面白く、そして下らない

私は批判をして何かを為した気になっている大衆の一人に過ぎないが、何か少しでも波紋を起こす小石になれればと書いている。

死刑と無期懲役を分けるものは何か

2021-11-09 20:25:29 | 政治
~~引用ここから~~

点滴に消毒液 3人殺害の罪 元看護師に無期懲役の判決 横浜地裁 | NHKニュース

【NHK】横浜市の病院で、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われた元看護師に対し、横浜地方裁判所は、「結果は極…

NHKニュース

 


横浜市の病院で、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して殺害した罪などに問われた元看護師に対し、横浜地方裁判所は、「結果は極めて重大だが、更生の可能性があり、死刑を選択するのは、ちゅうちょせざるをえない」と述べ、死刑の求刑に対し、無期懲役の判決を言い渡しました。

横浜市神奈川区の旧「大口病院」の元看護師、久保木愛弓被告(34)は、5年前の2016年9月、70代から80代の入院患者3人の点滴に消毒液を混入し、殺害した罪などに問われました。

これまでの裁判員裁判で、被告は起訴された内容を認め、被告の当時の精神状態や刑の重さが争点になり、検察が死刑を求刑したのに対し、弁護士は心神こう弱状態で、無期懲役が相当だと主張していました。

9日の判決で横浜地方裁判所の家令和典裁判長は、被告の当時の精神状態について「『ASD=自閉スペクトラム症』の特性を有し、うつ状態と認められるが、完全責任能力が認められる」と述べたうえ、「被害者は苦痛の中で命を奪われており、結果は極めて重大だ」と指摘しました。

一方で、犯行にいたる経緯について「被告は、もともとの特性から看護師には向いていないと自覚していたが、急変時に無理な延命措置をしないとされた大口病院の業務なら、自分にもつとまると考えた。しかし、実際には患者の家族がみとりに間に合うよう延命措置を講じなければならないことがあり、亡くなった際には家族にどなられて強い恐怖を感じた。ストレスをため込んだ被告は、一時的な不安軽減のため患者を消し去るほかないと考え、短絡的な犯行を繰り返した。こうした動機の形成過程には被告の努力では、いかんともしがたい事情が色濃く影響している」と述べました。

そのうえで、「反省して罪を償いたいと述べており、更生の可能性が認められ、死刑を選択するのは、ちゅうちょを感じざるをえない」として、無期懲役を言い渡しました。

裁判長「生涯をかけて償ってほしい」

無期懲役の主文が言い渡されたとき、被告は証言台の前に座り、裁判長のほうをじっと見つめていました。

そして裁判長が「裁判所の判断です。わかりましたか」と尋ねると、被告は「はい」と小さな声で答えました。

言い渡しの際、検察官の後ろに座っていた遺族は、じっと被告のほうを見ていました。

最後に裁判長は「それぞれの犯行について慎重に検討しました。苦しい評議でしたが、われわれ全員で出した結論が無期懲役です。生涯をかけて償ってほしい」と語りかけ、閉廷しました。

遺族コメント「判決に納得いかない」

判決について被害者の1人、西川惣藏さん(88)の長女は弁護士を通じて、「3人を殺害したという事実や、完全な責任能力があることなどはすべて認められたのに、謝罪を述べたことや、公判の最後に死んで償うと述べたこと、被告人の経歴、性格などから無期懲役の選択がされたという判断には、納得がいきません。極刑がすべてではなく、無期懲役が厳しい刑罰であることは十分理解していますが、裁判所の価値判断によって結論が出されたという印象を拭い去れません。死刑が選択されなかったことを納得できる理由は判決の中で説明されていませんでした。被告人は、少なくとも生きていくことは許されたわけですが、では、これからどうやって償っていくのかという思いです」とするコメントを出しました。

また亡くなった八巻信雄さん(88)の長男の信行さん(61)は、弁護士を通じて、「判決には納得できない。あまりに身勝手な動機で罪のない人を殺しておきながら、死刑にならないのはおかしい。検察には控訴してほしい」というコメントを出しました。

病院コメント「被害患者と遺族に心よりお詫び」

判決を受けて、久保木被告が勤務していた横浜市の旧「大口病院」、今の「横浜はじめ病院」はコメントを出しました。

この中で、「患者様に寄り添い、守るべき病院において看護師がこのような恐ろしい行為に及んだことが認定される結果となりました。改めまして、被害にあわれた患者様およびご遺族の皆様には心よりお詫び申し上げます。今はただ、事件によりお亡くなりになられた患者様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます」としています。

横浜地検「上級庁とも協議のうえ適切に対応したい」

判決について、横浜地方検察庁の安藤浄人次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」としています。
~~引用ここまで~~


旧大口病院点滴連続殺人事件は元看護師の被告人に「無期懲役」が言い渡された。死刑と無期懲役を分けるものは何なのだろう。同じような事件なのに死刑になる事件と無期懲役になる事件は何が違うのか。2人以上殺害した事件で検察が死刑を求刑したのに無期懲役が言い渡される度に疑問に思う。

この事件では悪名高い刑法39条の心神耗弱により減刑されたわけではない。あくまで完全責任能力が認められたのだ。それなのに反省の態度が見られるということで死刑ではなく無期懲役になった。

証拠が見つかり証明されたのは3件の殺人事件だけだが、被告人は20人以上に消毒液を混入したと証言しており、20人以上殺害したと推定されるのだ。近代刑事裁判では証明されない犯罪は罪に問われないのが原則ではある。しかし20人以上殺害したと証言していることを無視するのも問題ではないか。

旧大口病院は終末期の患者を受け入れる病院だから患者が死ぬことは珍しくない。それにしても多過ぎると疑問を持たれていたようだが、「自然死」ということで遺体は火葬されており証拠は失われてしまっていた。

それにしても、だ。被告人は20人以上殺害したと証言しているのだ。「更正の余地がある」と判断した根拠は何なのだろう。この裁判は裁判員裁判だ。裁判員も「更正の余地がある」と判断したのだろうか。

刑法39条を廃止せよ - 面白く、そして下らない

永山基準を破棄せよ - 面白く、そして下らない

死刑判決の基準 - 面白く、そして下らない

やはり刑法39条の廃止が必要だ - 面白く、そして下らない

私は「殺人」であれば被害者が1人でも原則死刑にすべきだと考える(傷害致死は別だ)。人を殺しているのだからそれが筋だろう。しかし被害者が1人であればまず死刑にはならない。報道機関が注目するような被害者が2人以上の凶悪事件でも死刑判決を回避して無期懲役になるケースは少なくない。

死刑を避ける必要があるのか。国際社会が死刑廃止に傾いているから死刑判決を回避するべきなのか。私はそうは思わない。

死刑は取り返しがつかないのは事実だ。だが殺人も取り返しがつかない。人を殺しているのだから死刑が相応しいのだ。

ツイッターにファシズムの初期兆候として刑罰が重くなるというものがあるそうだ。だとすればファシズムも悪いことばかりではない。殺人には死刑で応じるのが当然だと考える。

執行猶予者に社会奉仕活動を命じてはどうか - 面白く、そして下らない

執行猶予者への追加の罰として社会奉仕活動をさせるべきではないかと以前書いた。懲役判決を受けた受刑者には「重労働」を科すのも良いのではないか。脱走、脱獄に対する備えは必要だから以前は自己却下したのだが、社会に迷惑を掛けたのだから社会に対して奉仕して償うのだ。

受刑者に対する強制労働は奴隷の労働と同じだから、あるいは共産主義のように、受刑者が可能な限り手を抜く可能性もあるのだが。雪かきや河川の清掃、ゴミ屋敷の解体など受刑者にさせる仕事はいくらでもあるのだ。

裁判員裁判を導入しても死刑判決の基準はそれほど変わらなかったし、一審で死刑判決を下しても高裁で覆されてしまうのだ。死刑廃止論者は認めようとしないが、死刑には抑止力がある。死刑執行を早くすればするほど効果があるのだ。

「死刑になりたかった」「もうどうでも良かった」などと供述するいわゆる「無敵の人」に対する抑止には確かにならない。それこそ「拷問」を復活させるしかないが、近代国家でそれは許されないし、あり得ない。米国は「テロリスト」に「水責め」などをしていたわけだが。

死刑について裁判所任せにするのではなく、国会や法務省、あるいは国民で議論すべきだと考える。その結果はやはり被害者が1人でも殺人には原則死刑でということになるのではないか。

今回の旧大口病院点滴連続殺人事件は検察に控訴して欲しいところだが、検察は死刑を求刑して無給判決になった裁判はあまり上訴しないのだ。面子の問題だろうか。

証明できないとはいえ20人以上殺害したとされる被告人が死刑を回避されるのはあり得ない話だ。

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