2016年に大ヒットを記録した韓国発のゾンビホラー『新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編だ。
ジョージ・A・ロメロによって発明されたホラーアイコンは、時代を象徴するメタファーであり、前作におけるゾンビは北朝鮮の攻撃による朝鮮半島有事を表していた。新幹線車内のゾンビ禍は攻撃が始まれば国土が即座に火の海になるという、リアルなシュミレーションの反映だったのだ。では世界がパンデミックに見舞われた今、果たしてゾンビはメタファーになりえるのか?
ジョージ・A・ロメロによって発明されたホラーアイコンは、時代を象徴するメタファーであり、前作におけるゾンビは北朝鮮の攻撃による朝鮮半島有事を表していた。新幹線車内のゾンビ禍は攻撃が始まれば国土が即座に火の海になるという、リアルなシュミレーションの反映だったのだ。では世界がパンデミックに見舞われた今、果たしてゾンビはメタファーになりえるのか?
ヨン・サンホ監督はそんな正統派ゾンビ映画だった前作の要素をほとんどオミットしている。ロックダウンした韓国へ逆潜入するという『ニューヨーク1997』テイストと、生き残った暴徒とのカーチェイスという『マッドマックス2』テイストをマッシュアップ。そういう意味でも方程式通りの続編であり、製作時期の都合とはいえ、現実社会を映すような作りにはなっていない。しいて言えば冒頭、国外脱出に成功した客船が突如、行先を日本から香港に変え「日本に行くんじゃなかったの!?」「…。」というやりとりの現実味だろう。日本が既にゾンビ禍に滅んだか、はたまた難民申請を拒否したかは推して知るべし。方や中国による弾圧の続く香港がロックダウンに成功しており、ゾンビ禍において安全というのは皮肉が効いている。
ハリウッド仕込みのカーアクション1つとっても既に国際水準の面白さであり、中盤は「かくれんぼ」なるブルータルな“遊び”も登場。僕も既に“韓国映画”を見ている、というエクスキューズはなく、ハリウッド基準の娯楽作を無意識に求めてしまった。それ故にCG技術の未熟さは歯がゆく、ゾンビにも車にも韓国映画のトレードマークであるフィジカルの重量感がない。廃墟となった明洞のプロダクションデザインもなんとも“軽い”のだ。
だが、今の韓国映画界ならばこの程度の差は近い将来、軽々とクリアするだろう。彼らの好調を示す娯楽大作である。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』20・韓
監督 ヨン・サンホ
出演 カン・ドンウォン、イ・ジョンヒン、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン
新幹線半島。評判の良い映画なので、ちょっと気になります。
最近だと、韓国映画はパラサイトしか見たことなかったので、これを機に韓国映画にのめり込んでみても良いかもしれませんね。
前作もとてもよくできたゾンビ映画なので、ぜひともセットで見てください。韓国映画は飛ぶ鳥落とす勢いで、面白い作品が多いのできっとハマると思いますよ。