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マーベルの大成功を受けて各社、自慢のアイコンモンスターをアメコミ風にリブートするというムーブメントが起こりつつあるハリウッド。ユニバーサル映画はドラキュラを史劇大作風にアレンジした。ルーク・エヴァンス、サラ・ガドンらコスチューム劇の似合う主演カップルによってなかなか見所のある仕上がりだ。
時は15世紀、勢力を拡大したオスマン・トルコ帝国による侵略を受けたトランシルヴァニア領主ヴラドは、山に巣食う魔物に助けを求める。暗黒の力によって超人的能力を身に付けたヴラドはオスマン・トルコ軍を圧倒し、その異名を轟かしていく。
ドラキュラの魔力をアメコミヒーローさながらのド派手なスペシャルエフェクトで描いているのが面白い。それでいて陽の光と銀には弱いという設定はしっかり踏襲されており、アメコミ全盛の今からすると十二分に企画開発しがいのあるキャラクターだ。異能ゆえに民衆から恐れられ、挙句の果てには火までつけられる悲劇的な展開をもっと腰を据えて描いてくれれば、重厚な1本になったのではないだろうか。
少しでも続編の可能性を作る必要があるのか、取って付けたかのような“つづく”にはマーベルほどの煽りはなく、辟易としてしまうのである。エヴァンスもガドンも現代の服装になると途端に華やかさが半減した。おそらく実現しないであろうパート2は、この映画を楽しんだ人の中にだけある。
『ドラキュラZERO』14・米
監督 ゲイリー・ショア
出演 ルーク・エヴァンス、サラ・ガドン、ドミニク・クーパー
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