昨日も今にも降り出しそうな空を見ながら午後3時ごろバンのいる池へと急いだ。
小学3,4年生くらいの男の子が2人、虫取り網を振り回しながら、池の周りを走りまわっている。突然1人が「青いトンボがいる!」と叫んだ。すぐ傍で順調に育っているバンの幼鳥を撮っていた私は「ああ、それはオオシオカラトンボというのよ」と声をかけた。最近の子供の殆どは声をかけても無視する。おそらく知らない人と話さないように言われているのだろう。ところが大きな声を出したこの子は「これはオオシオカラトンボというんだって」もう一人の子に知らせた。「その上を飛んでいる黒いトンボがコシアキトンボ、そこの公民館の前の草原にはウスバキトンボがたくさん飛んでいたよ」と教えた。
男の子は「ウスバキトンボ?」と口の中で反芻している。
私はそのまま池を回りながらバンのヒナを撮り続けていた。「すみませ~~ん」後ろから声を掛けられて振り返ると、さっきの男の子たちだった。半分ほど水を入れた虫かごに、さっきのオオシオカラトンボが入っている。
「このトンボなにを食べますか?」「トンボは大体小さな虫を食べますよ」
「小さな虫って?」「たとえばコバエとかカとか」「そんなのいるかなあ」
「捕まえるの難しいかも知れないね。ごめんなさいね、どんなふうにして食べるのかは知らないの。もし、またあなたたちに会えたら、その時にはちゃんと答えられるように調べておくね」と言って別れた。
家に帰ると早速、どんなふうに食べるのか調べてみた。トンボは飛びながら虫を捕まえて食べるのだと分かった。あの時にちゃんと答えられていたら、あの子たちは虫かごからトンボを放したのではないだろうか。
あの時のオオシオカラトンボ
コシアキトンボ
ウスバキトンボ