外資の餌食 日本の台所が危ない
日本市場が“おいしい”理由 遺伝子組み換え&農薬の受け皿
日刊ゲンダイDIGITAL 2018/10/30
「種を支配する者は世界を制する」――。元農水大臣で弁護士の山田正彦氏は20年前の訪米の際に見た、その看板が忘れられないという。
世界の種子市場は、独バイエル、米ダウ・デュポン、スイスのシンジェンタ、独BASFで8割のシェアを占める。バイエルは今年6月、遺伝子組み換えで世界シェア9割の米モンサントを買収した。これら多国籍企業が今、日本市場を狙い、市場開放を求めている。
外資の種子会社は、化学肥料や農薬とセットで「種」を販売するビジネスモデルを確立している。なぜ日本市場に目を向けるのか。外資の最大の関心は遺伝子組み換え作物と農薬だ。TPP問題に詳しいアジア太平洋資料センターの内田聖子氏が言う。
「遺伝子組み換え作物は、90年代以降、世界中で順調に販売を伸ばしてきましたが、最近は頭打ちです。そんな中、日本は遺伝子組み換え作物の承認が300を超えていて、米国の約200、EUの約100をしのぐ世界一なのです。また、農薬については、世界では毒性が訴訟で問題になったりして規制強化の方向ですが、日本は逆に規制緩和に向かっています。こんなに“おいしい市場”は日本以外にありません」
日本市場を狙っている種子会社は、TPPなど自由貿易を推進してきた多国籍企業約600社の中の主要メンバー。各国にロビイストを送り込み、東京にも100人ほどいるとされる。
2016年2月、ニュージーランドのオークランドで米国離脱前のTPP協定が署名されたが、付属文書には「外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める」とある。利害関係者とは水道、医療、保険を意味しているとされていたが、実はこれには「種子関連ビジネス」も含まれているという。だから翌17年に「種子法」廃止が突然決まったと推測されるのである。
「種子法」が廃止されたことで、公共品種が減り、民間参入が加速することになるだろう。国内の民間企業はすでにコメ市場で独自の種を流通させている。三井化学アグロの「みつひかり」は全国のコメ生産でシェア1%。他に住友化学の「つくばSD」や豊田通商の「しきゆたか」がある。その後ろで外資が「種、肥料、農薬ビジネス」を虎視眈々と狙っている。 =つづく
(取材=本紙・生田修平、高月太樹)
寒い寒いと思ったら手稲山が初冠雪だそうです。こちらも不安定な天気で強風を伴う雨が、一時あられとなってハウスビニールにたたきつけられます。まだ昼過ぎでも夕方のように暗く、収穫するミニトマトの色が微妙にわからなくなります。もう冬物のジャンバー出さなくちゃ。