映画化もされましたね。その元になったマンガです。土田世紀は人情物を描かせたら天下一品です。特に、一見救いがないような結果に終わる悲劇物(と言うのは重く言いすぎだけど)が僕は好きです。今連載中の半分ノンフィクションマンガ『夜回り先生』も、とても上手く見せています。『同じ月を見ている』にももちろん人情的な話はたくさん出てきますが、ドンちゃんのキャラクターがあまりにも突き抜けていてすごいです。宮沢賢治の「デクノボーのうた」が好きならおすすめします。それと何といってもこのタイトル!全てを包み込むこのタイトル。一行で詩にさえなりそうなこれだけで僕は満足です。
今日もまた 月をみた。
月の光は 美しく
やさしく 柔らかく
残酷で 容赦なく
微かでも ちからづよく
主張せず
全ての視線を 受け入れる。
罪深く 汚らわしく
陰険で 汚濁に塗れた
私の身体にも、
美しく しなやかで
曇りもなく 聖らかな
貴方の身体にも、
同様に 降り注ぐ。
この不思議。
この神秘。
私は今日も 月をみており
生きてれば
明日もきっと 月をみる。