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症例1 58歳 女性 慢性関節リウマチ
(主治医)
2年前(平成8年4月)から、両手関節痛と腫張が出現。
同年11月初診。この2年間、両手関節痛、両膝関節痛と水腫、
頚腕痛を認め、CRPは1.14mg/dl~4.44mg/dl、RA(-)~(+)です。
冷え症で便秘があります。
薬物治療は、プレドニン5mg、防已黄耆湯、大黄牡丹皮湯です。
(下田先生)
今、一番つらいのは何ですか?
(患者)
両手関節の痛みです。
(下田先生)
舌には緑がかっている苔があります。
緑色苔があれば本質的には柴胡を使います。ただ、問題なのは、
ステロイドを使い続けていると漢方治療はうまくいかない。
脈証は肝と脾が争っている脈です。
リウマチの患者さんは肝実脾虚になることが多いですが、
この人は脾がかなり闘っている。
だから、肝と脾の脈が対等にでてきている。
次にどうやって肝と脾が争っているか考えていきます。
腹診をします。
胸脇苦満のとりかたはいろいろありますが、一番、患者の
自覚で解るのはこの方法です(季肋部に左手掌を当て右拳で叩く)。
うんと強く叩いて感じるのは微苦満、軽く叩いたり、
掌でデファンスとして感じるのは強い胸脇苦満です。
心下部と臍の中間に抵抗があります。
普通は、この部位は手がスポーンと入り込むのに、
これは多分ステロイドを使っていたために、
脾があがってしまっているからと思います。
左の天枢が感じています(抵抗があります)。
これは、肝と脾が争っているときにおきます。
肺は係わっていないので、右の天枢はほとんど反応しません。
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また、小腹急結はありませんが、右の臍傍に圧痛があります。
舌の裏の静脈怒脹もそんなに強くありません。
この患者さんは当然オ血があり、大黄牡丹皮湯は間違っていません。
桃核承気湯証はありません。
防已黄耆湯を使っていますが、
防已黄耆湯の人は舌に圧痕ができるぐらい水が溢れていますが、
この人はありません。もう一つ、
防已黄耆湯の人は色が白くしっとりしています。
手の甲で腹に触れるとよく解ります。
手足は冷えますか?
(患者さん)
手足は火照ります。
(下田先生)
今、どうゆう症状がありますか?
(患者さん)
両手関節が重苦しい、肩首が張ります。
(下田先生)
左右どちらが強いですか?
(患者さん)
右です。
(下田先生)
人間、右が強いのは気の異常です。
この人は肝と脾が争っている。プラス、オ血がある。
主たる病証がどこにあるかを診るのは原穴で診ます。
ほとんどの方の場合、足の原穴でみるのが診やすい。
(太衛を圧して)響いてきますね。
(太白を圧して)これは大丈夫ですね。
さらに、蹻脈の反応なく、維脈の方が痛がっている。
RAの典型的パターンは肝と脾が争っているのだけど、蹻脈を通る。
この人はステロイドのせいと思うが維脈を通っている。
RAはほっとくと、きょう脈に入り症状はstraightに出る、
維脈に入るとmildだが頑固になる。
もし、鍼をしてその場で症状が取れればステロイドは切れる。
治療点は基本的には絡穴と奇脈の反応点にとる。
真冬と真夏の時期は維脈と帯脈は三経にかかわる。
この人は本来は、肝と脾が争っているけど、
今の時期の冬は全体の気を腎が支配しているので、
腎がちょっとからみます。
基本的なツボの取り方は、主としてとる蹻脈の絡穴をとり、
繋いでいる維脈の反応穴をとり、流れていく蹻脈の補法か瀉法をする。
この皮内針を奇脈の方につけます。ようするに、奇脈っていうのは、
そこに気がよどんでいるからそれを押し出してやる。
ここは、腎に関係するツボです。
(次に厥陰肝経の蠡溝に皮内針を刺しながら)
今は、真冬だから補の方向に(流れの方向に)とるが、
その他の季節では、先に補してから、その後、瀉す。
春と秋は、一時的に陽脈は瀉し、陰脈は補す。
真夏は陰陽とも瀉す。
(左内関と曲地、右外関と曲地に皮内針刺し終えて)
楽になりましたか?
(患者)
首は楽になった。左手首がまだ痛みます。
(下田先生)
そうすると、この人は治る力を持っている。
鍼が全体的に合っていれば、頭の痛いのが取れて、目の前が明るくなる。
痛がるところには、鍼はしない、決まった方法で取穴して、
あとは対症療法的に耳のツボを取る。
本人の中の気の流れが治癒力を持っていないと鍼は効かない。
(患者の左耳介に耳鍼する)
さて、処方ですが、この人の細絡の出かたは
疎経活血湯ですが、腹証がぜんぜん違う。
葛根加朮附湯を使う状態であるのは間違いない。
膀胱の症状はありますか?
(患者)
あります。薬を使わないと出が悪い。
(下田先生)
柴胡剤はリウマチに使うとき、両刃の剣になる危険性がある。
リウマチとの本格的な戦いを誘発することがある。
こんな時は、竜胆瀉肝湯を使うと良い。
葛根加朮附湯、竜胆瀉肝湯、サフラン、附子でいき、
大黄牡丹皮湯はそのままでいいです。
2週間後に、ハリを抜いた後、
ハリをした対称の位置にレーザーポイントを移してかけてください。
患者さん自身が分かります。自分で探っていけば一番痛い位置です。
第1回 漢方ベッドサイド講義
http://potato.hokkai.net/~acorn/as_shimoda01.html
奇経八脈
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http://kikou.meiharikyu.net/meridian
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http://murata-kanpo.seesaa.net/article/34682196.html
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https://ameblo.jp/kasugakanpou/entry-11861956251.html
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https://blog.goo.ne.jp/mumei_juku/e/33a6ef4b60ee1db4aaa18c9799897fe7?fm=entry_spawp
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https://www.seishin-do.co.jp/chuigakkai_20140913.html