親ロシアのヤヌコビッチ政権が民衆のデモで崩壊し、親欧米の暫定政権が成立し、それに対しロシアが猛反発し「軍事介入」した_というのが大雑把な一連の流れだ。
まずウクライナの政変が革命なのか、クーデターなのかという問題がある。ヤヌコビッチ政権は強権的で腐敗した政権だが、公平な選挙で選ばれた合法的な政権でもある。
選挙で選ばれた政権だからと言って何をして良いわけではむろんない。だが政権打倒が許されるのか疑問に思う。暫定政権を支持している欧米も暫定政権の合法性にはいくらか疑問を持っている。勿論ロシアは親露政権が崩壊したことに対し「クーデター」と猛批判している。
ただウクライナは経済が低迷しているので選挙でのみ不満をぶつけるのでは済まず、政権転覆が起きるのもやむを得ない側面があるとも思う。デモ隊に死者が100人近く出ていることも過激化した一因かもしれない。そちらの方が大きいか。
何より平成16年の「オレンジ革命」を米国政府あるいは米国の財界人が「支援」したように、今回の政変の裏にも欧米の「支援」があったかもしれない。そうだとするとロシアの反発も無理からぬことだ。欧米は選挙や人権、民主主義を連呼する癖に選挙で選出されたヤヌコビッチ政権を選挙に依らずして崩壊させたのだから。
それは今の段階ではわからない。わかっている人もいるだろうが。
ロシアはこのウクライナの政変に素早い反応を示した。上院にウクライナへの「軍事介入」の承認を求め、全会一致(下院でも)での承認を得るとクリミアにロシア軍を派遣した。
クリミアはロシア系の住民が6割を占め親ロシア的な地域だ。ロシアの介入前に「武装集団」がクリミア自治共和国の行政府と議会を占拠しロシア軍を迎え入れる下地を整えていた。この武装集団はロシアの特殊部隊かもしれない。こちらもわからないが。
それに対する欧米の対応G8の準備会合をボイコットするという制裁にもならないものだった。米露の電話会談でオバマとプーチンは激しくやりあったそうだが、どちらも譲らなかったようだ。
流石にそれだけでは済まさずロシアに対する経済制裁とG8からの追放が検討されているようだ。しかしドイツはロシアの軍事介入を批判しているがG8からの追放はやりすぎだと及び腰だ。イタリアと我が日本もロシアへの批判はあまり積極的ではない。米英仏加はかなり強く批判しているが。
それでも欧米にロシアと軍事的に敵対する選択肢はない。軍事大国であり核保有国でもあるロシアと戦争する危険は犯せないということだろう。
しかしそうであればロシアが自分の勢力圏であると見なしているウクライナにまで欧米は手を伸ばすべきではなかった。そうではないか。
ナポレオンであれヒトラーであれロシアは自分の国に勢力を伸ばしてくる存在には必ず応えてきた。軍事力の行使も躊躇わない。EUの東方拡大は「平和的」な手法であったかもしれないが、ロシアに取っては同じことだ。欧米はやり過ぎたのではないか。戦争するつもりがないのであれば親露政権を崩壊させるべきではなかった。
まあそれは良い。ウクライナの動乱にどう対応するかだ。しかし安倍内閣は傍観している。一応談話・声明は出しているがそれだけだ。欧米各国の首脳との電話会談さえしていない。北方領土問題を抱えている日本としてはロシアを刺激したくないとの思惑のようだ。
ロシアに恩を売っても北方領土は還ってくるだろうか。そんなに甘い国とは思えないが。それでも成算があるならまだわかる。外務省かNSCによるロシア分析でロシア側に立てば北方領土が返還されると判断されているならまだわかる。あるいは何かしらの国益に繋がるなら。
しかしそのような分析をしたあとは見られない。NSCを開いたのが遅いからだ。首相動静によれば休日はぼんやり休んでいたようだ。それでは安倍ちゃんの(内閣全体であっても)「プーチンの善意」に基づいた「希望的観測」に過ぎないのではないか。大東亜戦争敗戦間近に旧ソ連に講和の仲介を期待する大失態をしたように。
それでも仮に北方領土が4島返還されたとしよう。そうなると欧米世論はウクライナの動乱で「利益を掠め取った汚い日本」と猛批判するのではないか。本当に日米同盟が危うくなりかねない。首相官邸や外務省はどう考えているのだろう。心配のし過ぎなのか。
中国まで一応「ウクライナの主権を尊重する」という声明を出している現状ではロシア包囲網に加わった方が良いのではなかろうか。欧米と協調して米国との関係を一気に改善する(日米関係はそれほど悪いとも思わないのだが安倍ちゃんとオバマはまるで馬が合わないのは事実のようだ)。そしてロシアが孤立耐えかねたところで北方領土返還を条件に制裁を緩和する_このやり方でも抜け駆けする以上欧米世論には反発されるだろうか。
それは無理でも欧米とロシアが「新冷戦」とでも呼べる状況になってくれれば日本にはありがたい。現在のロシアは旧ソ連ほどの超大国ではないが大国には違いない。そのような国と対峙することになれば靖国神社参拝のような「小さなこと」で米国が日本を批判することはなくなる。冷戦中も旧ソ連という強大な敵がいたことで西側・資本主義民主主義国家は結束(一応はだが)していたのだから。
それさえも「希望的観測」だろうか。ロシアと対峙するため米国は中国の支持を益々必要とし、日本より中国を取る可能性があるだろうか。民主主義の「建前」からそれはあり得ないと思うのだが・・・。
とにかく安倍ちゃんにはNSCを開くなりして、関係大臣のみとの会議でも良いが、日本の方針を決めて行動して貰いたい。その際関係各国の首脳との電話会談を行うのは当然のことだ。今のところ岸田外相が仏外相としか電話会談をしていないのは問題だ。
他にも外相が駐日ロシア大使を呼んで「懸念とロシア軍の撤収要請」(軍事介入を非難しても良い)を伝え、ウクライナ在住の邦人に退避勧告を出すべきだ。邦人の退避勧告は日本政府がどのような方針を取るにしろ出すべきだ。日本人の声明と財産を守るのは日本政府の義務である。
世界各国を訪問するより今回の対応の方が重要だぞ、安倍ちゃん。「外交」を得意と自負するなら成果を見せて欲しい。
まずウクライナの政変が革命なのか、クーデターなのかという問題がある。ヤヌコビッチ政権は強権的で腐敗した政権だが、公平な選挙で選ばれた合法的な政権でもある。
選挙で選ばれた政権だからと言って何をして良いわけではむろんない。だが政権打倒が許されるのか疑問に思う。暫定政権を支持している欧米も暫定政権の合法性にはいくらか疑問を持っている。勿論ロシアは親露政権が崩壊したことに対し「クーデター」と猛批判している。
ただウクライナは経済が低迷しているので選挙でのみ不満をぶつけるのでは済まず、政権転覆が起きるのもやむを得ない側面があるとも思う。デモ隊に死者が100人近く出ていることも過激化した一因かもしれない。そちらの方が大きいか。
何より平成16年の「オレンジ革命」を米国政府あるいは米国の財界人が「支援」したように、今回の政変の裏にも欧米の「支援」があったかもしれない。そうだとするとロシアの反発も無理からぬことだ。欧米は選挙や人権、民主主義を連呼する癖に選挙で選出されたヤヌコビッチ政権を選挙に依らずして崩壊させたのだから。
それは今の段階ではわからない。わかっている人もいるだろうが。
ロシアはこのウクライナの政変に素早い反応を示した。上院にウクライナへの「軍事介入」の承認を求め、全会一致(下院でも)での承認を得るとクリミアにロシア軍を派遣した。
クリミアはロシア系の住民が6割を占め親ロシア的な地域だ。ロシアの介入前に「武装集団」がクリミア自治共和国の行政府と議会を占拠しロシア軍を迎え入れる下地を整えていた。この武装集団はロシアの特殊部隊かもしれない。こちらもわからないが。
それに対する欧米の対応G8の準備会合をボイコットするという制裁にもならないものだった。米露の電話会談でオバマとプーチンは激しくやりあったそうだが、どちらも譲らなかったようだ。
流石にそれだけでは済まさずロシアに対する経済制裁とG8からの追放が検討されているようだ。しかしドイツはロシアの軍事介入を批判しているがG8からの追放はやりすぎだと及び腰だ。イタリアと我が日本もロシアへの批判はあまり積極的ではない。米英仏加はかなり強く批判しているが。
それでも欧米にロシアと軍事的に敵対する選択肢はない。軍事大国であり核保有国でもあるロシアと戦争する危険は犯せないということだろう。
しかしそうであればロシアが自分の勢力圏であると見なしているウクライナにまで欧米は手を伸ばすべきではなかった。そうではないか。
ナポレオンであれヒトラーであれロシアは自分の国に勢力を伸ばしてくる存在には必ず応えてきた。軍事力の行使も躊躇わない。EUの東方拡大は「平和的」な手法であったかもしれないが、ロシアに取っては同じことだ。欧米はやり過ぎたのではないか。戦争するつもりがないのであれば親露政権を崩壊させるべきではなかった。
まあそれは良い。ウクライナの動乱にどう対応するかだ。しかし安倍内閣は傍観している。一応談話・声明は出しているがそれだけだ。欧米各国の首脳との電話会談さえしていない。北方領土問題を抱えている日本としてはロシアを刺激したくないとの思惑のようだ。
ロシアに恩を売っても北方領土は還ってくるだろうか。そんなに甘い国とは思えないが。それでも成算があるならまだわかる。外務省かNSCによるロシア分析でロシア側に立てば北方領土が返還されると判断されているならまだわかる。あるいは何かしらの国益に繋がるなら。
しかしそのような分析をしたあとは見られない。NSCを開いたのが遅いからだ。首相動静によれば休日はぼんやり休んでいたようだ。それでは安倍ちゃんの(内閣全体であっても)「プーチンの善意」に基づいた「希望的観測」に過ぎないのではないか。大東亜戦争敗戦間近に旧ソ連に講和の仲介を期待する大失態をしたように。
それでも仮に北方領土が4島返還されたとしよう。そうなると欧米世論はウクライナの動乱で「利益を掠め取った汚い日本」と猛批判するのではないか。本当に日米同盟が危うくなりかねない。首相官邸や外務省はどう考えているのだろう。心配のし過ぎなのか。
中国まで一応「ウクライナの主権を尊重する」という声明を出している現状ではロシア包囲網に加わった方が良いのではなかろうか。欧米と協調して米国との関係を一気に改善する(日米関係はそれほど悪いとも思わないのだが安倍ちゃんとオバマはまるで馬が合わないのは事実のようだ)。そしてロシアが孤立耐えかねたところで北方領土返還を条件に制裁を緩和する_このやり方でも抜け駆けする以上欧米世論には反発されるだろうか。
それは無理でも欧米とロシアが「新冷戦」とでも呼べる状況になってくれれば日本にはありがたい。現在のロシアは旧ソ連ほどの超大国ではないが大国には違いない。そのような国と対峙することになれば靖国神社参拝のような「小さなこと」で米国が日本を批判することはなくなる。冷戦中も旧ソ連という強大な敵がいたことで西側・資本主義民主主義国家は結束(一応はだが)していたのだから。
それさえも「希望的観測」だろうか。ロシアと対峙するため米国は中国の支持を益々必要とし、日本より中国を取る可能性があるだろうか。民主主義の「建前」からそれはあり得ないと思うのだが・・・。
とにかく安倍ちゃんにはNSCを開くなりして、関係大臣のみとの会議でも良いが、日本の方針を決めて行動して貰いたい。その際関係各国の首脳との電話会談を行うのは当然のことだ。今のところ岸田外相が仏外相としか電話会談をしていないのは問題だ。
他にも外相が駐日ロシア大使を呼んで「懸念とロシア軍の撤収要請」(軍事介入を非難しても良い)を伝え、ウクライナ在住の邦人に退避勧告を出すべきだ。邦人の退避勧告は日本政府がどのような方針を取るにしろ出すべきだ。日本人の声明と財産を守るのは日本政府の義務である。
世界各国を訪問するより今回の対応の方が重要だぞ、安倍ちゃん。「外交」を得意と自負するなら成果を見せて欲しい。
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