長時間労働による過労死やセクハラ問題等が絶えないことからわかるように、ブラック企業の問題は一向に減りません。
その一方、劣悪な労働環境が社会問題として認知されたため、ブラック企業への世間の風当たりも強くなっています。
そんな時世を反映してか、高額な慰謝料や賠償金、和解金が支払われるケースも出てきているのです。
そこで今回は、劣悪な労働環境がもたらした事件のなかでも、支払われた額がとくに高かった事例をご紹介します。
■元社員に高額な慰謝料や賠償金を支払った4つの事例
(1)ワタミ・・・1億3,000万円
居酒屋「和民」で知られるワタミ株式会社は、「和民」で入社2か月の女性正社員が過労自殺した事件について、1億3,000万円もの和解金を支払っています。
過重な労働を女性にさせ、働災害としても認定されたのにもかかわらず、 ワタミ側は非を認めなかったため女性の両親が損害賠償訴訟を起こしました。その結果、1年後にワタミは謝罪、全面的に事実を認めて和解が成立したのです。
ワタミはこの事件以外にも、賃金未払い問題や「理念集」の購入を強制していたなどのトラブルがあり、批判の的になっていました。
こうしたことを受け、ワタミは2016年5月16日にアルバイトを含む全従業員1万3千人を対象とした初めての労組労働組合「ワタミメンバーズアライアンス」を結成しました。
この事件は話題となり、ニュースでも大きく取り上げられました。「ブラック企業」という言葉が多くの人に使われるようになったのも、ワタミの影響が大きいでしょう。
現在でもワタミのイメージは回復しておらず、企業の信頼回復の難しさを証明している事件ともいえます。
(2)西日本旅客鉄道・・・約1億円
社員が過労自殺したとして、遺族が西日本旅客鉄道(JR西日本)を相手に裁判をおこし、裁判所はJR西日本に対して約1億円の支払いを命じました。
自殺した男性は遺族や上司から「真面目で礼儀正しくやさしい人」「仕事に一生懸命。人の悪口は一切いわない」と評価されており、会社から将来を期待されていたそうです。
高く評価されていた一方で、職場では朝9時から休憩を挟んで翌朝まで働いていたり、休日出勤も日常になっていたりするなど長時間労働を強いられていたとのこと。
会社が把握している男性の時間外労働時間は、毎月ほぼ30~40時間程度。亡くなる前月は、実際には162時間16分だったのにも関わらず、会社の記録では35時間15分となっていました。
(3)世界遺産・仁和寺内の食堂・・・4,250万円
京都にある世界遺産・仁和寺内にある食堂で働いていた元料理長の男性が、長時間労働で抑うつ神経症を発症したとして裁判を起こし
過労死で賠償金1億円以上!元社員に高額な慰謝料を支払った事例