JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

青年向けの講座ですが、新たな展開もあります。

2015年07月10日 | Weblog

 科学的社会主義セミナー「マルクスと友達になろう」不破哲三著 日本民主青年同盟中央委員会出版300円

 現代日本と世界の社会現象、時には自然現象すべてが、個々バラバラな特殊な現象なのか、根本的な発展的な歴史の流れの中での表れなのか。
 不破哲三さんは、マルクスが解明した科学的社会主義をより正確に発展的に解明し現代の根本問題を語っています。
 「なぜ、こんなことが、どうすれば」と思われる方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

 不破哲三さんの講演・研究の問題意識は、現代日本社会の平和・民主主義など社会発展の方向と動かす力と現実性を明らかにするという点にあります。
 不破さんは「科学的社会主義のルネッサンス」という言い方をしていますが(経済2015年7月号)常にいくつもの問題意識を持っており、時代の要請と条件の中で、それを発展させ明確にしてきました。
 問題意識をもって取り組んでから、かなりの年月の研究期間があり、最初に人前で発表しその経過をさらに補強し、雑誌などで発表し補強し単行本化するという3段階でより正確さを増しているようです。
 しかし、それに留まらず、新たな機会や問題意識の中で、同じことの繰り返しはではなく、常に新たな発展的な視点がみられます。
 不破さんはこの講演の中で、科学的社会主義の基本である、世界観・経済学・未来社会論・革命論そして綱領という4つの柱について展開しています。
 これは解説ではなく、日本社会の変革と世界の中での意味という主体的な立場での講演です。
 ただ、社会主義・共産主義社会への過度期論は、時間の都合かわずかしか触れていません。
 経済学で不破さんは、利潤第一主義の資本主義経済の推進力とその影響を解説しただけではなく、これまでの、奴隷制から封建制、封建制から資本主義への変革の条件と主体となる階級について、資本主義のもつ独自の4つの特質という部分が新たな解明として深まりました。
 第一、搾取の本質をかくす。第二、資本主義の搾取欲には、際限がない。第三、「生産のための生産」、競争で生産力を発展させることが、新たな社会の物質的基礎を準備する。第四、この中から次の社会の担い手が生まれる。
特に第四は、奴隷制時代から封建制は奴隷が主役とならず、封建制から資本主義も農民が主役へとならなかった。しかし、未来社会は資本との階級闘争の労働者が主役となるという。現代を生きる変革の運動の意味を明確にしたことです。
 これまで、様々科学的社会主義を学んできた方も、現代日本の根本問題を知り、変革したい思う方など若者に限定せず読んでいただきたいブックレットです。
  
追加
 知の巨人といわれた加藤周一氏は、空襲の最中での医療活動と晩年の9条の会での活動の時期以外は、主体的に関わらないことがことの本質を知ることができるという立場でした。
 しかし、加藤周一氏の著作は、わたしにとっては、一貫して主体的に変革する立場への意味を持っていると感じています。
 不破さんのこの本の中で、「マルクスの理論は世界の常識になりつつある」と言っています。加藤周一氏は、勉強会の席上で参加者にマルクスについてどう思うと自ら質問し、自ら同じ回答をしています。