「居酒屋、兆治」を観る:
高倉健の追悼映画と云うことであるが、随分と、懐かしい俳優陣が出ているものである。大原麗子、大滝秀治、佐藤慶、伊丹十三、田中邦衛、小林稔侍、武田鉄矢、平田満、加藤登紀子、左とん平、小松政夫、ちあきなおみ、とりわけ、ちあきなおみは、そのコミカルな演技が、逆に、その最愛の夫を喪って以後、芸能界から、プライバシーを完全に消し去ってしまったところは、まるで、高倉健が、同じように、その私生活を決して表に出さず、秘していたのにも通じるものがある。それ以上に、コミカルな役柄に、歌手との落差と、その役者としての将来性、可能性も、今にして思えば、垣間見えて、おおいに残念なことである。薄幸のヒロインを演じた大原麗子は、考えてみれば、この映画で演じた高倉健の元恋人役は、その後の彼女の私生活を考えると、なかなか、複雑な思いがする演技である。まるで、吹き飛ばされそうな、折れてしまいそうな、か細い役柄で、別の映画で共演した若い頃のいしだあゆみのようである、それにしても、兆治役の高倉は、心に傷ある、寡黙な、不器用な男役が、当たり役である。再会を果たすも、2人写った旧い写真を握りしめて死んでいる元恋人を見つける。残された3人の男達は、心の寂寞感は、如何ばかりなものであろう、この映画の中では、随分と兆治の友人や関係者は、病気等で、この世を去る。結局残された兆治の妻は、どんな思いで、あったのであろうか?人が人を思う心というものは、こういうものなのであろうか?「幸せの黄色いハンカチ」といい、この映画も、高倉の任侠路線以後の、或いは、俳優としての深みを増してゆく過程での一作品であろうか?遺作となってしまった「あなたへ」の降旗監督との自作も、期待していたのに、実に、残念なことである。まだ、この作品の頃の目つきは、まだ、任侠路線の怒りを何処かに含んだものであるが、マイルドになる初期段階のものであろう。
高倉健の追悼映画と云うことであるが、随分と、懐かしい俳優陣が出ているものである。大原麗子、大滝秀治、佐藤慶、伊丹十三、田中邦衛、小林稔侍、武田鉄矢、平田満、加藤登紀子、左とん平、小松政夫、ちあきなおみ、とりわけ、ちあきなおみは、そのコミカルな演技が、逆に、その最愛の夫を喪って以後、芸能界から、プライバシーを完全に消し去ってしまったところは、まるで、高倉健が、同じように、その私生活を決して表に出さず、秘していたのにも通じるものがある。それ以上に、コミカルな役柄に、歌手との落差と、その役者としての将来性、可能性も、今にして思えば、垣間見えて、おおいに残念なことである。薄幸のヒロインを演じた大原麗子は、考えてみれば、この映画で演じた高倉健の元恋人役は、その後の彼女の私生活を考えると、なかなか、複雑な思いがする演技である。まるで、吹き飛ばされそうな、折れてしまいそうな、か細い役柄で、別の映画で共演した若い頃のいしだあゆみのようである、それにしても、兆治役の高倉は、心に傷ある、寡黙な、不器用な男役が、当たり役である。再会を果たすも、2人写った旧い写真を握りしめて死んでいる元恋人を見つける。残された3人の男達は、心の寂寞感は、如何ばかりなものであろう、この映画の中では、随分と兆治の友人や関係者は、病気等で、この世を去る。結局残された兆治の妻は、どんな思いで、あったのであろうか?人が人を思う心というものは、こういうものなのであろうか?「幸せの黄色いハンカチ」といい、この映画も、高倉の任侠路線以後の、或いは、俳優としての深みを増してゆく過程での一作品であろうか?遺作となってしまった「あなたへ」の降旗監督との自作も、期待していたのに、実に、残念なことである。まだ、この作品の頃の目つきは、まだ、任侠路線の怒りを何処かに含んだものであるが、マイルドになる初期段階のものであろう。