地震罹災証明に再調査要請700件超
「一部損壊」に不服か
道新 10/08
胆振東部地震で、住宅被害の判定結果を不服とする被災者から、自治体に再調査を求める申し立てが、札幌を中心に道内で少なくとも701件寄せられたことが、北海道新聞の調べで分かった。国の制度で公的支援金を受け取れない「一部損壊」の判定が8割を占めていることから、再調査の要望が増えたとみられる。専門家は「迅速な復興に向け、住民の再建への意欲を高めるためにも、幅広い支援が必要だ」と指摘する。
北海道新聞が道に住宅被害を報告した27市町に対し、住宅被害の判定結果を通知する罹災(りさい)証明書の発行状況と、不服申し立ての有無を聞いた。
罹災証明の申請は3日現在計7187件、発行数は計5282件。一部損壊が4422件と、発行数の8割超を占めた。全壊257件、大規模半壊73件、半壊420件、被害なし110件。
不服申し立てのうち札幌市が663件と道内全体の95%を占め、同市の罹災証明発行数の2割に及んだ。市固定資産税課の担当者は「一部損壊の被災者が大半だろう」とみる。
胆振管内安平町は21件、むかわ町は15件、厚真町は0件だった。3町の罹災証明の発行数は、自治体規模に比べて被害が大きかったことなどから、3日時点で申請の4割にとどまる。厚真町の担当者は「手続きが進めば再調査希望は出てくるだろう」と推測する。
不服申し立ては他に、千歳市と登別市が1件。北広島市は「申し立てはあるが数は未集計」としている。
国の災害救助法や被災者生活再建支援法は、住み続けるのが困難な全壊や大規模半壊、半壊以上の被災者支援が柱。一部損壊でも住宅の補修に多額の費用を要する場合があるが、支援は所得税の減免などに限られている。
再調査で結果が変わることは少ない。札幌市厚別区の主婦(58)は木造2階建ての自宅が傾き、基礎にひび割れも走り、業者には500万円の修理費がかかると言われた。だが、罹災証明は一部損壊で、9月21日に出た再調査結果も同じ。「雪が積もる冬を越せるのか不安だ。5万円でも10万円でもいいから支援が欲しい」と訴える。
液状化の被害があった札幌市清田区里塚地区では、時間がたって住宅の傾きが大きくなり、再調査で判定が一部損壊から半壊に変わった例があり、千歳市の1件も再調査で一部損壊から全壊に変更された。ただ、札幌市の担当者は「基準に沿って調査しており、結果が劇的に変わることはそう多くはない」と話す。
一部損壊の被災者らが支援の枠組みから漏れる課題は過去も指摘され、対策が取られてきた。
2000年の鳥取県西部地震後、同県と市町村は年1億円ずつ基金を積み立て、16年の鳥取県中部地震では独自に一部損壊の世帯に補修費用を最大30万円支給した。16年の熊本地震では、一部損壊で修理に100万円以上かかった世帯に対し、県が義援金から10万円を配分した。
鳥取大の浅井秀子准教授(地域防災)は「自治体による幅広い被災者支援は、少額でも復興への意識を高める意味がある」と話している。(荒谷健一郎、川崎学)
<ことば>住宅の被害認定 災害対策基本法に基づき、市町村職員が国の判定基準に沿って、住宅の壁や基礎のひび割れ、住宅の傾きなどを目視で調査する。損壊割合によって50%以上を全壊、40%以上50%未満を大規模半壊、20%以上40%未満を半壊、1%以上20%未満を一部損壊と判定する。罹災(りさい)証明書の発行後、被災者が要望すれば不服申し立てができる。
「自然災害」なのだから全額保証できればいいのですが・・・
こんなところにも「自己責任」ですか?
今日は一日曇りの予報でしたが、割と晴れ間が多かったようです。
この時期すっきりと晴れると霜の恐れがあります。だから今日のように朝晩曇りで日中は晴れてくれるととてもうれしいのです。