くはしめは みのおこなひを ととのへて ことのはきよく よきことをせよ
*スランプは改善するどころか、却って深く進んでいます。感性のアンテナをふさがれて、言葉がどうしても浮かんできません。それでも今週はかろうじて一首詠めましたが、あまりよくないのでそれをとりあげるのはやめました。
表題の作は、二年前のものです。「くはしめ」は「美し女」で、もちろん美しい女性のことですね。
美しい女性というものは、きれいな行いをして、言葉遣いも清らかにして、よいことをしなさい。まあ訳さなくてもわかるでしょうが、一応言い換えてみました。
わたしたちが、還暦の女性であるせいか、よくネットで、しわ取りクリームだとか、目のしたのしわを改善するためのシールのようなものだとかの、広告をよく見るようになりました。それを見るたびに、長い溜息が出ます。美しさというものはそういうものではないのですがね。
しわ取りクリームなどを使って、しわの少ない顔を作り、白髪染めで髪を黒くしても、顔にしみついた年月というものは消せない。女性の顔というものには、年をとってくると、今までの生き方が明らかに出てくるからです。
自分というものがわからずに、他人に嫉妬ばかりして、いやらしいことばかりしてきた人は、顔の雰囲気に汚いものが染みついている。それが、しわの少ない若やいだ顔を作ると、却って気色が悪いのです。ずるいことをして、自分をきれいにして、一体何をするつもりなのかと、いやな感じがする。
自分を若い娘のように装って、また男をだまそうとでもしているのかと、勘繰りたくなる。そんないやらしい生き方をしてきた自分が、顔に出ているからです。
本当の美人というものは、生き方が美しくなくてはいけません。若いころから勉強を怠らず、人のため、世間のためによいことをしてきた女性は、年をとってしわが出てきても、美しく見えるものなのですよ。また、年をとってくれば、年相応になってくるのがいいのです。自分はもう繁殖期を終えているのだというサインになるからです。
年をとった女性が、まだ繁殖期にある若い娘のふりをするのは、いやらしい詐欺と言っても過言ではありませんよ。気色が悪い。
年をとっても美しくいたいなら、若いころから勉強を積み、行いをきれいにして、美しく生きなさい。しわ取りクリームなんかで顔だけを若めにきれいにしても、染みついた自分の生き方は、消せません。