、身も心も張り裂けんばかり で、私をあやめて欲しいと訴える。この姫はあくまでも自害と言う選択肢が無い?生の中で、もだえ苦しむ姿は、惨めで未練たっぷりで見ていられないという人もいるだろう。「私を助けて、私をあやめてください」と勘助に訴える姿は、人間らしくて好きだ

 想像もしていなかった、姫の御屋方様への愛しいと話す姿に呆然とする勘助だが、それこそ自分が思い描いていたものだった。侍女が自害した事を知り泣く崩れる姫に、『そこまでの思いを話しておきながら泣くのはおやめくだされ』と、我に返ったように話し出す勘助。『 なんと、小さき事を御考えになられる』姫を奮い立たせるように語る言葉は、まさに己に言い聞かせているよう。『御屋方様のご寵愛をご存分にお受けなさりませ。御屋方様は天下人になられるのです、この勘助がそうするのです。この勘助を御信じ下さりませ』と、自らを奮い立たせる様。凍えた姫の足をさすり暖めながら『明日をも知れぬこの乱世、人を追って死を選ぶほど愚かしい事はござりませぬ』と、姫への思いを断ち切るように、御屋方様の魔死利天を再び姫の手に渡し『御屋方様が、いつでも、姫様がお守りしております』と由布姫に優しく微笑む。自らの胸で涙を流す姫への失恋の情を断ち切り、覚悟を決めた勘助の表情は清々しく見えた。

 無事に御屋方様の胸に抱かれた由布姫。自らの計画通り事が納まったのを確信した勘助の心中こそ、諏訪湖の御御渡りのようだったのでは・・・。

 激しい二人の力がこもった大悲恋の回が終わり、遂に、戦国の勇士が揃って登場、戦も目前の次回。板垣の出番が気になるが、予告編のラスト聞こえてきた板垣の声にニヤリとしてしまいました。

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