後半国会の焦点 人権侵害 食料自給率…
「しんぶん赤旗」2024年4月1日
2024年度予算案が成立し、これから本格的な法案審議が行われます。人権侵害・憲法違反の経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)、食料自給率向上を放棄する農業基本法の改定など重大法案が目白押しです。
経済秘密保護法案
経済秘密保護法案は、国家機密の範囲を秘密保護法(2013年成立)の「防衛・外交・スパイ活動・テロ活動(4分野)」から経済分野にも拡大します。政府が経済安全保障上で重要だとした情報を秘密指定し、接触できる人物を「適性評価」で選別。情報漏えいや情報を取得する行為には5年以下の拘禁刑などの罰則が科されます。
同法案は19日、衆院本会議で審議入りし、質問に立った塩川鉄也議員は「秘密を扱う人は民間労働者、技術者、研究者など飛躍的に広がる。秘密保護体制を際限なく拡大するものだ」と批判しました。
政府は、秘密保護法の運用基準の見直しで特定秘密に指定するとしているにもかかわらず、高市早苗経済安保相はまともな説明もなしに、「特定秘密の範囲は広がらない」(27日、衆院内閣委員会)と強弁しました。
子ども・子育て支援法案
政府が少子化対策の目玉としている、子ども・子育て支援法改定案で創設する「こども・子育て支援金」は、公的医療保険料に上乗せして徴収します。
共産党は、財源として医療・介護の窓口3割負担の拡大など、歳出改革の検討・実施と一体だと批判しています。
宮本徹議員が2月15日の衆院予算委員会で、「政府の『実質的な負担は増えない』との言い方はまやかしだ」と追及すると、武見敬三厚生労働相は「(負担増は)特に高齢者層に出てくる」と答弁。「ステルス(こっそり)増税」との批判は免れません。
離婚後共同親権
離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案は、父母間に「真摯(しんし)な合意」がない状況でも、裁判所が共同親権とするかどうかを判断します。
同改定案は14日、衆院本会議で審議入り。質問に立った本村伸子議員は、「夫婦間の信頼が失われ、離婚に至った場合、『共同親権』がかえって子どもの安全や命を損なう懸念がある」と批判しました。
虐待・DV(配偶者などからの暴力)被害者から廃案を求める声が噴出し、与党からも「現実とギャップがある」(自民党の野田聖子元少子化担当相)などの慎重論が出ています。
仁比聡平議員が22日の参院法務委員会でただすと、小泉龍司法相は「(改定案は)完璧ではない」と議論不足を認めました。
農業基本法案
農政の基本方針を定める「食料・農業・農村基本法改定案」は、食料自給率を単なる一指標に格下げする一方、「安定的な輸入を確保する」との条文を新設。食料自給率の向上を投げ捨てるものです。
同改定案は26日の衆院本会議で審議入り。田村貴昭議員は質疑で、輸入自由化を拡大し、日本の食料自給率を38%に落ち込ませた自民党農政からの転換を訴え、「価格保障や所得補償を抜本的に充実し、政府の責任で基本法に明記すべきだ」と主張しました。
紙智子議員は25日の参院予算委員会で、21、22年の「稲作経営の時間当たりの農業所得」はわずか10円だとし、価格の下支えなどを主張。ところが、岸田首相は「小規模経営体も含めた平均値だ」と危機感のない答弁を繰り返しました。
同改定案と同時に提出された「食料供給困難事態対策法案」は、「有事」の際に農家に芋などを作ることを罰則で義務付ける異常なものです。
入管難民法案
政府は29日、人手不足の分野で外国人労働者を受け入れている「特定技能」について、鉄道や林業など4分野への追加を閣議決定しました。しかし、新たな「育成就労制度」を創設する入管難民法改定案などは、深刻な人権侵害が多発し、廃止が求められていた外国人技能実習制度の枠組みを温存しています。
さらに、永住許可の取り消しを厳罰化する条文を新設。永住許可を得ている外国人に税金や社会保険料の未払いがあった場合、永住許可を取り消せます。
共産党は、やむを得ない事情があるにもかかわらず永住許可を取り消される恐れがあるとし、人権を保障する外国人受け入れ制度に抜本的に改めることを求めています。
自民党の裏金問題は幕引きを許さず、証人喚問など徹底した真相解明が引き続き焦点になります。
自公政権、早いとこ潰さねば・・・
今朝は思いがけず2cmほどの雪が積もっていました。
日中も雪がチラつく天気。
融雪剤をまいたところも真っ白になっています。