今から2年前に、乳がんを宣言して、逝去した作者の佐野洋子(3人目の妻)の元夫が、詩人の谷川俊太郎だったとは、知らなかった。七生報国(七度生まれ変わって、報国する)ではないが、主人公の猫は、100万回も、輪廻転生し、生まれ変わったのである。そして、死ぬたびに、主人は、悲しがったが、何故か、猫は、ちっとも、悲しくはなかったと、、、、。何故なら、猫は、それぞれの主人達が、王様であれ、泥棒であれ、小さな女の子であれ、みんな、嫌いだったから、、、、、自分だけがすきだったから、、、、、。しかし、やがて、野良猫に、生まれ変わり、自分のことを全く気にも止めない白い猫と出会い、恋をし、結婚をして、たくさんの子供達を作り、そして、育児し、自立させて、愛する白い猫が、歳をとり、老いてゆき、やがて、死んでしまった時に、100万回泣き続けた末に、とうとう、本当の意味で、主人公のトラねこも、死んでしまい、決して、再び、生き返ることはなかったのである。自己愛から、利他愛への理解、或いは、死ぬということの本当の意味、「他人を愛すること」の真の意味、「死ぬことの真の喜び」、如何様にも、それぞれ、読者の年齢や、経験・世代によって、解釈は、様々、異なるであろうが、子供だけではなくて、大人にとっても、既に、輪廻転生の粗筋は、事前に、表題から、分かっていても、改めて、「死ぬということの本当の意味」を、考えさせられるものが、この絵本には、あるような気がする。むろん、それは、逆説的に、「生きることの意義」にも、繋がることは、言を俟たないが、、、、、。介護で、疲れたときや、育児に悩むときには、是非、そういう人達にも、読んでもらいたいとお勧めしたくなる一冊の絵本である。各ページのイラストの絵も、武蔵野美術大卒らしく、味がある。我が老犬にも、読み聞かせたいと思った。ところで、何故、題名は、100万回生きたねこであって、100万回死んだねこではないのだろうか?。死ぬ喜びを初めて知った猫には、きっと、それが、「生きたということの証し」だったのかもしれない。何とも、難しい問題を含んでいるような気がする。大人にも、むろん、子供にも、考えてもらいたいものである。又、読み返してみたくなる絵本である。
http://booklog.jp/users/nkmrimc
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