小諸 布引便り

信州の大自然に囲まれて、風を感じ、枝を眺めて、徒然に、社会戯評する日帰り温泉の湯治客です。愛犬の介護が終了しました。

長田 弘作「森の絵本」対訳本を愉しむ

2012年02月12日 | 書評・絵本
A Forest Picture-Book 対訳本、(荒井良二絵、ピーター・ミルワード訳、上智大学名誉教授)簡単な英語で、大人でも、続けて2回、3回と読んでしまいたくなる不思議な本である。日本流に謂えば、眼には見えない「森の精霊」(Angels)が、森を歩く読者に、やさしく、問いかける。誰もいない森の中、どこかで、呼ぶ声がする。一緒に森に行こう、大事なものを探しに行こう、大切なものを探しに行こう、大事なものは何ですか? 大切なものは、何ですか? 水のかがやき、たくさんの花々の色、明るい笑い声を忘れてはいけない、クッキーの素敵な臭いを忘れてはいけない、絶対になくしていけないきみの想い出 絶対になくしていけない君の夢 手のぬくもり、その人の目の中にいる君、一番大切なものが、森にはある。静かな森の中 森の大きな木の後ろには、天使がいます。風の音ではありません 天使の羽音です 森が息をしているのは 「豊かな沈黙」です。 生きているのは「豊かな時間」です。朝が来て、昼が来て、夜が来て、春夏秋冬、100年が過ぎ、今日も静かな森の中 大事なものは、何ですか? 大切なものは、何ですか?と最後に、再び、又、問いかけられる。人間の五感、聞くもの、見るもの、臭うもの、触るものそして、「眼には見えない」心の想い出、夢、愛する人とのぬくもり、絆、そして、森の静けさ・沈黙へ、そして、時間の概念を経て、更に、豊かな永遠の時間の流れの中で、「人生」を、時の流れを、彷彿とさせるような展開で、最後に、再び、大事なものは何ですか? 大切なものは、何ですか?と問いかけられる。確かに、詩人、長田 弘が、この絵本の中には、現として、存在していることが、実感される。大人の絵本であると言われても、違和感はない。

抜粋・要約:英訳English Translation : By Peter Milward
I hear a voice calling in the forest
But besides the voice I can see no shape
Let’s go and look together
Let’s go and look for what you prize
Let’s go and look for what you treasure
What you prize is what ?
What you treasure is what ?
Look at the shining of that water
The colors of so many flowers
Those bright laughing voices you mustn’t ever forget !
That wonderful smell of cookies you mustn’t ever forget !
Your memories you mustn’t ever lose !
Your dreams you mustn’t ever lose !
Warmth of hand of the one I love
Look, you are there in the eyes of the one you love
What you most prize is in the Forest.
In the silent forest
Behind the large trees of the forest there are angels.
It isn’t the sound of a breeze, sound of angels’ wings
What gives breath to the forest is the rich silence
Rich flow of time
Time passes and a hundred years pass
Today, too, in the silent forest
What you prize is what ?
What you treasure is what ?