第27回 「最強の敵」〈2〉
千葉ちゃん・板垣のシーンは、まだまだたっぷり。見どころは、ラストの晴信(市川亀治郎)とのガチンコ対決!
まずは伝兵衛(有薗芳樹)登場の第四のシーン。諏訪の情勢を案じた板垣は、伝兵衛に、小笠原家中を探り武田に寝返る家臣を探し出す様に言う。お任せくだされと去る伝兵衛をニヤリと見送り「つかえるようになったもんじゃ」嬉しそうに笑った板垣。伝兵衛との間に出来た、絆の強さは、この後、28、29回とまたがって、描かれる。乞うご期待!
一方、勘助(内野聖陽)は、自ら諜略を仕組む板垣に、村上(永島敏行)との戦に弱腰になっておられるようだと言う。「馬鹿な!」ぽんと膝を叩き、振り向く板垣。千葉ちゃんならではのこのしぐさ、このテンポ!思わずニヤリとしてしまう!すぐに表情を一変させ、苦渋の表情で、信濃の最強の村上に、疲弊した我が軍勢が、容易に勝てると思うかと勘助に訊く。「もはやそちも、御屋方様を止める術も無かろう。あればいかにする」、無念な表情の板垣。勘助は腕を組んで思案中「御屋方様を、討ち死にさせるわけには、いかんのじゃ。」板垣は、心から搾り出すように言う<pan style="font-weight:bold"> 「次なる戦は・・・」 と、遠くを見つめ 「次なる、戦・・・」 と繰り返す板垣の心中には、ある決心が・・・。しかし、板垣の思いを知る由も無い勘助は、由布姫(柴本幸)から、負けを知らぬ晴信の敗戦に怯える姿を聞き、由布姫の「かといって、負けるわけにも行くまい」という言葉に「次なる戦は・・・」と言った板垣を思い出し、はっと表情がこわばっる勘助。
ラストは、千葉ちゃん・板垣最大の見せ場。傳役として、”若”晴信と真っ向勝負。思いを君主たる晴信に伝えるのシーン。
板垣と共に諏訪から戻った勘助が御屋方様に、村上攻めの延期を願い出る「こたびの敵は、確たる勝算も無くご出陣をお決めになられた、御屋方様のご心中にござりまする」 晴信の怒りを遮るように「ひかえよ勘助!御屋方様は、われらの力を見込まれておられるのじゃ。」と板垣が申し上げる。
されど御屋方様、戦に負けたものが恨みを残したままでは、国は治まりませぬ。この勘助も申しておりました。己の国とは人であると。御屋方様に他ならぬと。」「わしが負けてもそういえるのか?勝っておればこそ言える事だ!」吼える様に言った晴信が、一変し「そちはわしが変わったと嘆いて折るやも知れぬが、それはそちの見当違いじゃ。」笑って得意げに「このわしは、これからを考えて生きておる。機を見て変われぬ人間は、必ずや滅び去る。」自信満々に言うのを受け「いかにも!でござる」晴信をじっと見て手を着く板垣が続ける「ただ、人の道をたがえてはなりませぬ。」 「人の道は、決して一本にあらず。戦に勝つ道もまたしかりだ。」
首を振ってきっぱりと「いいや、一本であるべきです。一本であらずして、われら家臣は共に歩む事はできませぬ。」板垣の言葉に息を呑む晴信。二人を、見つめる勘助。
バックに流れ始める音楽。板垣の思いが、さらに胸に、切実に伝わってくる。
「御屋方様は、変わられたのではなく、自らの力を信じられなくなられているだけのこと。」 「わしの力とは、何じゃ?」必死に何かをこらえるように、訊く晴信。
それに答え板垣が説く 「御屋方様の力とは、人を動かす力でござる。その心を持って、人を動かす力でござる。」 静かに思いを込め、熱い眼差しを逸らすことなく晴信に訴える板垣の目にも、黙って見つめ聞く勘助の目にも光るものが・・・「この勘助を、軍師にしたのも、その力。そのような力を持てる主は、他(た)にはおりませぬ。」きっぱり言い切り、思いを込めかみ締めるように 「われらは、得がたい主君に御仕えしていでござる。その恩方に命をささげているのでござりまする。なにとぞなにとぞ、自信をお持ちくださりませ。」 溢れんばかりに一杯の涙をため頭を下げ「若、若・・・」と言って目を閉じる、傳役・板垣しかいえぬ言葉、伝えられない思いのたけが篭もった、最後の言葉に、何度訊いても、胸が締め付けられる。NHKドラマストーリーでは泣きになるシーン、グッとこらえた千葉ちゃん板垣の演技に、こちらがウルウルぼろぼろ状態。
かたくなに、決して表情を崩さず固まったように板垣を見る晴信。勘助は、板垣の決死の訴える姿を、潤んだ目で見つめる。最高の褒め言葉も、今の晴信には、その言葉、その思いを、そのままハイと受け取れぬ思いがある。それは、裏を返せば、傳役、軍師からの独り立ちを決意した自分を覆し、意見を聞き伝えるだけの、主へと戻る無念さが渦を巻いている心中から来るもの?!
自分の懐の深さが見えなくなっている、晴信に、もう一度、板垣自ら、目を開かせようと訴える姿に、勘助自信も、自分が忘れていたもの、見えなくなりかけていたものに気づいた瞬間だった。
そして、板垣の決死の思いは、次回、晴信に、その行いで、確実に、届き伝わる事になるのか?!
千葉ちゃん・板垣のシーンは、まだまだたっぷり。見どころは、ラストの晴信(市川亀治郎)とのガチンコ対決!
まずは伝兵衛(有薗芳樹)登場の第四のシーン。諏訪の情勢を案じた板垣は、伝兵衛に、小笠原家中を探り武田に寝返る家臣を探し出す様に言う。お任せくだされと去る伝兵衛をニヤリと見送り「つかえるようになったもんじゃ」嬉しそうに笑った板垣。伝兵衛との間に出来た、絆の強さは、この後、28、29回とまたがって、描かれる。乞うご期待!
一方、勘助(内野聖陽)は、自ら諜略を仕組む板垣に、村上(永島敏行)との戦に弱腰になっておられるようだと言う。「馬鹿な!」ぽんと膝を叩き、振り向く板垣。千葉ちゃんならではのこのしぐさ、このテンポ!思わずニヤリとしてしまう!すぐに表情を一変させ、苦渋の表情で、信濃の最強の村上に、疲弊した我が軍勢が、容易に勝てると思うかと勘助に訊く。「もはやそちも、御屋方様を止める術も無かろう。あればいかにする」、無念な表情の板垣。勘助は腕を組んで思案中「御屋方様を、討ち死にさせるわけには、いかんのじゃ。」板垣は、心から搾り出すように言う<pan style="font-weight:bold"> 「次なる戦は・・・」 と、遠くを見つめ 「次なる、戦・・・」 と繰り返す板垣の心中には、ある決心が・・・。しかし、板垣の思いを知る由も無い勘助は、由布姫(柴本幸)から、負けを知らぬ晴信の敗戦に怯える姿を聞き、由布姫の「かといって、負けるわけにも行くまい」という言葉に「次なる戦は・・・」と言った板垣を思い出し、はっと表情がこわばっる勘助。
ラストは、千葉ちゃん・板垣最大の見せ場。傳役として、”若”晴信と真っ向勝負。思いを君主たる晴信に伝えるのシーン。
板垣と共に諏訪から戻った勘助が御屋方様に、村上攻めの延期を願い出る「こたびの敵は、確たる勝算も無くご出陣をお決めになられた、御屋方様のご心中にござりまする」 晴信の怒りを遮るように「ひかえよ勘助!御屋方様は、われらの力を見込まれておられるのじゃ。」と板垣が申し上げる。
されど御屋方様、戦に負けたものが恨みを残したままでは、国は治まりませぬ。この勘助も申しておりました。己の国とは人であると。御屋方様に他ならぬと。」「わしが負けてもそういえるのか?勝っておればこそ言える事だ!」吼える様に言った晴信が、一変し「そちはわしが変わったと嘆いて折るやも知れぬが、それはそちの見当違いじゃ。」笑って得意げに「このわしは、これからを考えて生きておる。機を見て変われぬ人間は、必ずや滅び去る。」自信満々に言うのを受け「いかにも!でござる」晴信をじっと見て手を着く板垣が続ける「ただ、人の道をたがえてはなりませぬ。」 「人の道は、決して一本にあらず。戦に勝つ道もまたしかりだ。」
首を振ってきっぱりと「いいや、一本であるべきです。一本であらずして、われら家臣は共に歩む事はできませぬ。」板垣の言葉に息を呑む晴信。二人を、見つめる勘助。
バックに流れ始める音楽。板垣の思いが、さらに胸に、切実に伝わってくる。
「御屋方様は、変わられたのではなく、自らの力を信じられなくなられているだけのこと。」 「わしの力とは、何じゃ?」必死に何かをこらえるように、訊く晴信。
それに答え板垣が説く 「御屋方様の力とは、人を動かす力でござる。その心を持って、人を動かす力でござる。」 静かに思いを込め、熱い眼差しを逸らすことなく晴信に訴える板垣の目にも、黙って見つめ聞く勘助の目にも光るものが・・・「この勘助を、軍師にしたのも、その力。そのような力を持てる主は、他(た)にはおりませぬ。」きっぱり言い切り、思いを込めかみ締めるように 「われらは、得がたい主君に御仕えしていでござる。その恩方に命をささげているのでござりまする。なにとぞなにとぞ、自信をお持ちくださりませ。」 溢れんばかりに一杯の涙をため頭を下げ「若、若・・・」と言って目を閉じる、傳役・板垣しかいえぬ言葉、伝えられない思いのたけが篭もった、最後の言葉に、何度訊いても、胸が締め付けられる。NHKドラマストーリーでは泣きになるシーン、グッとこらえた千葉ちゃん板垣の演技に、こちらがウルウルぼろぼろ状態。
かたくなに、決して表情を崩さず固まったように板垣を見る晴信。勘助は、板垣の決死の訴える姿を、潤んだ目で見つめる。最高の褒め言葉も、今の晴信には、その言葉、その思いを、そのままハイと受け取れぬ思いがある。それは、裏を返せば、傳役、軍師からの独り立ちを決意した自分を覆し、意見を聞き伝えるだけの、主へと戻る無念さが渦を巻いている心中から来るもの?!
自分の懐の深さが見えなくなっている、晴信に、もう一度、板垣自ら、目を開かせようと訴える姿に、勘助自信も、自分が忘れていたもの、見えなくなりかけていたものに気づいた瞬間だった。
そして、板垣の決死の思いは、次回、晴信に、その行いで、確実に、届き伝わる事になるのか?!