今日は、『最後まで行く』のあらすじと感想を書きたいと思います。
殺人課の刑事ゴンスは(イ.ソンギュン)は、母親の葬式を抜け出して自分が勤める警察署に向かっていた。
なぜなら急遽監査が入ることになり、自分の横領の証拠を隠す必要に迫られていたから
焦るあまり夜道を乱暴に運転するゴンスは、何と言う事だろう、通行人を轢いてしまったのである
車を飛び出し確かめるが、もうその人は息絶えていた、思わず自分の車のトランクに死体を押し込め、パニックになりながら横領隠滅はあきらめて母親の葬式会場へと向かうのであった。
その途中に飲酒運転の検問があったりと最初からハラハラドキドキ。
何故だか主人公が轢いてしまった死体が見つからないようにと、祈る私たち(観客)がいるのであった。
棺桶を前にしても、今しがた轢いてしまった男の死体のことばかりが頭に浮かぶゴンス。
その時、はっとひらめいた、そうだ死体を母親の棺桶に入れてしまおう。
またそこから、死体を棺桶に入れるのに四苦八苦、ここでもまた見つからないようにとハラハラ。
母親の棺桶に死体を入れることに成功したゴンスは、土葬する棺桶を前に「ミヤネ、オンマ。」と号泣する、見守る人たちから「本当に親孝行な息子さんだ。」とのつぶやきが起こる。
また、土葬の場所に向かう車の中で死体の携帯の着信音(ショスタコーヴィチのWalz2 from Jazz Suiteだそうです)が流れぎょっとした運転手(運転手は死体が入っていることを知らないので)が思わず「神よ常にあなたと共にいます。」みたいなことを祈ったりと
緊迫したストーリーの中に、キム.ソンフン監督はあちらこちらに笑いをちりばめてくれているのでかなり緊迫しつつもリラックス出来る映画となっているところが素晴らしい。
何とか死体を処理したゴンスだが、今度はその轢き逃げ事件の担当となってしまう。
一難去ってまた一難、とにかくこの映画はその連続で話が進む。
轢き逃げ事件を担当しつつ、轢き逃げを隠そうと画策する中、見知らぬ男から「お前が轢き殺したことを知っている。」と電話がかかってくる。
何度も何度もかかる電話に脅えが募るゴンス。
その男は、実は同じ警察署内にいるパク.チャンミン刑事(チョ.ジヌン)であることが分かる。
トイレで対峙し力で打ち負かそうと殴り合うもチャンミンはものすごく強い、チャンミン役のチョ.ジヌンがド迫力、立ってニヤリと微笑むだけで恐ろしい男であることが分かる、この人本当に実際相当悪いことをしているんじゃないのと思うくらい悪のオーラが出ていた。
じわじわとゴンスを追い詰めるチャンミン、チャンミンがゴンスに望むものは一体何だろう?お金?、それはただ一つ、「あの男の死体を渡せ。」
背景に何かがある、死体の入った棺桶を懸命に掘り起すゴンス、掘り起こした死体を見てゴンスは驚いた、死体には銃創があったのだ、そう、男は轢いてしまう前にすでに殺されていたのだった。
実は、チャンミンは麻薬捜査官だった時代に押収した麻薬をかすめ取り、それをお酒に混ぜて自分が経営するバーでお客に飲ませていたのだった。
お客は中毒になりバーは大繁盛、その他、チャンミンはやくざともつながりを持って違法な商売で大金を稼いでいた。
そのことに何らかのかかわりを持っていた死体の男は、チャンミンが財産を隠している個人銀行のカギを持っていたのだ。
恐ろしい男チャンミンとかかわりを持ったからには、これからの自分の行く末がどうなるか分からない、ゴンスは死体を引き渡す時にチャンミンを闇に葬るために死体に爆弾を仕掛ける。
その死体を引き渡す場面のまたなんとハラハラドキドキすること!
そこで上手くチャンミンを殺すことが出来たと思い自分のマンションに帰り着いたゴンスだったが、そうは問屋が卸さない、チャンミンは死に損ねてゴンスを追ってマンションにやってきたのであった。
そこで繰り広げられる二人の死闘、さすが韓国映画、お見事でした。
偶然のピストルの暴発でやっとチャンミンは息絶える、安堵するゴンス。
ここまで来たらもう事態の収集など不可能、今までの何もかもを警察に自供し刑事を辞職するゴンスであった。
警察内でのあまりにも酷い汚職や殺人教唆、轢き逃げ隠ぺい、などの悪行に警察はすべてを隠し通すという結論を出す。
やっと無事に平穏な日常生活に戻ることが出来たゴンスの前に、例のカギが!
黒い鞄を手にいかにも怪しい個人銀行を訪れて、チャンミンの隠し財産を出しに行くゴンス、軽い気持ちのゴンスがカギを開けたその扉の向こうに有ったものは、、、。
ラストシーンも最高。
永遠に続くどんでん返し、他のお客さんの迷惑も顧みず、見ている最中何度も「えぇっ!」と声をあげてしまいました。
主人公のゴンスを演じたイ.ソンギュンは、今までは誠実で良い男ばかりを演じてきたそうです、監督はこの映画のようなずるい部分を持った主人公に寄り添って見てもらうために良いイメージの男優を使ったという事でした。
母親の棺桶に死体を入れるという発想は、もし自分が殺人を犯したとして最後まで隠し通してくれるのは母親しかいない、と言う事から思い付いたそうです。
イ.ソンギュンさんのおろおろした情けないような、でも強靭な部分も持った、演技も良かったし、チョ.ジヌンさんの気味が悪いくらいの残忍な悪のオーラの演技も最高、どうしてこんなに韓国の俳優さんは上手いのか!
色んな部分を揺さぶられて心地よいヨレヨレ感で、疲れ切りましたが、色んな人に映画館で見ていただきたい作品でした。(もう上映は終わっていますが、いつか機会があれば)
韓国映画はやっぱりすごい!