去年の芥川受賞作である、宇佐美りんさんの〈推し燃ゆ〉を読みました。
『推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った』「BOOK」データベースより
主人公のあかりは、高校二年生
はっきりと小説に書いてあるわけではありませんが、
発達障害を抱えている彼女は、家でも学校でも生きにくそう
片付けもうまくできない、勉強も頑張っても覚えられなかったり
そんな彼女が唯一夢中になれる存在が、推してるアイドル真幸
推しは彼女の背骨
推しを思う時だけ現実を忘れて生きる実感が感じられる。
推しについてブログを書き、推しの音楽を聴き、推しのコンサートに行き、推しのグッズを片っ端から集める。
人気投票のチケットを得るために何枚もCDを買う。
22歳の作者の文章は今を生きる若者らしくSNSを思わせるような短文
繊細で鋭利な刃物のような短文で物語は構築されています。
永遠に推しについていきたいけれど、やはり終わりは来てしまう
引退してしまう推し
彼は生身の人間になってしまった。
学校もやめバイトも首になり家から出て一人暮らしをするあかり
生身の人間になってしまった推しの現実を受け入れると同時に自分の這いつくばりながら生きる姿勢をも受け入れていく。
正直、読んでいて明るい気持ちにはなりません。
自分が若かった頃を思い出して、もしその頃に読んでいたら共感し慰められていたのかもしれませんが
今、もうそう生きずらさを感じていない自分には少し重く感じられる話でした。
母親も主人公に優しくなくて
もっと優しく受け入れてあげて欲しい、と思う反面
今の母親の状況が書かれている部分を読むと、母親の気持ちも分かってしまう、、、
夫は外国に単身赴任、祖母と確執があり、自分の母親は入院し、仕事もし、体調も悪そうだ
母親もいっぱいいっぱいであることが窺われる。
母親と言う立場も十分に体験してきたので、
発達障害を抱える子供にやさしくできない部分に
過去に子供にやさしくできなかった時の自分を重ね合わせて少し救われました。
人間を育てるって本当に大変なことです。
特に思春期の子供の扱いずらさ、そしてその頃に起こる様々なこと
仕事の重責を抱える夫、自分の両親の体調不良、そして自分の感情と体調の変化、他もろもろ
わー!もう思い出したくもないです。
以上がこの小説を読んでの感想です。
読みたくなるような感想じゃなくて申し訳ない感じですけど(^-^;
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