世界人口の5パーセントが住む国に、全世界の25パーセントの囚人がいる。こんな驚くべき奇妙なデータから始まる本作は、奴隷制度と刑務所ビジネスの関係を紐解き、アメリカの差別構造、さらにはトランプ政権への強烈なパンチを喰らわせる。キング牧師によるセルマ大行進を描いた『グローリー』で一躍注目を集めたエヴァ・デュヴァネイ監督による力作だ。
映画は始めに奴隷解放を謳った憲法修正第13条のある抜け穴について語っていく。それは奴隷制を禁止しながらも“犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とする時を除く”とある。一見、至極まっとうに思える内容だが当時、奴隷という労働力、財産を失った南部では黒人に対する不当な逮捕が相次ぎ、囚人として黒人を労働に従事させる形で奴隷制が継続していく。それがやがては“黒人は貧しくて危険”というパブリックイメージを形成していく事となったのだ。
デュヴァネイはこの観点から1950年代以後、10年毎の社会的背景を元に黒人収監者が爆発的に増えていった要因を探り、看破していくのである。
黒人達への不当な差別は時の白人政権による恣意的な世論誘導だった…トランプやバノンがやってきた手口は何も新しくはない。人類の歴史はこれまでも特定の人種を貶め、敵と見なすことで社会的優位性を形成してきたのだ。奴らはそのシステムに便乗したに過ぎない。映画では収監者の増大から民間に払い下げられた“刑務所ビジネス”が結果、民官一体となって差別構造を継続してきた事を暴いている。
才気煥発、理路整然、作家の闘志がみなぎる1本だ。
映画は始めに奴隷解放を謳った憲法修正第13条のある抜け穴について語っていく。それは奴隷制を禁止しながらも“犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とする時を除く”とある。一見、至極まっとうに思える内容だが当時、奴隷という労働力、財産を失った南部では黒人に対する不当な逮捕が相次ぎ、囚人として黒人を労働に従事させる形で奴隷制が継続していく。それがやがては“黒人は貧しくて危険”というパブリックイメージを形成していく事となったのだ。
デュヴァネイはこの観点から1950年代以後、10年毎の社会的背景を元に黒人収監者が爆発的に増えていった要因を探り、看破していくのである。
黒人達への不当な差別は時の白人政権による恣意的な世論誘導だった…トランプやバノンがやってきた手口は何も新しくはない。人類の歴史はこれまでも特定の人種を貶め、敵と見なすことで社会的優位性を形成してきたのだ。奴らはそのシステムに便乗したに過ぎない。映画では収監者の増大から民間に払い下げられた“刑務所ビジネス”が結果、民官一体となって差別構造を継続してきた事を暴いている。
才気煥発、理路整然、作家の闘志がみなぎる1本だ。
『13th-憲法修正第13条-』16・米
監督 エヴァ・デュヴァネイ