高齢化社会では、若者に対して老人の数が圧倒的に多くなる。民主政は多数決だから、政治家が高齢者の顔色ばかり窺うようになるのも間違いとはいえない。
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だが需要と供給の法則では、数少ない若者は、いくらでもいる高齢者より希少性が高いはずだ。実際、大手企業は若手社員を引き止めるために涙ぐましい努力をしている。これまでのように雑巾がけをさせようとすると、彼らはさっさと転職してしまうのだ。
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もっとも、ここにはひとつ条件がある。希少性を持つのは「知能の高い」若者だけなのだ。
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企業の本音は、優秀な若手社員を厚遇して人件費だけ高く不要な中高年をリストラすることだ。しかしその一方で、希少性を持たない若者は「非正規」という身分で差別され、高校中退などで学校教育からドロップアウトした若者(先進国に共通するが、その多くは男性だ)は貧困層に落ちていく。
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日本では幸いなことに、こうした社会の分断がテロや暴動として噴出することはない。だが欧米社会と同じように、知能の格差による「見えない内戦」は確実に始まっているのだ。
知識社会の「格差」が生む 言ってはいけない「日本の内戦」