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1979年に自殺したジョイ・ディヴィジョンのボーカル、イアン・カーティスを描いた伝記映画。ロックフォトグラファーでもあるアントン・コービン監督の計算され尽くした美しいモノクロームは、まるで本物のジョイ・ディヴィジョンのオフショットを見ているかのようであり、イアン・カーティスを知らなくともその深淵な音楽世界を築き上げた繊細さに魅せられてしまうハズだ。
コービンは本作をアーティスト破天荒列伝に留めるような事はせず、詩作と人間性に迫る事でカーティスがその後の音楽シーンに与えた影響を論評する音楽映画としても機能していく。てんかんの発症による死の影を帯びた事で、カーティスは自らの墜落をコントロールできなかったのではないか。ジョイ・ディヴィジョンは加速度的に輝きを増し、散っていったのである。
カーティス役サム・ライリーの若鹿のような肢体がしなやかに映える。後の『ビザンチウム』ではすっかり逞しい青年に変わってしまっていた事を思うと、これ以外にないタイミングだったのだろう。まさに発作のようなライブパフォーマンスを再現しているが、むしろ容姿は似ておらず、その精神性こそ捉えた演技である。
『コントロール』07・英
監督 アントン・コービン
出演 サム・ライリー、サマンサ・モートン
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