人の世は、滞在期間の定め無き、今日一日の旅の宿

 時 人を待たず、光陰 惜しむべし
 古より有道の人、国城 男女 七宝 百物を 惜しまず
 唯 光陰のみ、之を惜しむ

症例: 慢性関節リウマチ

2019-08-09 | 日記


症例1 58歳 女性 慢性関節リウマチ

(主治医)
2年前(平成8年4月)から、両手関節痛と腫張が出現。
同年11月初診。この2年間、両手関節痛、両膝関節痛と水腫、
頚腕痛を認め、CRPは1.14mg/dl~4.44mg/dl、RA(-)~(+)です。
冷え症で便秘があります。
薬物治療は、プレドニン5mg、防已黄耆湯、大黄牡丹皮湯です。

(下田先生)
今、一番つらいのは何ですか?

(患者)
両手関節の痛みです。

(下田先生)
舌には緑がかっている苔があります。
緑色苔があれば本質的には柴胡を使います。ただ、問題なのは、
ステロイドを使い続けていると漢方治療はうまくいかない。

脈証は肝と脾が争っている脈です。
リウマチの患者さんは肝実脾虚になることが多いですが、
この人は脾がかなり闘っている。
だから、肝と脾の脈が対等にでてきている。

次にどうやって肝と脾が争っているか考えていきます。

腹診をします。
胸脇苦満のとりかたはいろいろありますが、一番、患者の
自覚で解るのはこの方法です(季肋部に左手掌を当て右拳で叩く)。
うんと強く叩いて感じるのは微苦満、軽く叩いたり、
掌でデファンスとして感じるのは強い胸脇苦満です。

心下部と臍の中間に抵抗があります。
普通は、この部位は手がスポーンと入り込むのに、
これは多分ステロイドを使っていたために、
脾があがってしまっているからと思います。
左の天枢が感じています(抵抗があります)。
これは、肝と脾が争っているときにおきます。
肺は係わっていないので、右の天枢はほとんど反応しません。



また、小腹急結はありませんが、右の臍傍に圧痛があります。
舌の裏の静脈怒脹もそんなに強くありません。
この患者さんは当然オ血があり、大黄牡丹皮湯は間違っていません。
桃核承気湯証はありません。

防已黄耆湯を使っていますが、
防已黄耆湯の人は舌に圧痕ができるぐらい水が溢れていますが、
この人はありません。もう一つ、
防已黄耆湯の人は色が白くしっとりしています。
手の甲で腹に触れるとよく解ります。
手足は冷えますか?

(患者さん)
手足は火照ります。

(下田先生)
今、どうゆう症状がありますか?

(患者さん)
両手関節が重苦しい、肩首が張ります。

(下田先生)
左右どちらが強いですか?

(患者さん)
右です。

(下田先生)
人間、右が強いのは気の異常です。
この人は肝と脾が争っている。プラス、オ血がある。
主たる病証がどこにあるかを診るのは原穴で診ます。
ほとんどの方の場合、足の原穴でみるのが診やすい。
(太衛を圧して)響いてきますね。
(太白を圧して)これは大丈夫ですね。
さらに、蹻脈の反応なく、維脈の方が痛がっている。

RAの典型的パターンは肝と脾が争っているのだけど、蹻脈を通る。
この人はステロイドのせいと思うが維脈を通っている。
RAはほっとくと、きょう脈に入り症状はstraightに出る、
維脈に入るとmildだが頑固になる。

もし、鍼をしてその場で症状が取れればステロイドは切れる。

治療点は基本的には絡穴と奇脈の反応点にとる。

真冬と真夏の時期は維脈と帯脈は三経にかかわる。

この人は本来は、肝と脾が争っているけど、
今の時期の冬は全体の気を腎が支配しているので、
腎がちょっとからみます。

基本的なツボの取り方は、主としてとる蹻脈の絡穴をとり、
繋いでいる維脈の反応穴をとり、流れていく蹻脈の補法か瀉法をする。

この皮内針を奇脈の方につけます。ようするに、奇脈っていうのは、
そこに気がよどんでいるからそれを押し出してやる。
ここは、腎に関係するツボです。
(次に厥陰肝経の蠡溝に皮内針を刺しながら)
今は、真冬だから補の方向に(流れの方向に)とるが、
その他の季節では、先に補してから、その後、瀉す。
春と秋は、一時的に陽脈は瀉し、陰脈は補す。
真夏は陰陽とも瀉す。

(左内関と曲地、右外関と曲地に皮内針刺し終えて)
楽になりましたか?

(患者)
首は楽になった。左手首がまだ痛みます。

(下田先生)
そうすると、この人は治る力を持っている。
鍼が全体的に合っていれば、頭の痛いのが取れて、目の前が明るくなる。

痛がるところには、鍼はしない、決まった方法で取穴して、
あとは対症療法的に耳のツボを取る。
本人の中の気の流れが治癒力を持っていないと鍼は効かない。
(患者の左耳介に耳鍼する)

さて、処方ですが、この人の細絡の出かたは
疎経活血湯ですが、腹証がぜんぜん違う。
葛根加朮附湯を使う状態であるのは間違いない。
膀胱の症状はありますか?

(患者)
あります。薬を使わないと出が悪い。

(下田先生)
柴胡剤はリウマチに使うとき、両刃の剣になる危険性がある。
リウマチとの本格的な戦いを誘発することがある。
こんな時は、竜胆瀉肝湯を使うと良い。
葛根加朮附湯、竜胆瀉肝湯、サフラン、附子でいき、
大黄牡丹皮湯はそのままでいいです。
2週間後に、ハリを抜いた後、
ハリをした対称の位置にレーザーポイントを移してかけてください。
患者さん自身が分かります。自分で探っていけば一番痛い位置です。

第1回 漢方ベッドサイド講義
http://potato.hokkai.net/~acorn/as_shimoda01.html

奇経八脈

http://kikou.meiharikyu.net/meridian

茵蔯蒿湯」< 患部の局所的熱感

http://murata-kanpo.seesaa.net/article/34682196.html

当帰拈痛湯」< 膝の腫れ痛み

https://ameblo.jp/kasugakanpou/entry-11861956251.html

「関節注射」< 予後が良くない

https://blog.goo.ne.jp/mumei_juku/e/33a6ef4b60ee1db4aaa18c9799897fe7?fm=entry_spawp


https://www.seishin-do.co.jp/chuigakkai_20140913.html