「しんぶん赤旗」2023年2月15日
性搾取や虐待の被害に遭った少女らに寄り添い活動する一般社団法人Colabo(コラボ)の事業で、食料の提供や少女らの居場所となっている「バスカフェ」への妨害が激しくなっています。コラボの活動を守ろうと8日夜、雨が降る中25人以上の有志の女性たちが東京・新宿に集合。「女の壁」をつくり妨害者を追い払いました。現場を見ました。(取材班)
居酒屋や風俗店が並ぶ新宿区歌舞伎町。この日もピンクのバスの周囲にいすなどを置き、少女たちを受け入れるバスカフェが始まりました。
バスに近づき
午後9時すぎ、数人の男性がバスの前に。中にはすでに20人以上の少女たちがいました。
男性らは「ただ通るだけ」と言いながらも、バスカフェを覗き込みカメラを回します。
その男性たちはこの日以前にも数回バスカフェを訪れ、怒鳴ったり動画を撮影したりしてきました。
「女の子たちが怖がるからやめて」「早く向こうへ行って」―。
そう説得しながら、バス前や周囲で待機していた女性たちが、男性らをバスに近づけないよう囲みます。
女性たちに対し男性らは「ブス」「ババア」などの暴言も。ある男性は自慰行為の仕草をしながら「風俗王」だなどと叫びます。
押し返されながらも執拗(しつよう)にバスに近づこうとする男性らに女性たちは詰め寄り、コールしながら、じりじりと遠くへ追いやりました。
一方で、バスカフェから離れたところに「Colaboに連帯します」「デマはやめろ」といった自作のプラカードを持つ男性たちの姿が。
その一人は「本来行政がやるべき支援をコラボがしているのに、デマを流し、妨害を楽しんでいる。ヘイトクライムの域だ。女性をたたいて面白がっているのはグロテスクだ。今連帯の意思を示さないと」と話します。
静かに立つ理由は「コラボの活動の邪魔をしたくないから」といいます。
「コラボは女性が主体でやってきた。男性が近くにいるだけでも、少女たちがバスカフェを利用しづらくなってしまうかもしれない」
相談件数減る
この間、コラボや代表の仁藤夢乃さんに関するデマや中傷がネット上で広がり、事業への直接の妨害に発展。少女たちが安心してバスカフェを利用することが困難な環境になっています。相談件数は減少。仁藤さんは「本当に支援が必要な女の子につながれていないかもしれない」と憤ります。
これまでバスカフェには▽開設前から複数の男性が無言で立つ▽バスカフェの前でライターを片手に「火つけたろか」とつぶやく▽陰から望遠レンズで撮影する▽撮影したものをネットに投稿し、中傷する▽バスカフェの利用者や関係者を特定する―などの嫌がらせが多発しています。
そんな状況を「見過ごすわけにはいかない」と1日から有志で集まった、議員や弁護士も含む女性たち。夜が深まるにつれ気温が下がる中、体を小刻みに動かしたり、コートの襟やマフラーを締め直したりしながら見守りを続けています。
仁藤さんは「女性たちだけでコラボの活動を守ってくれるのは大きな力だ。一緒に声を上げ、連帯し、行動してくれる女性たちの存在を、女の子たちも喜んでいる」と声に力を込めます。
今季一番の冷え込み。
今朝はいい天気でしたが昼前から雪がちらつきます。