自民党の路線対立はどうなるか

自民党の路線対立が激しくなっている。積極財政路線か財政再建（緊縮財政）路線かの対立だ。安倍晋三はアベノミクスの継続を望む積極財政派。岸田文雄はアベノミクスからの転換を望む緊縮財政派だ。

政調会長直轄の積極財政派の牙城「財政政策検討本部（本部長西田昌司、最高顧問安倍晋三）」と総裁直轄の緊縮財政派の総本山「財政健全化推進本部（本部長額賀福志郎、最高顧問麻生太郎）」の対立が激化した。

参院選前ということで、路線対立を避けようという動きもあったようだが、「財政政策検討本部」の提言が麻生太郎の横槍で表現を弱める譲歩をしたのに、「財政健全化推進本部」の提言の表現を譲歩しないで基礎的財政収支の黒字化目標推進をするという表現にしようとしたため、積極財政派が「話が違う」と激怒しているようだ。

そのため「財政健全化推進本部」の提言の表現が決まらず、両団体の本部長、最高顧問による４者会談をしてもまだ決まらないそうだ。

私はもちろん積極財政派なので「財政政策検討本部」の肩を持つ。しかし最高顧問が安倍晋三であることは頼りによる反面怒りも覚えるのだ。安倍晋三の第二次政権では安倍晋三は積極財政を推進しなかったからである。

金融緩和こそしたものの消費税を2回増税し、歳出も搾った。それにより経済はほとんど成長しなかったのだから。安倍晋三が自身の内閣で積極財政を推進していれば不況からもデフレからも抜け出していた。しかし安倍晋三は財務省とマスコミに阿り政権維持を優先したのだ。それが今になってアベノミクスを批判されたくないばかりに積極財政派の最高顧問とは嗤うしかない。

骨太の方針に基礎的財政収支の黒字化目標が明記されてしまったらおしまいだ。緊縮財政が続き経済は停滞が続く。参院選は岸田文雄の内閣支持率と自民党の政党支持率は高いから自民党が勝つだろう。そして3年間国政選挙はないのだ。

自民党本部と首相官邸、自民党国会議員に骨太の方針に基礎的財政収支の黒字化目標を明記しないよう働き掛けて欲しいのだ。やらないよりマシ程度でしかないだろうが、それこそ黙って待つわけには行かないからだ。

骨太の方針に基礎的財政収支の黒字化目標が明記され、参院選で自民党が勝ち、経済の停滞が3年間は続くことになりそうだが、もし基礎的財政収支の黒字化目標が破棄されたら参院選は自民党に入れるべきなのだろうか？まああまりありそうにないし、参院選投票日まで日はあるので保留で良いだろう。


（参考サイト）

三橋貴明『決定的になった自民党の財政政策の路線対立』

三橋貴明『日本政府の国民に対する経済制裁』

三橋貴明『防衛費増額とプライマリーバランス』