
「ご自分がなさりたいことができれば、それでよろしいのですか。・・・・・・しかし一人ではできません。お互いに力を貸し合って、それぞれのなしたいことをやりとげることが人の世というものではございませんか」葉室麟の「秋月記」の一節です。農民への暖かい視点など藤沢周平の視点に似ていると感じていましたが。解説の縄田一男氏が「藤沢修平のそれを超える可能性」と書いています。
ただ、藤沢周平の短編で、仇討ちに疲れた武士がたくましい農家の女性と結ばれ、武士を捨てる覚悟を、すがすがしい気持ちと表現した境地にまで立っているのかは、まだ、わかりませんが。