なりとろ日誌

なりとろの『考え』を色々書いていきます。 更新はクダクダです。

本当のオルフェーヴル

2012年10月08日 17時44分52秒 | 競馬

調教は従順に。

しっかりと研ぎ澄まされた体で、

オルフェーヴルは凱旋門賞のスタート地点にたどり着いた。

陣営の恐ろしいまでの執念。

総てがひとつになって凱旋門賞のゴールへ向いていた。

 

不利とされた大外・18番枠。

滑る芝、そしてスローペース。

どれをとってもオルフェーヴルに有利な材料ではなかったはず。

 

それでも、オルフェーヴルは走った。

 

道中はビックリするくらい従順に折り合い、

スミヨンの指示に従った。

今まで人間に反抗し続けたオルフェーヴルが、

凱旋門賞を勝つにはこの人間に従うしかない―。

そう思ったのかと思うくらいの落ちついたレースを見せる。

 

インの好位でレースを進めるライヴァルたちを見るように、

道中は後方2番手でジッと我慢した。

 

そして直線。

スミヨンの腕がまだ動かないのに、

グングンと加速を始めるオルフェーヴル。

内のグリーンベルトを力を溜めながら走ってきたはずのライヴァルは、

みんな必死に騎手の手が動いている。

 

最後の直線、残り300m。

 

持ったままのオルフェーヴルが先頭に立つ。

そして、スミヨンの鞭が飛ぶ!

 

日本でのレースと同じように、

一気にライヴァルたちを置き去りにするいつもの反応。

これは凄い!!

これがオルフェーヴルだ!!!

圧勝を予感した。

 

その時。

残り200mを切って、オルフェーヴルが内へと刺さり出す。

前へ向いていたはずの推進力が、内ラチへと方向転換する。

それでも2番手の馬との差は2、3馬身ある。

何とか踏ん張ってくれー!

スミヨンも必死に右鞭でオルフェーヴルを鼓舞しようとする。

 

しかし・・・。

直線を向くまでの従順なオルフェーヴルは、もうそこにはいなかった。

完全に圧勝体制に入ったラスト300m。

ここで、オルフェーヴルは我に返った。

 

『オレは俺の走りたいように走る。

今までもそうだったし、これからもそうだ。

だってもう、後ろから俺を追って来る者などいないだろ?』

 

人間たちの意のままになる事に対する、純粋な反骨心が、

オルフェーヴルの力の源だった。

それが、この大舞台の、このclimaxになって、裏目に出た。

 

史上最強馬オルフェーヴル。

希代の癖馬オルフェーヴル。

どちらも、本当のオルフェーヴルだった。

 

勝ったフランスの4歳牝馬は12番人気。

内枠を引き、常にスローの3番手の好位をキープ。

鞍上のペリエは名手。

勝ち時計の2分37秒は歴代でもかなり遅いタイム。

馬場も、かなり悪い部類だったと聞く。

タイムが遅くなった事により、

重馬場が得意なG1未勝利馬にもチャンスが生まれたのか。

 

 

しかし・・・。

勝負は無情。

一番先にゴールした者が勝者、

二番目は敗者となる。

 

池添でも、スミヨンでも、

オルフェーヴルを乗りこなす事は出来なかった。

本当のオルフェーヴルを、きっと、まだ誰も知らない。

 

その総てを知り得た時、

オルフェーヴルの本当の力を、私たちは知る事になるだろう。

 

そして、同時に世界一の称号を、オルフェーヴルが手に入れる。

 

コメント
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