今でこそいろいろな音楽を聴くようになりましたが、若いころはブラックミュージックしか聴く気になれなかったし、マイケルジャクソンに夢中でした。
ですので、マイケルが憧れダンスを懸命にコピーしていたジェームスブラウンのこの映画はどうしても観たかったんです。
映画を観た最初の感想は、JBってこんなにすごい歌手だったんだ、でした。
昨日は、夫が飲み会だったので夕飯を作らなくてもいいし、実家へ行った帰りにテアトル梅田で鑑賞しました。
映画上映時間は17時一回のみ、もったいない、こんなに熱い映画が1日一回しか上映されないなんて、確かにお客さんは16人くらいでしたけれどね。
ミニシアターの映画を見に来る人は一人が多いですが、この映画に関しては夫婦連れが7組とほとんどが夫婦連れ、一人で観に来ていたのは私とかなりご高齢のご婦人のみでした。
多分、JBのファンだった男性が懐かしく思って奥さんを誘って見に来たんではないか、と推測しました。
映画の始まりが、JB(チャドウィック・ボーズマン)らしき老人がライフルを片手に暴れる、というシーンだったのでエッ?と思ったのですが伝記映画としてなかなかうまくまとめてありました。
極貧の家に生まれ、母親はめちゃくちゃな夫に愛想をつかし子供だったJBを残し出て行ってしまう。
暫くは暴力を振るわれながらも父親と暮らすが、その父親も戦争に行き、JBは一人親戚に預けられる。
学校にも行かず客引きのような仕事をして暮らすけれど、魔が差したのかスーツを盗んでしまい捕まって牢屋暮らし。
たった1度スーツを盗んだだけなのに、引き取ってくれる人がいないと言う理由で刑期が4年から13年だと言う、ただ信仰と音楽への愛を頼りに生きるJB。
しかし、そこで生涯の友と言えるボビー・バード(ネルサン・エリス)と出会い、牢獄から救ってもらい音楽への道を進むという素晴らしい未来を手に入れることが出来たのは、ラッキーであり神様に導かれたと言う事なのでしょうか。
とにかく天才中の天才、才能がほとばしるように体からあふれ出てくるJBがすごかったです。
今でも大きな問題となっていますが、その頃のアメリカはより人種差別もひどくて、そういった場面も多く出てきます。
子どもの頃の話で、片手を縛られもう一方の手にグローブをはめられて試合をさせられるのは黒人の子供たち、その試合を見ながら歓談しているのは白人たち。
虐待ですよね、明らかに、JBの子供時代を演じているこの子の澄んだ目が痛々しくて、たまらない気持ちになりました。
人気のある歌手になってからのJBは、カリスマ性があり過ぎて黒人に多大な影響力を持つようになり、政府がすり寄ってくると、白人側に行ってしまったなどの中傷を受けたりもします。
そんな風にとてつもなく大きな才能を片手に栄光への階段を駆け上がるJBですが、やはりそこには、グループ内での独裁、妻への暴力、孤独からの傍若無人な態度、金銭トラブル等々の負の部分も垣間見えてきます。
自分を捨てた母親がお金をせびりに来る、友人たちが皆離れて行ってしまう、などの人間関係も細やかに描かれています。
と、まぁ、そういったストーリーも興味深いことは興味深いのですが、何と言ってもこの映画の1番の魅力は、ライブ映像、にあると思います。
JBを演じるチャドウィック・ボーズマンは、まるでJBが乗り移ったかのような爆発的魅力でいっぱい、チャーミングでセクシー。
体中からあふれ出るソウルフルなカリスマ性に映画じゃなかったらステージに駆け寄っていきたくなるくらいでした。
歌もダンスも極上!
この俳優さんのことを知らないまま見たので、こんなに歌と踊りがうまいなんてこの人も天才だ!と思ったのですが歌は実際のJBの声を使っているらしいです。
でも、すごいすごいライブ、体中ぶわーっと鳥肌が立つくらいの素晴らしさ。
音楽が好きなら、もう絶対に見に行くべき映画です。
機会があったらもう一回見たい、そう思っています。
その友情に涙するラストシーンも最高!